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地方財政ダッシュボード

大阪府大東市の財政状況(2018年度)

🏠大東市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2018年度)

財政力指数の分析欄

市税収入が低水準で推移していることに加え、社会保障経費が増加し続けていることから、平成21年度以降は低下または横ばいで推移している。平成30年度は、市町村民税の所得割や法人税割の増により分子である基準財政収入額が増加したが、社会福祉費や高齢者保健福祉費の増加により分母である基準財政需要額も増加したため、財政力指数は前年度と同じ0.76となった。今後も、少子高齢化に伴い、納税義務者数が減少することで、市税収入の大幅な増加は見込めないが、平成27年度に制定した行政経営改革指針に沿って、人口流入や企業誘致に取り組み、自主財源の確保に努めるとともに、事業の選択と集中を基本とした財政運営を推進することで、財政基盤の強化を図っていく。

経常収支比率の分析欄

類似団体内平均値と比較して高い値で推移しているが、これは扶助費の比率が高いことが主な要因となっている。平成30年度決算では、分子となる経常経費充当一般財源等は、増加傾向が続く扶助費(保育関連、障害福祉分野)、物件費、公債費が増加したが、人件費、補助費等(下水道事業負担金)が減少したため、経常経費充当一般財源等全体としては減少した。分母となる経常一般財源等は、市税(個人・法人市民税)、各種交付金、地方交付税などの増により増加したため、経常収支比率は前年度比で0.7ポイント改善した。なお、臨時財政対策債については平成24年度より発行抑制を行っている。平成30年度においては2億50百万円の発行抑止を行ったことで比率を上昇(1.0ポイント)させる要因となっているが、後年度の公債費抑制のため今後も出来る限り継続する方針である。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口が減少傾向にある中、類似団体内平均値や大阪府平均を下回る水準で推移しているのは、これまで行ってきた指定管理者制度の導入、事務事業の民間委託等の行財政改革や消防広域化などによって職員数を削減してきたことによる人件費の大幅な減少が主な要因である。平成30年度決算では、ふるさと納税寄附金の増加に伴い事務費が増加したことや、府営住宅の移管による住宅管理経費の増加により、人口1人あたりの決算額は増加した。今後も委託料などの物件費や、公共施設の老朽化等に対応するための維持補修費の増加が見込まれるが、事務の優先順位の確立、ICT・RPA・AIの活用による事務の効率化や施策の重点化・平準化を図るほか、事務事業のアウトソーシングを推進することで、より効率的な行財政運営に努めていく。

ラスパイレス指数の分析欄

平成26年度より経験年数階層の分布変動のため、全国平均や大阪府平均を下回る水準となっており、今後も各種手当の見直しなどの給与抑制措置により、給与の適正化に努めていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

全国平均や大阪府平均を大きく下回っており、類似団体内平均値と比較しても少なくなっている。行財政改革プランⅡ(計画期間:平成22年度~26年度)の目標値を上回るペースで職員の削減が進んできた。今後も引き続き、定員管理の適正化に努めていく。

実質公債費比率の分析欄

類似団体内平均値より低い水準で推移しているものの、近年は上昇傾向にある。平成30年度は、普通交付税および臨時財政対策債発行可能額の増加などにより分母が増加した。分子については、控除対象である特定財源の額、基準財政需要額に算入される公債費は増加したものの、据置期間の終了による元利償還金(主に臨時財政対策債)が増加したことなどにより分母以上の増加となった。そのため、単年度実質公債費比率は0.9ポイント悪化し、低水準であった平成27年度の単年度実質公債費比率が算定対象外となったことも影響し、実質公債費比率(3カ年平均)は前年度より0.5ポイント悪化した。今後、野崎駅・四条畷駅周辺整備事業、北条まちづくり推進事業などの大型事業が控えており、比率の上昇が見込まれるが、臨時財政対策債の発行抑制を行うなど、後年度の公債費負担を鑑みながら、地方債の発行を行っていく。

