経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率下水道事業に関する費用(地方債償還金含む)を料金収入などでどの程度賄えているかを示す指標です。100%以上が基準とされますが、本市は50%未満で推移しており、費用を収益で賄えていない状況です。企業債の償還額が大きいことが要因であり、企業債の新規発行の抑制が必要です。④企業債残高対事業規模比率料金収入に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を示す指標です。類似団体では企業債残高の割合が減少傾向ですが、本市では増加傾向となっています。投資の合理化を図るなど企業債を抑制しながら、整備を進める必要があります。⑤経費回収率料金収入で賄うべき費用をどの程度賄えているかを示す指標です。数値が100%であれば全て賄えていることになります。本市は、60~70%で推移しており、全て賄えていない状況です。また、類似団体と比較しても低い状況のため、汚水処理費の削減や料金収入の確保が必要です。⑥汚水処理原価料金算定の基礎となる有取水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用を示す指標です。汚水処理費用の抑制に努めており、類似団体と比較してほぼ同水準で推移しています。今後も一層の費用削減に努めることが必要です。⑧水洗化率下水道処理区域内に居住する住民のうち、実際に下水道に接続し汚水処理している割合を示す指標です。下水道の整備途中であるため、類似団体と比較して低い数値となっています。水洗化率の向上は本市の大きな課題であり、実効性のある取り組みが必要です。
老朽化の状況について
汚水事業は昭和55年から工事着手し整備を順次進めてきました。現時点で最古の管渠が30年程度と早急な老朽化対策は必要な状況ではありません。雨水事業は昭和20年代から整備しており、一部管渠で老朽化がみられます。長寿命化計画に基づき、順次管更生に着手しています。今後は、汚水・雨水事業共にストックマネジメント計画の策定を踏まえ、順次老朽化対策を検討・実施することが必要です。
全体総括
本市の下水道普及率は県内平均や類似団体と比較して低いため、今後10年程度は未普及対策として市街地周辺地域の整備が必要です。しかし、経常収支比率が低いこと、毎年の企業債償還額が大きいこと、水洗化率が低いことなど、類似団体と比較しても、本市の下水道経営は厳しい状況です。今後、人口減少の中にあっても持続可能な下水道経営を図るため、公営企業会計への移行や経営戦略の策定を通じて、経営状況の的確な把握に努め、住民生活に密着した下水道事業を将来にわたって持続できるよう経営改善に努めることが必要です。