地域において担っている役割
粒子線医療センター(たつの市)は陽子線及び重粒子線の2種類の粒子線治療が可能な世界初、日本唯一の施設として、高度ながん治療を実施するほか、効果が高い治療法の開発や適用症例の拡大のための取組を行っている。平成29年12月には、附属神戸陽子線センターが日本初の小児に重点を置いた陽子線治療施設として神戸市において開設し、隣接する小児がん拠点病院の県立こども病院の連携施設として、小児がん医療分野における高度専門医療を担っている。また、成人においてもたつの市の本院や近隣の連携施設と連携し、質の高い集学的治療を提供している。
経営の健全性・効率性について
粒子線医療センター(たつの市)においては、近隣府県に粒子線治療施設が開院したことと新型コロナウイルス感染症が影響し、実患者数が、減少した。附属神戸陽子線センターは平成29年12月開設以来、実患者数は着実に増加しているが、治療装置等の保守・運転等の委託費、小児患者に対応するための人件費等及び減価償却費が高額であるため、経常収支比率及び医業収支比率が低くなっている。紹介元病院の新規開拓や既紹介元病院との連携強化、粒子線治療のPRなど、患者数の確保に向けた取組みを一層推進するとともに、経費縮減を進め収支改善に努める。
老朽化の状況について
粒子線医療センター(たつの市)は、平成13年の開設から21年が経過し、粒子線治療装置をはじめ多くの設備・施設の老朽化が進んでいる。粒子線治療装置については、現有装置の部分改修を令和3年度までの計画で行っている。また、その他の設備・施設についても優先順位をつけて取り組んでゆく。
全体総括
がんの先進医療を担う施設として、粒子線治療の普及、人材育成、適用症例の拡大のための取組を今後も行っていく必要がある。現状、粒子線医療センター(たつの市)では、治療施設の増加による患者数の減少、新型コロナウイルス感染症による受診控えにより、経営状況は改善できなかったが、附属神戸陽子線センターでは、患者数の増加により経営状況の改善がみられた。今後、より一層の診療ネットワークの強化及び効果的な広報・PR等により患者数を確保し、光熱水費や委託経費の見直し等により、病院経営の健全化に取り組んでいく。