地域において担っている役割
平成27年8月救命救急センター指定、平成28年度8月地域医療支援病院の承認、令和元年度静岡県地域がん診療連携推進病院の指定と、急性期医療を担う基幹病院としての役割を果たすための体制整備に注力している。PET-CT、手術支援ロボット(ダヴィンチ)など高度医療機器の整備やドクターカー等の導入により、地域の医療水準を高めるとともに、臨床研修病院として教育に力を入れ、医師をはじめとする医療従事者の教育研修施設としての役割を果たしている。新型コロナウイルス感染症については、重点医療機関として地域医療の砦となり、その責務を果たすべく対応している。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、令和元年度から続く新型コロナウイルス感染症の影響の中、感染対策と通常診療確保の両立に注力した結果、令和2年度より②医業収支比率が4.1%改善した。また、令和3年度は新型コロナ関連補助金を最大限活用することにより①経常収支比率は123%を超える結果となった。⑤入院患者1人1日当たり収益について、類似病院平均値と同様に、当企業団の単価も伸びている。DPC係数上昇のための取り組みをはじめとし、がん診療機能の向上、積極的な紹介患者受入と後方病院と連携した退院促進による在院日数短縮化、手術件数の増加など、単価及び収益向上のためのあらゆる取組みを行っていく。⑦職員給与費対医業収益比率について、類似病院と比較し高い値となっている。適切な人員配置により、効率的に収益を上げる必要があると考えているが、地方公営企業法改正における退職給付引当義務化に際し、最長15年分割で引き当てることとし毎年約2億2千万円を給与費に上乗せしているため高めになっている。
老朽化の状況について
当企業団は平成25年5月に開院した。開院から10年が経過し医療機能が向上していることから、将来に向けた病院機能強化として、新棟の建築を含む病院整備事業を進める予定である。医療機器は、償却年数が4年から7年のものが多いため、②器械備品減価償却率が高くなっている。ただし、実際は耐用年数経過後も使用に耐えるものが多いため、稼働状況を確認しつつ適正な時期に整備を行っていく。
全体総括
令和3年度は新型コロナウイルス感染症が確認されてから2年以上が経ち、引き続き厳しい医療体制の中、感染対策と通常診療確保とのバランスに注力した1年であった。国による新型コロナウイルス感染症対策の補助事業を最大限活用しつつ、患者確保、収益回復への取り組みを強化する必要がある。令和4年度は公立病院経営強化ガイドラインに基づき、経営強化プランの策定を行っている。医療圏における機能分化・連携強化、医師・看護師の確保と働き方改革、新興感染症に備えた取り組み、施設・設備の最適化等について将来を見据えた検討を行う。経営形態の見直しの必要性は高くないと考えているが、今後も適宜、最適な経営形態のあり方については、継続して検討を行うものとする。