将来負担比率の分析欄

平成30度決算では、分母については、控除対象である算入公債費等の額の増加以上に、標準財政規模が増加したため分母全体では増加となった。分子については、控除対象である充当可能財源等(都市計画税)の減少や、将来負担額の公営企業債等繰入見込額(下水道事業会計)が増加したものの、地方債の現在高が減少したことで、分子全体としては減少となった。なお、将来負担比率の分子である〈将来負担額-充当可能財源等〉については、平成25年度末の土地開発公社解散に伴う将来負担額の大幅減及び充当可能財源等の大幅増により、平成25年度決算以降、充当可能財源等が将来負担額を上回るようになり、平成30年度においても同様に推移している。今後も事業実施の適正化を図り、将来負担の抑制に努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2018年度)

人件費の分析欄

これまで行ってきた指定管理者制度の導入、事務事業の民間委託等の行財政改革や消防の広域化などによって職員数を削減してきたことによって類似団体内平均値よりも低い水準での推移が続いている。平成30年度決算では、退職者数の減少に伴う、退職手当の減により前年度から1.1ポイント改善した。今後も、引き続き職員数の適正化を図りながら、民間活力の導入とICT・RPA・AIの活用による事務の効率化を進めることで人件費総額の抑制に努めていく。

物件費の分析欄

物件費が高い要因としては、職員数の削減により人件費を抑制している一方で、新規施設への指定管理者制度追加導入や窓口業務等の委託化が進んでいることが挙げられる。平成30年度決算では、指定管理者の管理運営経費、情報システム経費の増加により前年度から0.3ポイント悪化し、類似団体内平均値と比較して高い水準で推移している。今後も事務事業のアウトソーシングを推進する上で委託料の増加が見込まれるが、委託内容の精査を行い適正な執行に努めていく。

扶助費の分析欄

平成30年度決算では、子ども子育て支援法に基づく施設型給付・地域型保育給付費、障害者自立支援給付費の増加が続いているため前年度より0.3ポイント悪化し、類似団体内平均値よりも高い水準での推移が続いている。今後も保育関連や障害福祉の分野での経費の増加が見込まれることから、他団体の動向も鑑みながら適切に施策を実施し、扶助費の増加傾向に歯止めをかけるよう努めていく。

その他の分析欄

平成27年度は、下水道事業の公営企業法適用に伴う繰出金の性質変更により比率が大幅に下降し、類似団体内平均値を下回った。その後同水準で推移していたが、国保特会、介護特会、後期特会への繰出金が、給付費負担部分の増加に比例して増加し続けているため、平成29年度では類似団体内平均値を上回った。平成30年度決算では国保特会、介護特会、後期特会などの繰出金の額が減少した一方、下水道事業会計への投資及び出資金・貸付金の増加により前年度より0.1ポイント悪化し14.7%となり、前年に続き類似団体内平均値より高くなっている。

補助費等の分析欄

平成30年度決算では、下水道事業会計負担金等の減により前年度よりも1.4ポイント改善したが、類似団体内平均値と比較して高い水準で推移している。今後、補助金等の適正化や公営企業会計の健全化に努め、補助費等の抑制を図っていく。

