経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、令和元年度に下落していたが令和2年度は回復している。これは主に令和元年東日本台風による被害(以下「台風被災」という。)による災害復旧に充てた修繕費等の減少による。②累積欠損金比率は、存在していない。③流動比率は、平成30年度以降増加傾向にある。これは、主に更新計画に基づく投資額の減少に伴う現金の増による。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益の約5倍の企業債残高があることを示し、類似団体や全国平均より高くなっている。⑤料金回収率は前年度より増加している。これは台風被災等の影響が少なくなったことによる給水収益の増加による。⑥給水原価は、1㎥当たり120円台で推移しており、全国平均や類似団体と比べて低い。⑦施設利用率は、令和2年度は前年度より微増となり、全国平均や類似団体平均より高い。なお、平成29年度の大幅な上昇は平成28年度末の第5次拡張事業への変更認可によるものである。⑧有収率は、年度ごとに増減があるが全般的には低下傾向にある。令和2年度は前年度の台風被災等の影響に比して少し回復している。経営の健全性・効率性は、①~⑦の指標からは比較的良い状態を保てているが、⑧の指標ではやや低い状況にあると分析される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、令和元年度は全国平均や類似団体を上回る約53%であり、水道施設全体の平均が耐用年数の半分以上の期間を経過したことを示している。経年比較は類似団体と同様に上昇傾向にある。②管路経年化率は、平成10年度から平成22年度にかけて石綿セメント管を集中的に更新したことにより、全国平均や類似団体を下回っている。しかし、主に塩ビ管の耐用年数超過が増加し始めたことから、経年比較は類似団体と同様に上昇傾向である。③管路更新率は、令和2年度は前年度より増加したものの、全国平均や類似団体に比べても低い。これは施設更新や紫外線照射装置の整備に資金を充てたためであり、更新計画に基づいて実施しているものである。
全体総括
比較的安定した経営を継続できていると捉えている。令和2年度については、前年度の台風被災や新型コロナウイルス感染症の影響があるものの、主に修繕費の減少により経常利益が増加している。また、有収率の低下傾向と管路経年化比率の上昇については、抑制することが課題である。今後も引き続き、有収率向上のための効果的な漏水調査や、老朽管更新工事等の計画的な実施が、重要であると考えられる。