経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】農排施設の公共接続により総費用及び地方債償還金も減少しましたが、使用料収入も1億円を割り込むほど減少していることから100%を下回り、類似団体と比べても低い状況です。【累積欠損金比率】累積欠損金が無いため0%となっています。【流動比率】企業債償還金が主たる流動負債になりますが、流動負債に比べ現金預金や未収金などが非常に少ないことから、類似団体と比べてもかなり低い状況で、接続率を向上させることで構造改善を図る必要があります。【経費回収率】農排施設の公共接続により使用料収入が減少しましたが、修繕費や地方債償還金も減少しており、類似団体との比較においては平均を上回っています。ただし100%をを切っていることから、長期継続契約の採用等により経費の削減を図ることで、改善に取り組む必要があります。【汚水処理原価】類似団体より低い状況となっていますが、引き続き経費削減の取組を継続していきます。【施設利用率】農排施設の公共接続を順次行っており、類似団体との比較では、わずかに高い水準となっています。【水洗化率】類似団体よりも僅かに高いですが、今後も地域の協力も得ながら、更なる水洗化率の向上を図る必要があります。
老朽化の状況について
処理場について、施設が老朽化した大島地区の処理場を平成24年度に廃止し、公共下水道に接続しました。管渠については、米倉地区が昭和61年から工事に着手しており、管渠の法定耐用年数は50年とされているため、令和18年頃に耐用年数を迎えます。現状では老朽化による問題等は見られないため、更新工事は行っておりません。ただし、ポンプ類、ブロワ類及び計器類については、耐用年数がそれぞれ15年、20年、10年であり、耐用年数が経過した設備もあることから、適正な管理や早期の修繕により可能な限り耐用年数を延ばすことで、設備投資の増加を抑制しています。なお、有形固定資産減価償却率が低い値を示していますが、これは令和元年度から公営企業会計に移行し減価償却費の累積計算を開始したことによるためです。
全体総括
令和元年度は、地方公営企業法を一部適用して公営企業会計をスタートさせた初年度となります。増大する改築需要に対応するため、平成26年度に農業集落排水施設最適整備構想を策定しました。存続する処理場等では、修繕・改築を平準化することで施設の長寿命化を図りながら、経営の安定化を目指しています。また、接続促進員が、接続率の低い地区を重点的に個別訪問し、地域の協力を得ながら未接続世帯の解消、接続率の向上を図っています。これらの対応により、「経常収支比率」「経費回収率」「汚水処理原価」「施設利用率」の改善及び将来の管渠更新等に向けた資金の確保を目指します。「経費回収率」については、人口減少が進んでいることや、農業集落排水事業の「汚水処理原価」が公共下水道事業に比べて高いにもかかわらず、使用料が公共下水道事業より低い設定になっていることから、公共・農排を含めた全体的な使用料体系のあり方の検証が今後の課題となっています。