経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業には、処理場が27箇所あり、その資本費、維持管理費により汚水処理原価が高くなっているものの、使用料については、公共下水道事業の料金体系に準じているため、使用料対象経費である汚水処理費を賄えていない状況である。①の収益的収支比率について、前年度と比較して26.14ポイント増加しているが、これまで資本勘定に繰入を行っていた収益勘定の不足分に係る繰入金を、当該年度から収益勘定に繰入することとしたため変動が大きくなったものである。⑤の経費回収率について、前年度と比較して3.08ポイント改善しているが、維持修繕費の減少が主な理由である。同様に、⑥汚水処理原価についても、前年度と比較して11.40ポイント改善しているが、維持修繕費が減少したことが主な理由である。⑦の施設利用率については、処理区域内人口の減少に伴い、使用水量が減少するため、減少傾向が続く見込みであるが、令和2年度に予定している処理場の統廃合により改善される見込みである。⑧水洗化率については、未接続世帯に普及員が訪問し、接続促進を行うことにより年々改善しているものの、類似団体平均値と比べて低くなっている。
老朽化の状況について
平成27年度から陸地部のストックマネジメント事業による機能診断等を行っており、平成30年度に最適整備構想を策定し、令和元年度からは、島嶼部についても順次実施している。今後は、耐用年数が経過し、老朽化等による機能の低下が考えられる施設について、補助制度を活用しながら施設の更新を実施したり、処理場の統廃合により更新経費の縮減を図りながら施設の機能維持に努めていく予定である。
全体総括
最適整備構想に基づき、汚水処理施設や管渠等の増改築及び老朽化した施設の機能回復を図ることとしている。整備事業のピークは過ぎているため、地方債元利償還金が逓減していることから、汚水処理原価についても逓減し、経費回収率が改善する見込みである。なお、現在進めている統合整備事業では、令和2年度に農業集落排水施設の朝倉地区6処理場を1つの処理場に統合し、北浦東地区の処理場を廃止し特定環境保全公共下水道の木浦・有津地区の処理場に統合する予定である。施設の統廃合により、施設利用率のほか、収支や経費回収率の改善を行い経営の健全化を図っている。