公債費の分析欄

類似団体内平均値と同水準での推移が続いているが、平成30年度決算では、据置期間の終了による元利償還金(主に臨時財政対策債)が増加したことなどにより、前年度から1.1ポイント悪化した。今後は、野崎駅・四条畷駅周辺整備事業、北条まちづくり推進事業などの大型事業が控えていることから、公債費の増加が見込まれる。引き続き市債発行の抑制を行うとともに「市債を財源とする事業の必要性」や「市債発行以外の財源調達の可能性」を十分に検討し、公債費の抑制につなげていく。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率が類似団体内平均値と比較して高い要因は、主として扶助費・物件費・補助費等が高いことにある。行政経営改革指針に沿って、人口流入や企業誘致に取り組むことで、安定的な財源を確保するとともに、ビルドアンドスクラップの徹底による歳出の抑制に努めることにより、改善を図っていく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2018年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体内平均値と比較して、民生費が突出して高い傾向にあり、歳出決算総額の46%を構成し、住民一人当たり156,183円となっている。民生費、議会費を除くその他の目的別歳出決算については類似団体内平均値より低い水準で推移しているが、土木費及び教育費については平成29年度のみ、財政調整基金から他の特定目的金へ振り替えた(公共施設等整備保全基金に15億4百万円、市営住宅整備基金に4億57百万円、学校教育施設整備基金に15億4百万円)ことにより類似団体内平均値を上回ることとなった。衛生費については、類似団体内平均値を大きく下回る水準で推移しているが、主な要因としては、市立病院の廃止により、平成3年度以降、病院事業会計への繰出金が必要なくなったことが挙げられる。商工費についても、類似団体内平均値を大きく下回り、類似団体内で最も少なくなっている。これまでも住工調和事業で企業誘致を図るなどの取組みを行ってきたが、平成28年度には、相談支援などにより市内企業の売上向上や創業促進を図るため「D-biz」を立ち上げており、今後さらに市内産業の活性化に向けた取組みを進めていく。なお、土木費については、平成26年3月末に土地開発公社が解散したことに伴い、それまで公社の利子負担軽減のために行っていた公社への貸付が不要となったため、平成26年度以降は類似団体内平均値より低い水準で推移している。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2018年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり338,689円となっている。主な構成項目である扶助費は、住民一人当たり98,117円となっており、全国平均や大阪府平均と比較すると低くなっているものの、類似団体内では一人当たりコストが最も高い状況となっている。保育関連や障害福祉の分野で経費が年々膨らんでおり、今後も扶助費の増加傾向は続くものと見込まれる。そのため、他団体の動向も鑑みながら適切に施策を実施し、扶助費の増加を抑制する必要がある。物件費については、類似団体内平均値と同水準で推移していたが近年増加を続けており、平成30年度決算では住民一人当たり57,406円となり、平成26年度決算と比較すると約24%増加している。これは、職員数の削減に伴い、指定管理者制度の導入や、窓口業務など各種業務の委託化を進めてきたことによる。今後も事務事業のアウトソーシングを推進する上で、これまでより高い水準で推移することが見込まれる。人件費については、行財政改革による職員数の削減等の結果、類似団体内平均値を下回る水準で推移してきている。普通建設事業費については、近年においては大型事業がなかったため、類似団体内平均値を大きく下回る状況で推移しているが、今後は野崎駅・四条畷駅周辺整備事業や北条まちづくり推進事業などの大型事業を予定しており、公債費も含め今後増加が見込まれる。積立金において、平成30年度決算においては前年度より大幅に減少しているのは、平成29年度決算において公共施設等の老朽化への対応を目的に、財政調整基金を取崩し、他の特定目的金への振替えを行ったためである。

実質収支比率等に係る経年分析(2018年度)

分析欄

平成30年度は、歳入決算(固定資産税、国庫支出金)が減少したものの、歳出決算(人件費、扶助費、繰出金)も減少したことにより、前年度に引き続き財政調整基金を繰り入れることなく実質収支の黒字を確保している。財政調整基金残高においては、前年度、特定目的金(公共施設等整備保全基金、市営住宅整備基金、学校教育施設整備基金)へ振り替えたことにより減少したが、30年度においては標準財政規模比は19.89%と同水準を保っている。実質単年度収支については、28年度は国民健康保険特別会計に対する赤字補填、29年度は特定目的基金への振替えのため財政調整基金を取り崩していた影響により赤字であったが、3年ぶりに黒字に転じた。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2018年度)

分析欄

国民健康保険特別会計については、毎年赤字となっていたため、平成27年度より一般会計から赤字補てんの繰入を行っていたが、給付に見合った適正な賦課をすべく平成28年度に保険税改定を行ったほか、滞納者への戸別訪問やコールセンター設置などにより保険税収納率の向上に努めたこともあり、平成29年度は一般会計から赤字補てんのための繰入を実施することなく黒字に転じた。水道事業会計は引き続き多額の黒字(資金剰余)で推移しており、平成30年度においても前年に引き続き全会計で黒字となった。

