地域において担っている役割
国指定の地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、救急告知病院、地域周産期母子医療センター、災害拠点病院などの公的役割を持ち、地域の中核病院としての機能を担っている。
経営の健全性・効率性について
平成29年度においては、経営の強化のため病院経営指標を理事会、幹部会議、所属長会議に報告することをルーチン化した。また、救急医療の強化を図るため救急医を招聘し救急科を設置したこと、働き方改革実現に向けて、就業規則・給与規程等を改正し、適正な労働時間の管理及び時間外労働の縮減を図ったこと等の取組を実施したが①経常収支比率は100%未満で赤字となり、類似病院平均値を下回っている。③累積欠損金比率が類似病院平均値より低水準となっているのは、地方独立行政法人へ移行し2年しか経過していないことによるものである。収益面においては、救急医療・地域医療連携の取組強化や病床利用率の可視化等により④病床利用率⑤入院患者1人1日当たり収益⑥外来患者1人1日当たり収益全てにおいて前年度の指標を上回ったが、入院及び外来患者の1人1日当たり収益は類似病院平均値を下回っている。一方費用面においては、安全・安心な医療を提供するため医師、看護師、医療技術職、事務職全ての職種において増員し給与費が増加した結果、⑦職員給与費対医業収益比率が増加し類似病院平均値を上回っている。⑧材料費対医業収益比率については、材料費のベンチマークシステムを使用し、他病院の仕入れ状況を把握したうえで価格交渉し材料費の削減を図ったことから、類似病院平均値を下回っている。
老朽化の状況について
平成28年10月に地方公営企業法の全部適用から地方独立行政法人に移行した際に設立団体(東大阪市)から有形固定資産を承継するにあたっては、建物を時価(償却後再調達原価)で、医療機器を簿価(償却後残存価額)で、それぞれ承継している。しかし、減価償却費については、移行時から新たに計上されるため、移行前の減価償却累計額は承継されていない。そのため、①有形固定資産減価償却率、②機械備品減価償却率及び③1床当たり有形固定資産の3指標において、全国平均、類似病院平均と比較し大きく乖離し、低くなっている。
全体総括
地方独立行政法人への移行後、2年連続で経常収支が100%を下回っており、今後経営改善を図るため以下の取組を実施する。・高度で専門的な医療を提供するため、ICU及び手術室を含む病棟の抜本的な見直しを図る。・最先端の医療の提供により集患・増患を図ること及び医師確保に繋げるため、手術支援ロボットを導入する。・電子カルテシステムを更新し業務改善と運用見直しを促進する。・患者が快適に過ごせる療養環境と職員にとって働きやすい職場環境を整えるための院内整備を実施する。