地域において担っている役割
高度急性期及び急性期医療を担う中核病院として、高度で専門的な医療を提供することに加え、公的病院として、大規模災害時に迅速に傷病者を受け入れるほか、第二種感染症指定医療機関として、感染症患者を受け入れ、良質で適切な医療を提供する役割も担っている。
経営の健全性・効率性について
医業収支比率と病床利用率は類似病院の平均値を下回り、経常収支比率と累積欠損金比率は高い値となっている。これは、4~5月に新型コロナウイルス感染症の院内感染が発生し、入院患者の受入を中止したことや、感染拡大による受診控えが主な要因である。今後は、救急・紹介患者を円滑に受け入れるなど、入院患者数を増やすための積極的な取組みを行い、早期の黒字化を目指す。材料費対医業収益比率は、後発医薬品の採用拡大に取り組んでいることなどから低く抑えられているものの、入院・外来の患者1人1日当たりの収益が類似病院平均値と比して低く、また、職員給与費対医業収益比率も高くなっていることから、収益増加に向けた経営改善が必要となる。
老朽化の状況について
有形資産の減価償却率が類似病院平均値と比べて高く、老朽化が進んでいると言える。実際に、建設から37年が経過し、施設・設備等の老朽化が著しくなっていることから、患者の利便性向上や老朽化への対応を目的として、これまで病棟改修や外来改修等を行ってきた。今後も、病院機能を維持・向上させるための改修工事や設備機器の更新等について、病院のビジョンや中長期的な経営状況、費用対効果等を考慮しながら検討していく予定である。
全体総括
R2年度においては医業収益は大きく落ち込んだものの、一般会計からの経営支援や新型コロナウイルス感染症関連補助金により、決算は183百万円余りの黒字となり、5年ぶりに経常利益を計上した。今後は、新規患者を受け入れて増収につなげることに加え、硬直化している人件費や各種委託料等の費用を見直して圧縮するなど、徹底的・抜本的な経営見直しを図る必要がある。また、市民に「選ばれる病院」として、ソフト面からも当院の魅力を高めていく必要がある。加えて、富山市病院事業局では令和元年度末に中長期計画を策定しており、この計画に定めた施策を着実に遂行することで、適正な利益を確保していくとともに、富山医療圏における急性期病院として、医療体制のさらなる強化を図り、質の高い医療の提供に努めていく。