経営の健全性・効率性について
経常収支比率は89.59%となり、100%未満(単年度収支が赤字)となっているが、今後、比率の分子となる経常収益、分母となる経常費用ともに大きな増減はない見込みであることから、比率についても横ばいとなる見込みである。累積欠損金比率は158.01%となり、前年度からは40.55ポイント増加しているが、類似団体平均、全国平均を下回っている。今後、経常収支比率が100%未満で横ばいとなる見込みであることから、累積欠損金は年々増加することが見込まれ、累積欠損金比率も増加することが見込まれる。流動比率は75.30%となり、100%を下回っている(平成28年度末から1年以内の支払いに対応する資金が同年度末で不足)が、比率の分母となる流動負債のうち企業債償還金(翌年度償還分)に係る財源は、下水道使用料の外に1年以内に収入する一般会計繰入金等を予定していることから、大きな影響はないと考えている。企業債残高対事業規模比率は、は、一般会計等が負担することが見込まれる企業債残高の割合が減少した影響から222.94%となり、前年度からは28.79ポイント増加している。当面は、大規模な更新事業等の予定はないことから企業債残高は減少する見込みであるため、当該比率は減少する見込みである。経費回収率は39.18%となり、100%未満(費用が使用料収入以外(繰入金等)で賄われている)となっていて、類似団体平均、全国平均を下回っている。また、汚水処理原価は584.83円となり、類似団体平均、全国平均を大きく上回っている(有収水量1㎥当たりの処理費が高い)が、水洗化率は平成28年度末で95.52%と高い比率であり、類似団体平均と近似しており、使用料収入の増加が見込まれないことから、事業運営に必要となる収入(一般会計繰入金等)の確保について、検討を進める必要があると考えている。
老朽化の状況について
個別排水処理事業(4地区、合併浄化槽27基)は、供用開始(最初:平成8年度、最終:平成21年度)から21年が経過したところであり、有形固定資産減価償却率は25.87%で100%を大きく下回っている(保有資産の法定耐用年数に到達していない)ことから、現段階では、機械設備等の定期的な点検整備を行うことで、大規模な更新事業等を行う必要はないと考えている。
全体総括
供用開始(最初:平成8年度、最終:平成21年度)から21年が経過したところで、水洗化率は95.52%となっている。本町では、平成20年度から計3回(平成20年10月、平成23年7月、平成26年7月)の使用料改定を行ってきたところであるが、地区内人口の自然減少等の影響から、有収水量の増加、使用料収入の確保は、難しいと考えるため、本事業の運営に必要となる財源の確保が課題となっている。当面は、財政課との協議による一般会計繰入金の確保等、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」に基づく運営を進めることで、本事業の現金による収支が均衡するよう、運営に必要な財源を確保していきたいと考えている。