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地方財政ダッシュボード

三重県松阪市の財政状況(2021年度)

🏠松阪市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

当市経年比較において、平成29年度より僅かな低下傾向にあり、単年度指標においては、令和01:0.574、令和02:0.571、令和03:0.569と下がっている。平成29年度から令和元年度までを合併特例事業債を財源とした集中投資期間とし、投資的経費が伸びるとともに、その市債の償還を短期間に実施する短期償還を借入翌年から実施した。令和3年度は短期償還実施の4年目となり短期償還以前に比べて償還額が増加した状況が続いていることから一時的に財政力指数は悪化したが、短期償還終了後は過去の数値付近に回帰すると思われる。

経常収支比率の分析欄

令和3年度は、分子では主に人件費295,556千円増、繰出金177,876千円増、補助費等100,999千円増、扶助費84,874千円増等により計591,842千円の増。分母では地方交付税621,287千円減、地方税323,427千円減、地方消費税交付金310,689千円増、地方特例交付金256,082千円増等により計98,554千円の減となったことによる。前年度比で若干悪化したが、引き続き80%代前半の数値となった。これは公債費において合併特例事業債の短期償還分は臨時的なもので計上的な経費から除外しており、短期償還終了後は短期償還以前の数値付近まで戻るものと想定している。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費については昨年に比べて増加しており、その主な理由は、制度導入から2年目を迎えた会計年度任用職員の昇給や期末手当の支給率増によるもののほか、コロナワクチン接種事業や災害、選挙にかかる時間外勤務手当の増によるものである。今後も、ノー残業デーの実施や時間外勤務の要因分析など時間外勤務の縮減に向けた取り組みを進めていく。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体平均を下回っており、水準として高いものではない。原則的に人事院勧告に準拠させていることから、大きな特殊要因がない限り、このままで推移すると見込まれ、今後も適正な水準の確保に努めていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

他の類似団体と比較して面積が広く、人口密度も低いため、効率的でない業務を抱えざるを得ない現状があるが、平成28年5月に策定した「松阪市公共施設等総合管理計画」に基づき、効果的・効率的な公共施設の最適化に取り組んでいくとともに、引き続き適正な定員管理の推進を図っていく。具体的には、令和2年度以降の定員管理の適正なあり方を示した「松阪市定員適正化方針」(令和2年3月策定)に基づき、取組を進めていく予定である。

実質公債費比率の分析欄

令和3年度の指数については、平成30年度と令和3年度の単年度実質公債費比率の差に由来する。主に公営企業繰出金の減(同比-2.5億円)、交付税算入公債費の額の増(同比+3.5億円)により分子は減、標準財政規模の増(同比+23.7億円)により分母は増で単年度指標は改善した。令和元年度までは臨時財政対策債の限度額以下で借り入れており、元利償還金等は年々減少していたが、集中投資期間に係る短期償還の実施、また、未来投資基金にかかる合併特例事業債の償還期間においては、数値の上昇が見込まれる。

将来負担比率の分析欄

令和3年度は、前年度までと同様に算定されなかった。地方債残高は対前年度比+15.6億円となったものの充当可能財源(基金等)のこれまでの蓄積や未来投資基金の造成等により、分子がマイナスとなったことによる。合併特例事業債を活用した未来投資基金を令和3年度と令和4年度の2ヶ年で計40億円積み立てることから市債発行が大幅に増加することとなるが、財政調整基金等を活用し、5ヶ年程の早期に償還することで影響を短期間に抑えることとしている。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

人件費総額が前年度に比べて増加したことに加え、歳出規模が減少したことから、経常収支比率のうち人件費の占める割合は相対的に上昇したものの、類似団体平均と比べるとやや低い水準にあり、今後も諸手当の見直し、時間外勤務の抑制を図りつつ、同時に効率的な運営に向けて取り組んでいく。

物件費の分析欄

令和2年度は、会計年度任用職員制度の導入に伴い、これまでの非常勤職員の賃金等が人件費に移行したことにより大きく減少し、令和3年度も同等の数値となった。今後は施設の老朽化に伴う維持管理に係る経費等の増加が懸念されることから、施設の見直しを中心に、引き続き物件費の抑制に努める。

