地域において担っている役割
埼玉県の都道府県がん診療連携拠点病院に指定されている、がん診療専門の医療機関であり、地域の医療機関と連携して本県のがん医療水準の向上に努めている。平成25年度に病床数503床となり、多くのがん患者を受け入れる設備が整っている。また、がん医療技術の発展に伴い、がんゲノム医療などの先進的ながん医療にも積極的に取り組んでおり、令和元年度には受診から治療までの全過程を院内で一貫して受けることができる「がんゲノム医療拠点病院」に指定された。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率と②医業収支比率は、新型コロナウイルス感染症の影響で医業収益が減少したこと等により低下した。③累積欠損金比率は新病院建設後の平成25年度から30年度まで増加し、令和元年度は収支の改善により一時的に減少したが、令和2年度は患者数の減少等に伴い再び増加に転じた。④病床利用率は、新型コロナウイルス感染症の影響により患者数が減少したこと等により低下した。⑤⑥入院・外来患者1人1日当たり収益は上昇している。⑦職員給与費対医業収益比率と⑧材料費対医業収益比率は、医業収益の減少により増加した。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成25年度に病院を新築したこともあり、上昇傾向にあるものの、類似病院よりも比率は低くなっている。②器械備品減価償却率は、新病院オープンのため購入した備品の償却が進んだため、類似病院より比率は高くなっている。③1床当たり有形固定資産は平成27年度以降は横ばいとなっている。今後、数年以内に新病院オープン時に購入した医療機器の更新時期がまとめて到来する。医療機器は高度・専門医療の提供に要する備品であるが、更新に備えて十分な医業収益を確保していく必要がある。
全体総括
平成25年度の新病院建設に伴い103床増床したが、周辺の医療機関にがん治療の均てん化が進み、特に消化器外科系で競合が激しくなっている。近年は主に術前患者をサポートする周術期センターの運用を拡大するなど、患者が安心してスムーズに治療できる環境の整備に努めているほか、がんゲノム等先進的な医療に取り組むなどしている。また、化学療法が入院から外来にシフトしているため、通院治療センターのさらなる充実を図っている。今後は地域医療機関と患者の紹介・逆紹介に努めるなど連携を強化し、充実した医療の提供を拡充していく。