地域において担っている役割
日本海総合病院は庄内二次医療圏の中核的な医療機関として、急性期の患者に対し状態の早期安定化に向け、診療密度が特に高い医療を提供する役割を担っています。また、平成30年度から酒田市より移管統合された日本海八幡クリニック等5つの診療所の効率的かつ効果的な業務運営を担っています。さらには、地域の医療機関等との連携を一層推進するため、地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」への参画等を通して、積極的に地域医療構想の実現と地域包括ケアシステムの構築に資する役割を担っています。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は、「地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構第4期中期計画」の初年度に当たり、中期計画において取り組んでいくこととされていた事業計画及び財務計画の目標を着実に実施しました。「①経常収支比率」及び「②医業収支比率」は、中期計画の目標値である100%以上を維持しています。他の経営指標についてもおおむね良好な水準で推移しており、健全な事業運営を行っています。「④病床利用率」については、新型コロナウィルス感染症の影響による複合的な要因から他の類似病院同様に大きく値が下がりました。
老朽化の状況について
日本海総合病院では、施設の経過年数や老朽化の状況を踏まえ、優先順位に配慮した計画的な施設整備を進めています。「①有形固定資産減価償却率」は、建物の増築工事完了から間もないこともあり、類似病院平均値に比べて低い水準で推移しています。「②器械備品減価償却率」は、近年、リニアックやdaVinci等の高額な医療機器の整備を行ったため、数値は下降しました。「③1床当たり有形固定資産」は、類似病院平均値に比べて低い水準で推移しています。
全体総括
近年、医療の高度化や医療需要の多様化が進む一方で、地域包括ケアシステムの構築等が急務の課題とされております。また、国の社会保障制度改革において、病院・病床機能の分化、在宅医療の推進等の方向性が示されています。また、この節の新型コロナウイルス感染症への一連の対応等、医療への負担はこれまでにない程に高まりを見せています。このような状況の中、山形県・酒田市病院機構の基本理念である「安心、信頼、高度な医療提供」、「保健、医療、福祉の地域連携」及び「地域に貢献する病院経営」のもと、地域の医療ネットワークの中核病院としての役割を果たし、良質で信頼される医療の提供に努めます。