地域において担っている役割
急性期を過ぎた回復期患者の受入病院としての役割を担っている。また、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリ等の在宅医療を中心とした慢性期医療にも積極的に取り組んでおり、地域における他の医療機関・介護施設等との協力・連携を行いながら、高齢者が安心して生活できる医療を提供している。外来診療は各々の医師が専門性を活かしつつ、総合診療科制を実施している。
経営の健全性・効率性について
地域包括ケア病床をH27年10月に6床設置し、H28年11月に18床へ増床、H30年10月には21床に増床したことで、入院診療単価が増加し、大幅に収支が改善した。また、同時に未稼働病床を8床削減し、全体の病床数を42床とすることで業務の効率化を進めており、H29年度には経常黒字化を達成している。なお、当院は不採算地区病院であり、病床利用率は平均値より低い状況が続いているが、地域包括ケア病床の活用が患者確保にも繋がっている。院内処方を行っているため、外来診療単価および材料費の比率が平均値と比べ高くなっている。
老朽化の状況について
当院は数年後には築30年となり、施設、機器・備品ともに、償却が進んだ状況にある。しかし、空調・熱源設備などは既に改修を完了しており、今後しばらくは大規模な施設改修等を予定していない。当院の医療圏（香美町村岡区、小代区）は高齢化の先進地域であり、高齢者人口も既に減少に転じているため、今後、医療需要が増加する見込みは薄く、病院設備に積極的な投資は行わない方針としている。なお、1床あたりの有形固定資産額は同規模平均よりも低いが、これは当院が回復期・慢性期医療の提供を中心としているため、医療機器等に対する投資額が少ないことに起因している。
全体総括
当院の医療圏は、総人口だけでなく高齢者人口も減少している地域であり、医療需要も減少傾向にあると考えられる。今後も地域の需要に応じた規模で、回復期・慢性期を中心とした医療を提供して行く。なお、地域包括ケア病棟の導入・増床によりH29年度は経常黒字化を達成したが、H30年度には近隣病院にも地域包括ケア病棟の導入が進んだため、患者数が減少した。地域の医療需要より、今後大幅に患者数が増加することは考えにくく、業務の効率化によるコスト削減を継続する。不採算地区病院に該当しており、医業収支での黒字化は困難な状況にあるが、一般会計からの適切な繰入れによって経営健全化を図り、経常収支での黒字を目標としている。
兵庫県 >>> 
2021年度