実質公債費比率(分子)の構造(2018年度)

分析欄

平成30年度については、公営企業債の元利償還金に対する繰入金は減少したものの、据置期間の終了により元利償還金(主に臨時財政対策債)が増加した。一方、控除対象である算入公債費等は増加したが、全体としては実質公債費比率の分子が前年度より増加し、平成26年以降増加傾向にある。主な要因としては、各項目において年度間の増減はあるものの、平成29年度算定において公営企業に対する繰出金が増加(主に下水道事業への繰出)し、平成30年度算定においても同水準のままであることが挙げられる。今後、野崎駅・四条畷駅周辺整備事業、北条まちづくり推進事業などの大型事業が控えており、比率の上昇が見込まれるが償還金の動向を注視しつつ、適正な市債発行に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2018年度)

分析欄

平成28年度は、東大阪都市清掃施設組合の新工場建設に伴い、組合の地方債現在高が増加したことから組合負担等見込額が増加している。平成29年度においては、一般会計等に係る地方債の現在高の減などにより将来負担額は前年度より減少したが、都市計画税の減により充当可能財源等が減少したため、将来負担比率の分子のマイナス値は29億53百万円減少した。平成30年度においては、前年に続き一般会計等に係る地方債の現在高の減などにより将来負担額は前年度より減少したが、公営企業債等繰入見込額(下水道事業会計)が増加したことにより、将来負担比率の分子のマイナス値は前年に比べ12億17百万円減少した。平成28年度より将来負担比率の分子は減少しているものの、平成26年3月の土地開発公社解散に伴い平成25年度以降、将来負担比率の分子はマイナス値を保っている。今後も後世への負担を考慮しつつ財政の健全化に向け、必要な手段を講じていく。

基金残高に係る経年分析(2018年度)

基金全体

(増減理由)・「財政調整基金」で購入した長期国債の運用差益を27百万円、「減債基金」へ前年度剰余金を330百万円、「ふるさと振興基金」へふるさと納税寄附金を290百万円を積み立てた一方、「公共施設等整備保全基金」から野崎駅・四条畷駅周辺整備事業のため258百万円、「教育文化基金」から学校のICT機器整備のため49百万円、「学校施設整備基金」から自然災害による小中学校運動場復旧工事のため92百万円、「ふるさと振興基金」から魅力づくり事業、小学校PC更新の費用などに計57百万円などを取り崩したため、基金全体の残高としては微減となった(今後の方針)・今後は社会保障費が増加し続けるという見通しの中、野崎駅・四条畷駅周辺整備事業、北条まちづくり推進事業などの大型事業や、公共施設等の老朽化対策の実施により中長期的には基金残高の減少が見込まれるため、持続可能な財政構造の確立に努める

財政調整基金

(増減理由)・財政調整基金から20年超の長期国債を購入し、運用差益として27百万円積み立てたことによる増加(今後の方針)・平成30年度決算においては、前年度に引き続き財政調整基金の繰入を行うことなく黒字を維持したが、中期的には収支不足に対応するため財政調整基金の繰入を行う必要が生じることが予想されるため、残高は減少していく見込み・市税収入の急激な減少、その他臨時的な歳入の減少または歳出の増加に対応するため、標準財政規模の20%に相当する額を財政調整基金に積み立てるよう努めることとしている

減債基金

(増減理由)・前年度剰余金を330百万円積み立てたことよる増加(今後の方針)・市債の利率見直し時の繰上償還分に充当するために積み立てる

その他特定目的基金

(基金の使途)・公共施設等整備保全基金:公共施設等の整備及び保全・庁舎整備基金:庁舎の建設及び大規模な改修工事等・学校施設整備基金:学校施設の整備・市営住宅整備基金:市営住宅の整備(増減理由)・公共施設等整備保全基金:野崎駅・四条畷駅周辺整備事業等に要した経費に充当したため338百万円減少・学校施設整備基金:自然災害による小中学校運動場復旧工事等に要した経費に充当したため143百万円減少・市営住宅整備基金:市営住宅の整備、北条まちづくり推進事業等に要した経費に充当したため71百万円減少(今後の方針)・公共施設等整備保全基金は、主要プロジェクトである野崎駅・四条畷駅周辺整備事業や公共施設等の老朽化対策のため、前年度剰余金を優先的に積み立てて財源の確保に努める・庁舎整備基金は近年中に予定する庁舎の建替えの財源として活用予定

