経営の健全性・効率性について
収益的収支比率の平成27年度の増加は、平成28年4月の公営企業会計への移行に伴う一般会計からの繰入金増額による一時的なものです。経費回収率は、平成27年度に隔月検針に移行した影響で一時的に前年より下がりましたが、類似団体平均値を上回っており汚水処理費を営業収益でほぼ賄うことが出来ている状況です。汚水処理原価は、地理的要因から維持管理費が高額であること等の問題点から類似団体平均値を上回っていますが、平成27年度は維持管理経費を節減したため汚水処理原価を抑制することが出来ました。企業債残高対事業規模比率が高く、経常費用のうち企業債の元利償還金の割合が約70%を占めるため、今後企業債による建設投資の平準化、企業債償還の財源の確保について検討が必要です。施設利用率は類似団体平均値を上回っており、汚水処理量に対する適切な施設規模であるといえます。
老朽化の状況について
当市では昭和40年の公共下水道供用開始から50年経過することから、平成22年度に「管渠長寿命化事業基本計画」を策定し、平成24年度より耐用年数を経過する汚水管を調査し改築が必要な管から順次管更生工事による長寿命化を進めています。平成27年度の管渠改善率は0.63%ですが、法定耐用年数を経過した汚水管のうち改築が必要な管については、平成27年度をもって長寿命化事業により改築済となっています。今後も法定耐用年数を経過する汚水管や施設、設備が増加することが見込まれるため、平成31年度までに「ストックマネジメント計画」を策定し、計画的かつ効率的な改築を進めます。
全体総括
公共下水道事業の経営は、収益的収支比率等からは安定していると言えますが、下水道使用料以外の収入に依存しています。今後、人口減少により営業収益の増加が見込めないため、下水道未接続者に対する接続促進による営業収益の確保と、施設の有効利用や汚水処理費の削減が必要です。平成28年4月の公営企業会計への移行により明確となる経営状況を反映し、ストックマネジメントによる投資計画と財源計画により、事業の効率性と経営の健全性の向上を目指します。