扶助費の分析欄

令和3年度の経常的な扶助費は、令和2年度と比較すると若干の上昇となった(0.2ポイント増)。生活保護関連経費や児童手当やこども医療費助成等の児童福祉にかかる扶助費は微減となったものの、障害者総合支援関連経費や老人福祉にかかる扶助費は増加傾向にあることによる。扶助費については今後も注視していく必要がある。

その他の分析欄

超高齢社会への移行を反映し、経常経費充当一般財源において、後期高齢者医療事業、及び、介護保険事業への繰出金の増加傾向が続いている。令和3年度は介護保険事業が微減となったが、令和元年度に比べ、合せて0.5億円程度増加している。後期高齢者医療事業、及び、特に介護保険事業への繰出金の増額は今後も避けられないと考えられることから、他の経常経費の抑制に努める。42304230

補助費等の分析欄

松阪市は、し尿処理・常備消防業務等を一部事務組合で行っているため、類似団体平均値に比べて経常収支比率が高い。令和3年度は支出科目見直しによる広報活動交付金の新設や松阪地区広域衛生組合分担金の増等により微増となった。繰出金については、法適用企業に対しては繰出基準を基本として、経営の健全化を求めるとともに、一部事務組合等の適正化、「補助金等に関する基本方針」に基づく補助金等の適正執行を徹底する。

公債費の分析欄

令和元年度から数値は減少傾向で推移している。これは合併特例事業債の短期償還分は臨時的なものであることから、経常的な経費から除外していることによる。そのため、短期償還終了後は短期償還以前の状況に戻るものと想定している。さらに、令和4年度から数年は未来投資基金の積み立てに要した合併特例事業債の償還を短期間で行うことから、その間は数値の上昇が見込まれる。

公債費以外の分析欄

令和2年度はこれまで公債費以外の類似団体との開きの大きな要因であった扶助費が類似団体内平均値を上回ったこと等により類似団体を上回る結果となったが、令和3年度は人件費や繰出金等が前年度対比で増額となったこと、また、歳入においては、地方消費税交付金や地方特例交付金等は増額となったものの、地方交付税や地方税等が減額となり、歳入の経常一般財源総額としては前年度対比で減額となった。これらにより前年度に比べて増加した。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

本市の特徴として挙げられるのは、民生費の扶助費高止まり、土木費の類似団体平均、県平均と比較して少ない状況が挙げられるが、後者は公債費圧縮のため、公共事業、市債借入を抑制してきたことによるものと分析している。施設の老朽化が著しく、長寿命化、施設更新の事業費が大幅に増加している教育関係では、平成30年度、令和元年度は集中投資を実施して各平均値を上回ったが、集中投資期間が終了したため令和2年度以降は以前の水準に戻ることとなった。公債費の変動が近年激しいのは、令和元年度までの集中投資期間による多額の起債発行により関連指標の悪化を短期間に抑えるため、大規模投資と同時に短期償還による市債残高抑制を図ったことによるものであり、令和3年度も短期償還分はあるものの、期間中最大の償還額であった令和2年度より減額となったことによるものである。短期償還による影響は一時的なものであり、以前の数値付近に回帰する見込みであるが、令和4年度から数年は、未来投資基金への積み立てに要した合併特例事業債の償還分が増加する見込みである。なお、議会費と総務費については、令和2年度に大きく増加し、令和3年度に以前の水準に戻ったが、これは、新型コロナウイルス感染症への対策として実施した議場改修や特別定額給付金支給事業等が終了したことによるものである。また、民生費や衛生費の増加は、主に新型コロナウイルス感染症への対策事業として、子育て世帯等臨時特別支援事業や新型コロナウイルスワクチン接種事業を実施したことによるものである。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

