地域において担っている役割
当院は、隠岐医療圏のうち、島前地域(西ノ島町(人口約2,900人)、海士町(人口約2,300人)、知夫村(人口約650人))において、唯一の入院施設を有する医療機関として、急性期医療から在宅医療まで幅広い診療にあたっている。3町村にはそれぞれ無床の国保診療所があるが、そのうち西ノ島町の浦郷診療所と知夫村の知夫診療所へは、地域医療支援ブロック制の拠点として、医師の派遣及び代診等を行っている。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、患者数及び診療単価の増等により医業収益が増加となったが、専攻医の従事や産育休明け職員の復職による給与費の増、材料費の増等により医業費用も増加した結果、医業収支比率は2.6%のマイナスとなったが、経常収支比率については昨年に引き続き100%を維持している。累積欠損金比率は平均値より大幅に低い水準となっているほか、病床利用率については、安定的に高水準で推移をしている。患者1人当たりの収益については、外来で改善がみられるものの、今後は病床機能の見直しや診療単価の増加に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
当院の建物は主に3つの区画(①旧館・昭和61年建築、②新館・平成13年増改築、③リハビリ棟・平成25年増改築)から構成されている。平成30年度末で旧館区画が築33年、新館区画が築18年を経過するなど老朽化が進んでいることから、有形固定資産減価償却率は平均値を上回っており、今後も増加傾向が見込まれる。器械備品減価償却率についても、診療に支障がない限り耐用年数経過後も使用している備品が多いため、平均値より高い水準で推移をしている。今後、建物については長寿命化に向けた対策を検討するとともに、将来における地域ニーズの把握に努め、関係機関と協議、検討を行っていく。
全体総括
当院は、離島という地理的条件や採算等の面から、民間による医療の提供が困難な不採算の地域に立地し、地域唯一の入院施設を持つ医療機関として地域医療の中心的な役割を果たしている。平成30年度も経常収支比率100%を達成することができたが、今後も厳しい経営環境が見込まれるため、新公立病院改革プランを着実に実行し、医師・看護師をはじめとする医療スタッフの確保を図った上で、適正な収入と経費の縮減による、安定した病院経営に努めていく。