経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は110%台であり、また改善傾向である。平成26年度に急上昇しているが、これは地方公営企業会計基準の改正(以下「新会計基準」という。)の影響である。②累積欠損金比率は、存在していない。③流動比率は、新会計基準適用後の平成26年度以降を見ると、200%台でほぼ横ばいである。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益の5倍弱の企業債残高があることを示し、類似団体や全国平均より高くなっている。⑤料金回収率は100%を超え、また改善傾向である。平成26年度の急上昇は新会計基準の影響である。⑥給水原価は、新会計基準の影響で減少した平成26年度以降、1㎥当たり120円台で減少傾向で推移しており、全国平均や類似団体と比べて低い。⑦施設利用率は全国平均や類似団体平均より高い。また給水需要の減少に比例して減少傾向にあったが、平成28年度は配水量の増加により上昇した。ただし、⑧の有収率低下から、収益にならない配水量の増加が示唆される。⑧有収率は、82~86%の範囲で年度ごとに増減があるが全般的には低下傾向にある。また全国平均や類似団体に比べても低くなっている。経営の健全性・効率性は、①~⑥の指標からは比較的良い状態を保てているが、⑦、⑧の指標から見るとやや低い状況にあると分析される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、全国平均や類似団体を上回る約48%であり、水道施設全体の平均が耐用年数の半分弱の期間を経過したことを示している。経年比較は類似団体と同様に上昇傾向にある。②管路経年化率は、平成10年度から平成22年度にかけて石綿セメント管を集中的に更新したことにより、全国平均や類似団体を下回っている。経年比較は類似団体と同様に上昇傾向であり、また平成28年度は上げ幅が大きかった。③管路更新率は、更新計画に基づいて実施しており、近年増加させていたが、平成28年度については管網整備工事に資金を充てたため減少している。全般的に全国平均や類似団体に比べて低くなっている。
全体総括
比較的安定した経営状況といえる。ただし、有収率の低下と管路経年化比率の上昇が、例年より大きかった。今後は、有収率向上のための効果的な漏水調査や、老朽管更新工事等の計画的な執行が、重要になると考えられる。