本市の特徴は扶助費、補助費等が県平均、及び、類似団体平均と比較して高い点である。また、普通建設事業費においては、令和元年度までの集中投資期間終了に伴い、県平均、及び、類似団体平均と比較して低くなっている。但し、更新整備においては、老朽施設の更新が急務で、特に教育関係施設の老朽化が著しく、今後、長寿命化、施設更新の事業費の増加が見込まれる。物件費と扶助費が令和3年度に大きく増加しているが、これは新型コロナウイルス感染症への対策事業として、新型コロナウイルスワクチン接種に関する事業や子育て世帯等臨時特別支援事業、住民税非課税世帯等臨時特別給付金事業等の給付金事業を実施したことによるものである。補助費等について本市は、し尿処理・常備消防を一部事務組合で行っているため、類似団体平均値より高い数値を示している。また、令和2年度は、主に新型コロナウイルス感染症による特別定額給付金支給事業や商品券事業等の臨時的な事業を行ったことにより大きく増加したが、事業終了により例年の水準となった。積立金が令和3年度に大きく増加しているが、これは主に、本市における市民の連帯の強化、及び、地域振興に要する経費の財源を確保することを目的に、未来投資基金を新たに造成したことによるもので、令和3年度と令和4年度に20億円ずつ計40億円の積み立てを行うことによるものである。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

令和元年度までの集中投資期間に要した市債借入の影響を短期間とするため、財政調整基金を活用して短期で償還することに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で税収等は減となり、感染症対策に要する経費が増加する見込みであったが、実際には感染症による収入への影響は限定的で、歳出では、通常の事業が新型コロナウイルス感染症により制限され、感染症対策事業は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が活用できたこと等により、財政調整基金は増となり、実質単年度収支も約27億円とプラス値になった。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

平成25年度は競輪事業会計において赤字となったが、平成25年度下半期から包括業務委託を取り入れた事業運営を行っており、平成26年度から令和2年度に引き続き、令和3年度も黒字となり、8年連続で一般会計へ繰出すことができた(H27:10百万円、H28:4百万円、H29:9百万円、H30:15百万円、R01:30百万円、R02:60百万円、R03:260百万円、R04:360百万円)。松阪市民病院事業会計においては、呼吸器部門に特化するなど業務の効率化を徹底することで黒字化を達成している。令和3年度は令和2年度と同様に新型コロナウイルス感染症の影響に伴う患者数の減により収益が減額となったが、コロナ病床を設置して対応したことにより、国県補助金が大幅に増加することとなった。平成26年度から公営企業会計制度の大規模な変更に伴い欠損金が大きく圧縮されたものの、依然として17.7億円程度の未処理欠損金が残っている状況である。国民健康保険事業特別会計において、令和2年度は約9億円となるなど年々増加傾向となっていたが、令和3年度は約4.4億円となり減少した。これは国民健康保険支払準備基金として5.2億円計上したことなどによる。県広域化による財政一本化に加え、コロナウイルス感染症による影響による変動も大きなものと想定されることから注視していく必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

平成29年度から令和元年度までを集中投資期間として大型の投資的事業を実施してきたことにより、その財源として市債借入が大幅に増額した。これに伴う公債費関連の指標悪化を一時的なものとするべく、平成30年度から起債残高抑制のために財政調整基金を活用することで、短期間での償還を実施したことにより、元利償還金が大幅に増加した。令和3年度は短期償還分の元利償還金が減少したことにより平成30年度と同規模となっている。なお、集中投資期間において活用した市債は主に合併特例事業債で、短期償還を実施したのも合併特例事業債であるため、元利償還金の増減に併せて算入公債費も増減している。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

