地域において担っている役割
当院は椎葉村内で唯一の病院であり、近隣市町村の最も近い医療機関との距離が30km以上離れていることもあり、へき地医療拠点病院に指定されている。このような環境から、通常の診療のほか、24時間365日体制の救急対応、巡回診療、訪問診療、訪問看護、福祉施設への回診、各種健診など幅広い業務を一手に担っている。したがって、不採算であっても地域住民が安心して生活を送るためには、これらの医療サービスを継続させていく必要がある。
経営の健全性・効率性について
患者数については、入院、外来ともに人口減少の影響等でやや減少傾向にある。ほとんどの患者が椎葉村内の居住者であり、今後増加する可能性は低い。現在の経常収支比率や医業収支比率については、類似病院の平均値より高いものの、病床利用率はやや低くなっている。平成29年度の特定健診受診率が全国3位となり、国保医療費における1人当たりの医療費が、3年連続で宮崎県内で最も低いという状況が示すように、患者1人あたりの収益は類似病院よりも低く推移している。
老朽化の状況について
現在の施設は、平成7年の建築から20年以上経過しており、耐震上は問題ないものの、経年劣化が進みつつあるため、設備などは更新時期を迎えている。当面は、大規模改修等の予定はなく、年次計画により修繕や一部設備の更新を行いながら、適切な維持管理に努めていく方針である。指標となる減価償却率等は類似病院の平均値とほぼ変わらない状況で推移している。
全体総括
平成30年度決算については、患者数の減などの要因により医業収益が前年比で6.7%の減となった。一方、費用についても人件費や材料費等で減となったものの、経常損失は6,197千円となり、累積欠損金が同額の増となった。経営面においては、流動資産の現金預金が476,395千円あるため、財政健全化比率や公営企業会計における将来負担比率は基準内となっており、病院経営に影響するような大きな不安はないものの、平成28年度に策定した新病院改革プランのもと経営の効率化と安定化に向けた様々な取り組みを行っている。