地域において担っている役割
国保京丹波町病院は、昭和30年5月の開設以来、開業医のいないこの地域のかかりつけ医的な役割を担って、救急対応や病床機能、公衆衛生活動を提供し地域医療を守り続けている。また、在宅医療も推進し、医療・介護・保健・福祉を継続的かつ一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の拠点病院の役割を担い、地域住民のくらしを守っている。
経営の健全性・効率性について
入院、外来患者が大幅に減少したことにより、減収減益となり、6年ぶりに経常収支比率が100%を下回った。病床利用率が62%と対前年で約7ポイント下げたことが入院収益の下落の大きさを如実に示している。反対に、職員給与費対医業収益比率が対前年5ポイントプラスの83%を超えたことで、医業収支比率が対前年で大幅にポイントを下げることとなった。一方で、患者一人当たりの入院、あるいは外来収益はここ数年横ばいで推移している。外来患者の一人当たり収益が平均値を下回っているのが目立つが、これは内科患者が多く、また高齢者層が多いことが大きいと考える。今後は、職員の配置に見合った収益を上げるために、患者数の増加と職員給与費の削減に注力しないといけない。
老朽化の状況について
取得価格の全体に占める割合の大きい国保京丹波町病院は平成16年に新築した鉄筋コンクリート造の建物のため、耐用年数が長く有形固定資産減価償却率は低い水準である。1床当たり有形固定資産の額が若干平均値を上回っているが、これは47床の小規模な施設のためである。
全体総括
入院、外来患者の減少が大きい1年となった。大きな要因として、医師確保に対する不断の努力にもかかわらず、常勤医師の確保に難航したことが挙げられる。日替わり、月替わりの非常勤医師の雇用により一時的な体制確保はできるが、かかりつけ医にはなりきれず患者の定着に繋がらなかった。反面、賃金の増加に拍車がかかり医業収支比率を大幅に悪化させることになった。引き続き、医師確保に努力し、経費節減に努めることで、新公立病院改革プランに沿った健全経営に取り組んでいく。