将来負担比率については、令和3年度では地方債残高は若干の増(+15.6億円)となったものの、公営企業債等繰入見込額の減(-35.3億円)等により引き続き分子がマイナスとなり非表示となった。将来負担比率の分子については、令和元年度までの集中投資期間中に実施した大規模事業にかかる起債発行による指標悪化を避けるため、同期間中にかかる合併特例事業債の償還については短期償還を実施していくこととしており、短期償還には財政調整基金を一部原資とすることから充当可能基金の減少を見込んでいたが、令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響による事業の中止や延期もあり、財政調整基金の大幅な減少には至らなかった。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)平成27年度に基金全体について今後の見込、整理の可否等の視点から見直しを実施し、整理を行った。整理の主な内容は基金を整理し、今後も存続していくもの、時限的に一定期間後までは継続していくもの(例:スポーツ振興基金については国体まで存続し、それまでに残額を全て事業に充当させる等)、定額運用基金の金額の変更等の整理を行った。整理後廃止等による基金残高については、新規に公共施設マネジメント基金を造成し、今後需要の見込まれる施設の除却、複合化等、公共施設マネジメントに寄与する事業に充当することとした。(約25億円)今回の前年度比で大幅に増額となったのは、財政調整基金の増額に加えて、その他特定目的基金において、未来投資基金20億円を新たに造成したこと、公共施設マネジメント基金、松阪市民病院建設基金、及び、みえ松阪マラソン応援基金等において積立金が繰入金を上回ったことによるものである。(今後の方針)今後は平成27年度の整理に従い、一部の基金を除き、順次その他特定目的基金は事業充当されて廃止されていくものと考えている。また、公共施設マネジメント基金について、その効果が全庁的に広まったこともあり、大きく繰入を行うこととなった。今後もその需要が増すことが予想され、事業繰入は増加傾向にあるため、クリーンセンター売電収入の一部を毎年積み立てるとともに、充当事業に関する要件を整理して一気に枯渇しないよう手当を施す必要がある。新たに造成した未来投資基金は、合併特例事業債を最大限に活用するべく、令和4年度においても20億円の積み立てを予定している。

財政調整基金

(増減理由)平成29年度から令和元年度までを集中投資期間と位置づけ、従来から計画的に進めてきた大規模事業や新たな課題懸案事項(小中学校エアコン整備)等について、大規模な投資をしていくことから、事業費や完成後の公債費増加に備えるため、財政調整基金を積み増していた。平成30年度から集中投資期間に要した合併特例事業債の短期償還を財政調整基金を活用し実施すること、加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による税収等の減や感染症対策に要する経費の増加の見込みもあり、令和3年度も残高は減少する見込みであったが、実際には感染症による税収等への影響はあまり見られず、また、新型コロナウイルス感染症の影響でイベント等の事業は制限され、感染症への対策事業は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用することができたこと等により、令和3年度末の残高は増加した。(今後の方針)集中投資期間による短期償還は終了するものの、新たに造成した未来投資基金の積み立てに要した合併特例事業債の償還が必要となり、関係する財政指標の悪化や将来世代への負担増が懸念される。そのため、本基金を活用して公債費を増額し、影響を数年に留めるよう対応することとしている。但し、一定程度以下に残高がならないよう注意を払っていく必要があると考えている。

減債基金

(増減理由)本市の減債基金は3種に分かれ、移動通信用鉄塔整備事業債に係るものと、消防本部において整備された消防救急デジタル無線の活動波整備費用に係るものと、特定の目的ではないものである。前2者は県や公益財団法人からの交付金等を財源としており、該当事業の償還額に合せて繰入れているものである。(今後の方針)目的が定まっているものについては、その償還額等に応じて繰入を実施していくものである。また、特定目的が定まっていないものについては、今後繰上償還を実施する際の原資として充当していくものである。

その他特定目的基金

(基金の使途)公共施設マネジメント基金:公共施設マネジメント(施設の集約、複合化、転用、除却)に係る事業に充当未来投資基金:新市建設計画に基づく事業に充当ふるさと応援基金:ふるさと応援寄附者の意向に沿って事業充当松阪市民病院建設基金:松阪市民病院の建設改良に要する松阪市民病院事業会計への繰出金に充当みえ松阪マラソン応援基金:みえ松阪マラソン事業に充当(増減理由)公共施設マネジメント基金:約8,897万円積立(クリーンセンター売電収入等)、約3,545万円繰入(中郷文化財保管庫解体事業等)未来投資基金:20億円積立(合併特例事業債等)ふるさと応援基金:約7億1,764万円積立(ふるさと応援寄附金)、約7億8,625万円繰入(新たな学びの創造事業事業等)松阪市民病院建設基金:約4億5,162万円積立、約3億2,899万円繰入(建設改良に要する松阪市民病院事業会計への繰出金)みえ松阪マラソン応援基金:2億3,460万円積立(ふるさと応援寄附金等)100万円繰入(みえ松阪マラソン事業)(今後の方針)公共施設マネジメント基金:今後需要は増加する見込みであることから定期的に積立を実施(クリーンセンター売電収入)し、できる限り公共施設の延命化を図っていく。未来投資基金:令和4年度も令和3年度と同額の20億円の積立を実施し、償還分を新市建設計画に基づく事業に充当していく。ふるさと応援基金:ふるさと応援寄附、返礼品分を控除した部分について寄附者の意向に沿った事業に充当していく。松阪市民病院建設基金:松阪市民病院の建設改良に要する松阪市民病院事業会計への繰出金に充当していく。みえ松阪マラソン応援基金:ふるさと納税制度等による寄附金を積み立て、みえ松阪マラソン事業に充当していく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

