経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率本年度の値が落ち込んでいるのは、公営企業移行のため打ち切り決算を行ったためで、本来の収支は前年並みである。他会計繰入金に頼るところが大きいので、収益率向上に向けた経営改善等の取組みが必要である。④企業債残高対事業規模比率類似団体平均値と比べて高い状況なのは、市内11ヶ所と施設数が多く当初整備時の企業債残高が多いためである。本年度の上昇は公営企業会計適用債によるもの。⑤経費回収率打ち切り決算の影響で低い値になっているが、本来の値は前年並みである。老朽化による修繕費増加等が目立つので、料金収入の増加に向けた抜本的対策が必要である。⑥汚水処理原価類似団体平均値で推移している。今後も維持管理費が増える見込みのため、この水準を維持する対策が必要である。⑦施設利用率利用率は高い水準を示しているが、今後は人口減少により供用人口にも減少傾向が進むと予想される。⑧水洗化率類似団体平均値よりは高い水準であるが、収支を改善するため100%に向けて普及促進をする必要がある。
老朽化の状況について
市内11ヶ所の施設で最も古いものが昭和62年7月の供用開始なので耐用年数(50年)を経過する管渠はなく更新は見込んでいない。今後は老朽化による破損等の発生が多くなる見込みで、個別の施設として管理していくのが難しくなると予想される。財源確保や長寿命化計画・投資計画に基づく健全な維持管理策を検討するとともに、早い段階での施設同士の統合や公共下水道への接続等の対策を考えるべきである。
全体総括
現在は適正規模の利用率であるが、今後の人口減少や高齢化に備えた収支比率向上対策の検討が必要である。今後の改修整備事業等の投資計画においては、企業債残高に極端な増加が生じないよう考慮する必要がある。また、適正な使用料収入を確保するため接続率の向上を図り、併せて汚水処理費や維持管理費の削減が必要である。令和2年度より地方公営企業法を適用するので、財政基盤の強化、経営の健全化を図る努力が肝要である。