五ヶ瀬町：国保病院

地域において担っている役割

当院は中山間地域のへき地である五ヶ瀬町において唯一の病院であり、町民のかかりつけ病院として地域医療の根幹を担っており、一般病床36床、介護療養病床18床を有し、常勤医師2名で診療を行っている。一般医療の提供はもとより、訪問診療・訪問リハビリ、人間ドックや事業所健診、各種予防接種等も行っており、町民の健康維持・増進において大きな役割を担っている。また、近隣病院へは町の中心から車で10～15分程度かかることから、高齢者等の交通弱者にとってはなくてはならない病院である。

経営の健全性・効率性について

経常収支比率は3年連続で100％以上を達成し、累積欠損金もないが、医業収支比率は85％前後を推移しており、町からの繰入金があることで経常収支比率100％を達成できている。病床利用率は類似病院平均値・全国平均を上回っているものの、入院・外来ともに1人1日あたり収益は下回っている。1人当たりの収益単価が低いということであるが、加算で採れるものを採れていないことが原因であると考えられる。職員給与費対医業収益比率は類似病院平均値を下回っているが、これは、これまで臨時職員等を含めた最低限の職員数での運営を行ってきたことによるものである。材料費対医業収益比率は、入院・外来患者1人1日当たり収益が横ばいの中で、やや減少傾向にあり全国平均を下回っていることから継続した比率を目指し、今後も材料費の軽減に努める。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率ともに類似病院平均値・全国平均を上回っている。当院は平成10年11月に新築移転しており、約20年が経過し老朽化が進んできている。機械備品についても平成10年当時に新規購入したものも多く、老朽化が進んでおり、更新時期を迎えていることと考えられる。1床当たり有形固定資産については、類似病院平均値・全国平均を大きく下回っている。これは過大投資が少ないことであるが、施設・機械備品を耐用年数以上に使用しているためであると考えられる。しかしながら、医療器械は精密機械で患者の健康と生命に直結するため、適正な更新が必要である。

全体総括

経営の健全性については、地方公営企業の場合、採算性が困難な不採算事業となるサービス事業等もあることから、一般会計からの繰入金により健全な状況を保てているものの、入院・外来ともに収益が低いことがうかがえた。町の将来的な人口減少を考えると入院患者の増加は厳しいため、外来やリハビリテーション部門で収益を上げれるような対策を早急に打ち出していかなければならないと考える。また、施設・機械備品ともに前述しているように老朽化が進んでいる状況である。施設については年々修繕する箇所も増えてきているが、修繕や取替で対応できている。しかしながら、機械備品については精密医療器械であることから、順次更新することが必要で、計画的に進めていけるよう現状を把握しておくことも必要であると考える。