地域において担っている役割
青森市立浪岡病院は、浪岡地区で唯一、地域医療のための病床と救急機能を有する病院であり、地域住民の健康管理、疾病の治療や予防の基幹病院としての役割を担っている。また、浪岡地区の地域包括ケアシステムの中核としての役割を果たすため、平成30年5月より「在宅療養支援病院」として、訪問診療を開始したところである。
経営の健全性・効率性について
当院の診療状況は、常勤医師の異動等の影響もあり表④のとおり病床利用率が低水準で推移しており、平成30年度においても、精神神経科病床を9月末で廃止したこと等により、病床利用率が前年度に比べ9.3ポイント減少したところである。この結果、経営状況は表①のとおり経常収支比率が100%を下回り赤字となっており、表③のとおり累積欠損金比率は増加傾向にある。また、表⑤のとおり入院患者1人1日当たり収益は、単価の低い精神神経科病床を廃止した影響により類似病院の平均値を上回ったものの、表⑥のとおり外来患者1人1日当たり収益は類似病院の平均値を下回り、表⑦のとおり職員給与費対医業収益比率は類似病院の平均値を上回るなど、非常に厳しい経営状況となっている。
老朽化の状況について
現在の一般病棟については、昭和45年9月に建設され、昭和58年5月の日本海中部地震で被害を受け災害復旧工事により補強したものの、水周りや空調設備をはじめ、施設全体の老朽化が著しい状況にある。このため、表①②のとおり有形固定資産全体及び器機備品の減価償却率は類似病院・全国とも平均値を上回り、③1床当たり有形固定資産は、平成30年9月末での精神神経科病床(109床)の廃止、一般病床についても92床から35床へのダウンサイジングにより、平均値を上回ったところである。なお、当院は、令和3年5月の新病院開院に向け、一般病床数35床の規模で建替事業を進めているところである。
全体総括
当院の経営状況は、患者数の減少等により赤字が続き、累積欠損金が増加している状況にある。このような状況を解消するため、平成29年度に策定した「青森市公立病院改革プラン2016-2020」及び「同プランの加速化に向けて」に基づき、一般病床35床での新病院建替事業や在宅療養支援病院として浪岡地区の在宅医療の充実に取り組むほか、収入増加・確保対策や経費削減・抑制対策などの取組を着実に進めるとともに、一般会計からの支援を受けつつ、早期の黒字化及び累積欠損金の解消により持続可能な病院経営を目指すこととしている。