地域において担っている役割
富江地区における地域病院として、救急医療に対応するとともに、慢性期、回復期を中心とした医療を提供している。人口減少と少子高齢化が急速に進行しており、有病高齢者、独居者、交通手段のない高齢者が増加し、対応できる介護者不足が予想される。その状況に対応するため、従来より連携している介護施設や地域のケアマネージャーとの更なる連携強化が必要となる。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%以上を維持しており、健全な事業運営を行っている。(グラフ①③)病床利用率は、平成26年以降90%以上であり、入院収益が医業収益の70%を占める。入院単価は4月~12月は15:1看護加算での入院基本料であったが、平均在院日数を25日と短縮を図り、1月~3月については13:1看護加算での入院基本料を算定した。外来単価は、新患が少なく、有病高齢者が多数を占める再来患者が多く、院外処方が90%以上であるため、1人当たりの単価は低くなっている。ただし、当年度より外科医師が1名増員したため、その分が若干増加している。(グラフ②④⑤⑥)外科医師1名増、看護師2名の増等により給与費が増加した。材料費は注射減により薬品費が減、診療材料費のSPD導入により減、患者給食の増に伴い給食材料費が増加した。(グラフ⑦⑧)
老朽化の状況について
建物及び職員宿舎については、平成4年3月に完成し、平成19年2月に2階病棟トイレ・浴室を改修工事している。空調設備の老朽化により、故障しているため、順次各箇所で更新している。今後、水道設備、ボイラー設備、エレベーター設備の更新が必要となる。医療器械については、一般撮影装置、生化学分析装置の更新が終了しており、当年度は透視台が更新された。あとは、CTを更新すれば、高額な医療器械の更新は終了する。ベッド等の耐用年数が長いものに関しては、順次更新を行っている。
全体総括
経常収支比率は「長崎県病院企業団第2次中期経営計画」の目標を達成しており、経営の健全性は達成されているが、常勤の薬剤師の確保ができていない。また、建物・設備の老朽化に伴う修繕や更新が今後必要となってくる。地域内の人口減少と高齢者の増加により、重症患者が減少し有病老人の入院・外来を占める割合が高まり、単価が減少傾向にあるため、地域包括ケア病床の導入を検討し、病院経営の安定と地域病院として基幹病院や介護施設との連携を強化し、その責務を果たしたい。