経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は使用料収入の約3倍に当たる一般会計繰入金により100%を上回っているが、経費回収率は100%を大幅に下回っており、汚水処理費用が使用料で賄えていない状況である。今後も対象戸数の増加により、点在する施設の維持管理費が増加し、指標の悪化が予測されるため、効率的な事業運営に向けての検討が必要である。企業債残高対事業規模比率は令和元年度の使用料改定による使用料収入の増加により、対前年度比18.02P減少し、類似団体平均値と比較して400P以上低く、良好である。今後は帰属分の使用料収入の増加が緩やかになり、新設設置に伴う地方債の発行額が累積されるため、当該数値は悪化することが予測される。汚水処理原価は有収水量の増加に比べ汚水処理費用の増加割合が高く、対前年度比40.69円増加した。また、類似団体平均値と比較して379.67円上回っており、費用の縮減が課題である。水洗化率は対前年度比0.69P増加したが、類似団体平均値と比較して41.62P下回っている。これは本市の公共下水道普及率が低いことにより、市営浄化槽対象人口が類似団体と比較して多いことが要因であると考えられる。
老朽化の状況について
施設数が多く、点在しており、設置時期や規模も様々なため、合理的に更新を行うことが難しい状況である。今後、新設と帰属の状況等を勘案し、更新計画の策定を検討する必要がある。
全体総括
本市の施設は帰属の割合が高く、資本費に比べて維持管理費が高いと思われる。そのため、類似団体と比較して汚水処理原価が高く、経費回収率が不良である。加えて、処理区域も広く、点在する施設において維持管理費は今後も増加傾向である。今後は更なる費用縮減と共に適正な使用料について検討を行う必要がある。