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2018年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は66.7%と類似団体の中でも3番目に高く、全国平均や大阪府平均よりも高い水準で推移している。過去からの行財政改革の流れの中で、投資的経費を抑えてきたことが、有形固定資産減価償却率を高くしている。今後は、インフラ施設を含めた公共施設等の老朽化対策費用が必要となるため、平成29年2月に策定した公共施設等総合管理計画及び令和2年度に作成予定の個別施設計画に基づき、適正な維持管理と更新を行っていくことで改善を見込む。

債務償還比率の分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高が減少していること等により将来負担額が減少したものの、控除項目である充当可能財源も減少したため、分子の値は増加した。ただ、補助費等の経常経費充当財源等が減少したことや、控除項目である元金償還金が増加したことにより、分母の値も増加した結果、昨年よりも数値は33.6ポイント改善した。類似団体内平均値はやや上回っているものの、大阪府平均及び全国平均を下回っており、適正な数値を保っている。今後もビルドアンドスクラップの徹底による歳出の抑制に努めるとともに、適正な市債発行を行い、債務償還比率が急激に上がらないよう努めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

投資的経費を抑制してきた過去の経緯から有形固定資産減価償却率は高まっており、類似団体内平均値と比較しても高くなっている。一方、平成26年3月の土地開発公社解散以降、将来負担比率は該当無し(マイナス値)で推移している。また、臨時財政対策債の発行抑止や平成25年度に借り入れた三セク債の償還が進んでいることにより、比率に占める大きな要因の一つである一般会計等に係る地方債の現在高も、5年連続で減少している。ただし、今後は有形固定資産減価償却率の高まりから、インフラ施設を含めた公共施設等の老朽化対策費用が必要となってくるため、平成29年2月に策定した公共施設等総合管理計画及び令和2年度に作成予定の個別施設計画に基づき、適正な維持管理と更新を行っていくことで有形固定資産減価償却率の改善を見込むと共に、将来負担比率においても適切な比率を維持するよう努めていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

平成26年3月の土地開発公社解散に伴い、将来負担比率は該当無し(マイナス値)で推移している。また、比率に占める大きな要因の一つである一般会計等に係る地方債の現在高も、5年連続で減少している。一方、実質公債費比率においても、類似団体内平均値と比較して低い数値で推移しているものの、数値は平成26年度から5年連続で漸増している。近年においては、平成29年度算定から公営企業に対する繰出金(主に下水道事業への繰出)が増加傾向にあることや、平成30年度算定の元利償還金の増加(H26借入(据置3年)、H27借入(据置2年)、H29借入(据置なし)の臨時財政対策債の償還開始)などの影響が強く、3ヶ年平均を押し上げる要因となっている。今後、野崎駅・四条畷駅周辺整備事業、北条まちづくり推進事業などの大型事業や、インフラ施設を含めた公共施設等の老朽化対策費用等により、比率の上昇が見込まれるが償還金の動向を注視しつつ、適正な市債発行に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2018年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

公営住宅、橋りょう、学校施設を除いて、道路、認定こども園・幼稚園・保育所、公民館においては有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値よりも高い水準にある。特に道路については類似団体の中でも2番目に高く、大阪府平均や全国平均を大きく上回って推移しており、本市全体での有形固定資産減価償却率を引き上げている一因でもある。これは、本市の市道は、減価償却の進んでいる昭和50年代後半に整備を行った道路が多いこと、また、近年は行財政改革により投資的経費を抑制していることが原因と考えられる。道路一人当たり延長、幼稚園・保育所の一人当たり面積、学校施設の一人当たり面積、公民館の一人当たり面積は類似団体内平均値を大きく下回っており、公共施設等を必要以上に保有していないことが示されている。今後は行財政改革で捻出する財源や基金を活用しつつ、平成29年2月に策定した公共施設等総合管理計画及び令和2年度に作成予定の個別施設計画に基づき、適正な維持管理と更新を行っていくことで、老朽化対策に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2018年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

