経営の健全性・効率性について
特定地域生活排水事業については、市内全域において毎年整備を進めている。事業着手から15年が経過し、法定耐用年数(28年)の半分を経過したものもある。過去3年間の推移を見ると、戸別浄化槽の普及に伴い使用料収入は増加し続けているものの、①経常収支比率及び⑤経費回収率は減少傾向にある。また、⑥汚水処理原価が増加している。普及に伴う汚水処理費(薬品費、委託料)が増加しており、今後においては老朽化等に伴う修繕費の発生も見込まれる。更に、現在は使用料収入で汚水処理費を概ね賄うことができているものの、本事業の処理区域では人口減少が進んでおり、使用料収入への影響が懸念される。このことから、今後における安定経営の検討が必要である。本事業は令和2年度から地方公営企業法を適用する。安定経営を継続していくため、令和2年度以降には財政シミュレーションを行いながら、適正水準による使用料収入の確保、管理手法の見直し等による汚水処理費の抑制を検討する。令和3年度には経営戦略(改訂版)を策定し、早い段階で検討結果を実行する。
老朽化の状況について
1で示したとおり、供用開始から法定耐用年数の半分を経過した戸別浄化槽もある。今後においては老朽化に伴う修繕費の発生が見込まれるため、管理手法の見直し等を検討する必要がある。
全体総括
一般会計で企業債償還金を負担していることから、④企業債残高対事業規模比率に当該団体値は表れていない。本事業は現在も整備を継続していることから、企業債残高等の動向については注視していく必要がある。令和2年度の地方公営企業法適用後には、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)の作成を通して経営状況が明確に表れる。安定経営と事業推進のバランスが求められることから、従来行ってきた管理手法等の見直し、適正な使用料及び一般会計繰入金のあり方に関する検討が急務である。戸別浄化槽については、汚水処理費の縮減が他事業と比較して困難となることが予想されるが、今後においては、1及び2で示した内容について着実に進めていく。