県平均、全国平均、類団平均と比較すると、全てに対して本市の有形固定資産減価償却率は高い数値を示しており、上昇傾向にある。令和元年度は大規模な施設整備により指標の改善が見られたが、令和2年度より悪化傾向にある。これは老朽施設が多く、更新が滞っている状況を示しており、公共施設等総合管理計画に基づき公共施設マネジメントを早急に進めなければならない状況である。

債務償還比率の分析欄

類団平均、全国平均、県平均と比較して低くなっている。平成29年度から令和元年度までの3年間を集中投資期間とし、地方債を財源とした各種施設の大規模更新を実施した短期償還分が大幅に減少したため債務償還比率も減少した。また、基金等の充当可能財源が増加していることも要因と考えられる。今後は、地方債残高を適正な範囲にとどめるべく、借入と償還のバランスに注視し、対応策を検討していく必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

近年、本市の将来負担比率は分子が負数となりバー表示である。これは、本市においては平成29年度から令和元年度までの3年間を集中投資期間とし、地方債を財源とした各種施設の大規模更新を実施したが、地方債残高の増加による影響を抑制するため、平成30年度より、合併特例事業債の償還について従来の償還期間を見直し、指標悪化の期間を短期間に留めるよう努めた。令和3年度は基金積立による借り入れのため地方債残高は増加したものの、基金等の充当可能財源が増加したことが要因と考えられる。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

延長前の合併特例事業債の発行期限である令和2年度を終期とした複数の大型事業を平成29年度から令和元年度に集中して実施したために、合併特例事業債をはじめとした起債発行額が増加していたが、令和3年度は短期償還分が大幅に減少したため実質公債費比率が改善している。なお、地方債残高の増加による影響を抑制するため、平成30年度より、合併特例事業債の償還について従来の償還期間を見直し、指標悪化の期間を短期間に留めるよう努めた。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路以外の施設については、目に見えるような形で投資を行っていないため、有形固定資産減価償却率が微増となっている。同様に、一人当たりの有形固定資産額、延長、面積についても、児童館以外の施設について新増設されていないことから人口減少の影響もあり、微増となっている。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

近年、施設の建て替えや大規模改修を実施したため一般廃棄物処理施設、保健センター、図書館の有形固定資産減価償却率が上位に位置している。福祉施設については、隣保館のエレベーターの更新等をしたため有形固定資産減価償却率の改善が見られる。市民会館については、農業屋コミュニティ文化センター特定天井の更新等をしたため有形固定資産減価償却率の改善が見られる。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

・一般会計等においては、負債総額が前年度から1,543百万円(前年度末比2.9%)の増加となった。H30より集中投資期間にかかる合併特例事業債の短期償還を行っておりR2末にてほぼ償還が終わったため、1年内償還予定地方債が前年度から1,119百万円減少した。・水道事業会計、下水道事業会計等を加えた全体では、資産総額で前年度から7,130百万円(前年度末比+2.1%)増加し、負債総額で前年度から1,395百万円(前年度末比0.8%)増加した。資産総額は、上水道管、下水道管等のインフラ資産を計上していること等により、一般会計等に比べて138,115百万円多くなった。松阪市土地開発公社、後期高齢者医療広域連合等を加えた連結では、資産総額で前年度から6,301百万円(前年度末比+1.8%)増加し、負債総額で前年度から925百万円(前年度末比0.5%)増加した。資産総額は、一般会計等に比べて145,392百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