体育館・プール、一般廃棄物処理施設を除いて、図書館、福祉施設、市民会館、保健センター、消防施設、庁舎においては有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値と同水準あるいは高い水準にある。福祉施設については、学校施設跡地から福祉施設への転用などにより、平成26年度から平成27年度にかけて計画的に大規模な修繕等を実施していることから、一人当たり面積は比較的高くなっており、有形固定資産減価償却率も類似団体内平均値とほぼ同水準にある。一方、庁舎については、建設から50年余りが経過し老朽化が進んでいるため有形固定資産減価償却率は類似団体の中では3番目に高く、全国平均や大阪府平均と比べても、非常に高い水準のまま推移している。今後は、令和2年度機構改革により立ち上げた行政サービス向上室を中心に、現庁舎の課題を踏まえた将来のまちのあり方・市庁舎の機能について、総合的・長期的視点から検討を行い、費用対効果を勘案しながら、新庁舎建設事業を進めていく。

財務書類に関する情報①(2018年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から2,252百万円の増加(+2.0%)となった。金額変動の大きいものは、インフラ資産と出資金であり、インフラ資産については道路・公園の整備工事等による資産の取得額(1,886百万円)が減価償却による資産の減少を上回ったこと等から1,423百万円増加し、出資金は下水道事業への繰出により424百万円増加した。一方、一般会計等における負債総額は前年度末から1,221百万円の減少(△3.0%)となった。これは地方債償還額が発行額を上回り、1年内償還予定地方債を含めた地方債残高が1,052百万円減少(△2.9%)したことなどによる。今後も適切な地方債の発行により、負債の圧縮に努める。水道事業会計、下水道事業会計を加えた全体では、資産総額は前年度末から208百万円増加(+0.1%)し、負債総額は前年度末から3,052百万円減少(△4.2%)した。資産総額は上水道管、下水道管等のインフラ資産を計上していること等により、一般会計等に比べて77,544百万円多くなるが、負債総額も下水道の建設改良費等に地方債(固定負債)を充当したこと等から、30,794百万円多くなっている。連結では、資産総額が、大阪広域水道企業団が保有している送水施設等に係る資産を計上していること等により、一般会計等に比べて98,378百万円多くなるが、大阪広域水道企業団の借入金等があることから、負債総額も41,155百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は36,216百万円となり、前年度とほぼ同額であったが、物件費等が経常費用の31.0%(11,232百万円、前年度比+564百万円)を占めており、人件費に比べて割合が高くなっている。これは指定管理者制度の導入や業務の民間委託を積極的に進めていることが主な要因となっている。移転費用のうち、補助金等は臨時福祉給付金の支給が終了したことにより前年度比357百万円の減少(△5.8%)となったものの、社会保障給付が保育や障害者福祉分野の経費の増により前年度比514百万円の増加(+5.1%)となった。今後も、社会保障給付が増えていくことが見込まれるため、事業の精査等により経費の抑制に努める。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が5,077百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が18,730百万円多くなり、純行政コストは20,548百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、大阪広域水道企業団の使用料及び手数料を計上していることなどから、経常収益が6,698百万円多くなっている一方、大阪府後期高齢者広域連合の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が28,698百万円多くなり、純行政コストは32,750百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(36,100百万円)が純行政コスト(34,564百万円)を上回ったことから、本年度差額は1,537百万円(前年度比△237百万円)となった。また、府営住宅の移管等により無償所管換等を1,936百万円計上しており、純資産残高は3,472百万円の増加となった。財源のうち、税収等(25,613百万円、前年度比+359百万円)については、課税客体の確保や徴収強化を継続して行うことで更なる税収増加に努める。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が9,049百万円多くなっており、本年度差額は1,321百万円となり、純資産残高は3,260百万円の増加となった。連結では、大阪府後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が32,624百万円多くなっており、本年度差額は1,410百万円となり、純資産残高は3,364百万円の増加となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は2,812百万円であり業務支出の増により前年度比422百万円の減少(△13.0%)となった。経常的な活動に係る経費は税収等の収入で賄えている状況であるが、業務支出のうち、物件費等支出や社会保障給付支出が増加傾向にあることから、今後も効率的な業務の執行や適正な給付に努め、増加傾向の抑制を図る。一方、投資活動収支については、都市公園再整備事業等を行ったことから△1,416百万円となり、前年度比1,115百万円の増加(赤字額減少)となった。財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから△1,225百万円となっており、地方債等償還支出の増により前年度比395百万円の減少(赤字額増加)となった。本年度末資金残高は前年度から171百万円増加し、906百万円となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より4,120百万円多い6,932百万円となっている。投資活動収支では、大阪府の流域下水道建設事業への負担金を計上したこと等により、△3,690百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△2,973百万円となり、本年度資金残高は前年度から268百万円増加し、5,479百万円となった。連結では、大阪広域水道企業団における使用料及び手数料収入が業務収入に含まれることなどから、業務活動収支は一般会計等より9,346百万円多い12,158百万円となっている。投資活動収支では、大阪広域水道企業団の施設の新設改良費を計上したこと等により、△8,497百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△3,377百万円となり、本年度末資金残高は前年度から324百万円増加し、7,326百万円となった。

