経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は平成24年度から28年度まで95~97%台で推移、平成29年度は実繰入額と地方債償還金の3~4割程度の減少が影響し86%台となったが、平成30年度においては、総収益、総費用とも前年とほぼ変わらなかったのに対し、償還金が約4割減となったことにより再び97%台となった。令和元年度は、総収益に対し総費用と償還元金がいずれも8%増となったことにより、収益的収支比率は98.6%となりほぼ前年並みとなった。依然として、100%未満であるため実質赤字経営となっているのが現状である。④企業債残高対事業規模比率は、地方債現在高が約3%減、営業収益が6.4%減となったのに対し一般管理費、維持管理費の縮小により一般会計負担額の大幅な減が図られ結果、前年比32.3%増となり、平均値、全国平均とも上回った。しかしながら、既設管路等における法定耐用年数が近づき老朽化してきているのが現実であるため、今後において多額の修繕費用が必要となる。このため、企業債借入も避けられないため当比率もさらに上昇していくものと推測される。将来的な使用料金の見直しも見据え、健全経営を図っていく必要がある。⑤経費回収率は、平成26年度まで汚水処理費の増加により年々減少傾向にあり平成27年度から平成29年度まで人件費の削減等により60%台で推移してきた。平成30年度においては修繕費減により再び平均値を上回ったものの令和元年度は、使用料収入が前年並みに対し汚水マンホール等の修繕費が約26%増となった結果、汚水処理費が約4.3%増となったことにより再び60%台となった。依然として使用料で回収すべき経費をすべて賄えていないのが現状である。⑥汚水処理原価は前年に平均値を下回ったが、本年度は有収水量が変動ないのに対し修繕費が約26%増となったため前年度比約12%増となり再び平均値を上回る結果となった。効率的な汚水処理が実施されている。⑦施設利用率は平均値、全国平均値とも大きく上回っており適切な施設規模となっている。⑧令和2年3月末現在の水洗化率は97.28%で、年々上昇傾向であり安定した使用料収入が確保されている。
老朽化の状況について
①処理場2施設当初整備期間昭和59年度~昭和62年度機能強化実施期間平成9~10年度平成25~29年度②汚水管整備期間昭和58年度~供用開始昭和63年3月整備全延長17,861.02m経年管延長30年以上17,087.85m95.67%25~29年0m0%20~24年98.00m0.55%15~19年547.88m3.07%10~14年127.29m0.71%9年以下0m0%
全体総括
当町における農業集落排水施設は、2箇所の処理場と汚水管渠を有している。この内、処理場においては、平成25~29年度にかけ全事業費の1/2ずつを国庫補助金と企業債を財源とし更新事業を実施したところである。一方、汚水管渠については経年劣化による老朽化や法定耐用年数を控え更新が必要となることは確実であることから更新に伴う補助事業採択を受けるため、平成30年度で管路の詳細調査、平成31年(令和元年)度で最適整備構想を策定、令和2年度で事業計画概要書を策定中であり令和3年度からハード事業(管路と汚水マンホールの更新)を順次実施予定である。以上から、今後において企業債残高も再び増加に転じると予想される。このような中、健全な経営を行っていくため令和6年度開始予定で進めている公営企業会計適用に向けた取り組みと合わせH28で策定した経営戦略の見直しを早急に行い、事業計画概要未策定地区の更新に向けた調査等の取り組みを継続し実施していく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の大幅な増加は見込めないため、前段に示す取り組みの中で安定した経営が図れるよう使用料金の見直しを検討していく。水洗化の取り組みについては、「水循環・資源循環のみち2015構想」の中で設定した令和12年度目標を見直し中であり、100%を目指し住民への周知を継続実施していく。