・一般会計等においては、経常費用は65,713百万円となった。そのうち、人件費等の業務費用は29,111百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は36,603百万円であり、移転費用の方が業務費用よりも多い。最も金額が大きいのは社会保障給付(15,496百万円)、次いで他会計への繰出し(10,768百万円)であり、純行政コストの50%強を占めている。今後も高齢化の進展などにより、この傾向が続くことが見込まれるため、事業の見直しや介護予防の推進等により、経費の抑制に努める。・全体では、一般会計等に比べて水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が37,107百万円多くなっている。一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が29,959百万円多くなり、純行政コストは33,506百万円多くなっている。・連結では、一般会計等に比べて連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が37,952百万円多くなっている。一方、人件費が7,613百万円多くなっているなど、経常費用が87,968百万円多くなり、純行政コストは49,841百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

・一般会計等においては、税収等の財源(66,517百万円)が純行政コスト(63,733百万円)を下回ったことから、本年度差額は2,785百万円となり、純資産残高は2,648百万円の増加となった。・全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が13,531百万円多くなっており、本年度差額は5,513百万円となり、純資産残高は5,734百万円の増加となった。・連結では、後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が52,359百万円多くなっており、本年度差額は5,302百万円となり、純資産残高は5,377百万円の増加となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

・一般会計等においては、業務活動収支は6,886百万円であったが、投資活動収支については、新最終処分場施設整備、文化財センター施設整備等を行ったことから、9,082百万円となった。財務活動収支については、地方債の発行収入が償還額を上回ったことから、1,563百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から634百万円減少し、2,307百万円となった。本市ではH29~R1を集中投資期間としており、その間投資的活動支出(公共施設等整備費支出)及び財務活動収入(地方債発行収入)が増加する傾向にあり、R3については未来投資基金への積立により投資的活動支出が増加した。・全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より4,423百万円多い11,309百万円となっている。・連結では、後期高齢者医療広域連合における補助金収入等が業務収入に含まれることなどから、業務活動収支は一般会計等より4,630百万円多い11,516百万円となっている。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

・有形固定資産減価償却率については、昭和53年頃に整備された資産が多く、整備から40年以上経過して更新時期を迎えていることなどから、類似団体より若干高い水準にある。このため、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設について、点検・診断や計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努める。・住民一人当たり資産額、歳入額対資産比率については、類似団体平均より下回っているが、過去の投資抑制による結果と思われる。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

・純資産比率は、類似団体平均とほぼ同程度であるが、R3においては税収等の財源が純行政コストを上回ったことから純資産が増加し、昨年度から2,648百万円増加している。引き続き、「松阪市行財政改革推進方針」に基づく行政コストの削減に努める。将来世代負担比率は、類似団体平均より上回っており、未来投資基金積立への地方債借入により前年度に比べて地方債残高が増加した。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

・住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っている。特に、純行政コストのうち57.4%を占める移転費用が、住民一人当たり行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。本市においては県下でも扶助費の割合が突出している為、状況の把握、整理、研究を進め、社会保障給付や他会計への繰出金の増加傾向に歯止めをかけるよう努めているところである。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

・基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分を上回ったため、3,797百万円となっている。投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して、新最終処分場施設整備、文化財センター施設整備等の必要な整備を行ったためである。・住民一人当たり負債額が類似団体平均を下回っているのは、過去の投資抑制に伴い起債発行も抑制されていたことが要因と考えられるがR3については未来投資基金積立への地方債借入により前年度に比べて住民一人当たり負債額が増加した。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

・受益者負担比率は類似団体平均を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。また、R2年度から増加しており、経常費用が11,694百万円減少している。R3については補助金等の減少が顕著である。なお、類似団体平均まで受益者負担比率を引き上げるためには、仮に経常収益を一定とする場合は、21,235百万円経常費用を削減する必要があり、経常費用を一定とする場合は、960百万円経常収益を増加させる必要がある。このため、公共施設等の使用料の見直し等を行うとともに、松阪市行財政改革推進方針に基づく行財政改革により、経費の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,