財務書類に関する情報②(2018年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額が類似団体平均値を大きく下回っているが、これは当団体が類似団体の中では面積が小さく、道路等の資産が少ないことや、投資的経費が類似団体と比較して少ない額で推移しており有形固定資産の減価償却が類似団体より進んでいること等による。歳入額対資産比率については、資産総額が少ないため類似団体平均値を下回っているが、前年度より0.28年増加した。これは資産総額が増加したことに加え、前年度に財政調整基金の一部(3,467百万円)を取り崩し、特定目的基金に積み立てたことで基金取崩収入が増加し、分母となる歳入総額が大幅増になったことの反動によるものである。有形固定資産減価償却率については、更新時期を迎えている資産が多く、類似団体平均値よりも高い水準にある。「大東市公共施設等総合管理計画」及び令和2年度策定予定の個別施設計画に基づき、老朽化した施設について、点検・診断や計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均値を下回っているが、税収等の財源が純行政コストを上回ったことなどから、純資産が増加し、前年度から1.7ポイント増加している。今後も業務の効率化等により行政コストの削減に努める。社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、類似団体平均値を上回っているが、地方債の償還が進んでいることから、前年度から1.5ポイント減少している。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を下回っている。これは、過去からの行財政改革の取組みを通じて、職員数の削減や、公共施設における指定管理者制度の導入等により、人件費抑制に努めてきたことによる。一方、外部への委託を積極的に行ってきたことにより、物件費が類似団体平均値よりもやや高くなっている。また、社会保障給付が増加傾向にあり、前年度より514百万円増加(+5.1%)となっている。今後も効率的な業務の執行に努め、行政コストの削減に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額が類似団体平均値を下回っているのは、地方債残高が類似団体平均値より少ないことに加え、職員数が類似団体平均値より少ないことから、退職手当引当金が少ないためと考えられる。基礎的財政収支は業務活動収支の黒字分が基金取崩収入及び基金積立金支出を除いた投資活動収支の赤字分を上回ったため、1,701百万円の黒字となっている。今後も、業務の効率化を進め、増加する社会保障給付への対応や必要な公共施設等の整備・老朽化対策が行えるように努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均値と同程度である。経常費用の中でも、物件費等の占める割合が31.0%と高く、今後は老朽化した施設の維持補修費の増加が見込まれる。「大東市公共施設等総合管理計画」及び令和2年度策定予定の個別施設計画に基づき、計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努め、経常費用の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,