外ヶ浜町：外ケ浜中央病院

地域において担っている役割

外ヶ浜中央病院は青森地域医療圏内で蓬田村以北の２町１村を主たる診療域とする地域唯一の救急医療（第二次）及びへき地医療を担う自治体病院として地域医療の維持・確立に欠かせない医療施設となっている。また、併設する介護老人保健施設や診療域内の特別養護老人ホーム及びグループホーム等への定期的な巡回診療を行うなど、福祉施設との連携を密にし、医療から介護、健康管理までを考慮した地域包括ケアシステムの構築及びその推進にも努めている。

経営の健全性・効率性について

人口減少に伴う患者数の減少や少子高齢化による患者層の激変による平均診療単価の逓減等及び医療従事者の高齢化による人件費負担の増加等、医療及び経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、一般会計からの多額な繰入金により、辛うじて黒字経営を維持しており、その結果、累積欠損金も生じていない状況である。しかし、収支ギャップ及び一般会計からの繰入金は年々拡大していることから、更なる経営の健全化が求められている。病床利用率は80%半ばと比較的高水準となっているが、これまで2度の減床措置を講じた結果であり、更なる効率化に向け、随時、病床規模の見直しを行うこととする。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率は類似病院平均値及び全国平均値を下回っているものの、年々増加傾向にあり、法定耐用年数に近づきつつある。また、器械備品減価償却率は類似病院平均値及び全国平均値を上回っていたが、平成30年度において医療機器の更新による資産の除却を行ったことから減価償却累計額及び償却率が減少した。関係法令の遵守や法定耐用年数超過資産の更新等は必要であるが、多額の更新投資を要することから、経営状況を踏まえつつ、計画的に取り組んでいくこととする。また、１床当たり有形固定資産額は類似病院平均値及び全国平均値を下回っていることからこれまでの投資規模は適正であったと思われる。

全体総括

歯止めがかからない患者数の減少により、収益の増加が見込めない一方、職員の高齢化や減価償却費及び維持補修費の高止まり等により、収支ギャップが年々拡大し、これを補てんする一般会計からの繰入金が増加傾向にある。こうした状況にあっても地域医療の維持・確立をはじめ、当院が担うべき役割を果たしていくためには、新公立病院改革プランの着実な遂行及び地域医療構想の趣旨に則った病床機能・規模の見直し等が必要である。働き方改革による労務環境や賃金体系等の改善・見直しが求められている今次、極度な人件費負担等の抑制が見込めないこと等を踏まえ、収益を確保する観点から、収益性が高く、今後需要が高まるとされている「地域包括ケア病床」への転換を本格的に検討することとする。