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地方財政ダッシュボード

福岡県筑後市の財政状況(2022年度)

🏠筑後市

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

3か年平均では対前年度比0.01ポイント悪化しているが、単年度では0.02ポイントの改善が見られた。前年度までの受診控え等の影響により生活保護費が大幅に増加するなど、基準財政需要額が増加した一方個人市民税及び法人市民税の伸びによる市民税の増加や、新築家屋や新規設備投資の伸びによる固定資産税の増加により、基準財政収入額の増加が上回ったことによるもの。社会保障経費や建設事業の増加が見込まれる中、選択と集中によりメリハリのある財政運営に努める。

経常収支比率の分析欄

人件費や公債費等の増加に伴い、経常収支比率は対前年度比1.1ポイント悪化した。これまで類似団体平均と概ね似た動きをしていたが、好調な税収の影響により3.6ポイント乖離する結果となった。扶助費を含めた義務的経費は今後も増加が見込まれるが、DXによる事務効率化等により人件費をはじめとする経常経費の抑制を図りつつ、定住促進や企業誘致による税収の確保、ふるさと納税や広告収入など自主財源の確保に取り組む。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

行財政改革として人員削減を行ってきた結果、類似団体に比べ職員数が少なく、物件費についても行政評価による事業の見直しや、枠配分予算編成により抑制に努めてきた経過がある。このことにより、1人当たり人件費・物件費等の決算額は類似団体や県平均を下回っている。人件費は対前年度比で増加しており、人件費単価の増加傾向は今後も続くと思われるが、事務効率化等により可能な範囲で抑制を図っていく。

ラスパイレス指数の分析欄

対前年度比で0.2ポイント低下したが、引き続き類似団体平均を上回る結果となった。少ない職員数で行政を行ううえで優秀な人材を確保するため、高校卒初任給の給与水準が比較的高いことが影響しているものと思われる。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

対前年度比0.07ポイント増加したものの、類似団体平均を大きく下回り、全国平均、福岡県平均よりも低い水準となっている。職員が担うべき業務範囲と、職員数とのバランスを見ながら引き続き最適化に努める。

実質公債費比率の分析欄

近年、交付税措置のある地方債を積極的に活用し事業を実施してきたこともあり、実質公債費比率は緩やかに悪化し続けている。現在実施している再編新設小学校整備事業や、今後控える庁舎建替えなど大規模事業による地方債発行額の増加が見込まれており、数値も大幅に悪化する見込みである。地方債発行の抑制や減債基金を活用した繰上償還等も視野に、早期健全化基準を下回らないようコントロールする必要がある。

将来負担比率の分析欄

標準財政規模の減少により分母は減少したが、充当可能基金の大幅な増加により充当可能財源等が伸び、実質的な将来負担額が大きく減少したことで、対前年度比21.4ポイント改善した。要因となっている庁舎建設基金については、近い将来で取り崩すことが予定されており、一時的な数値となっている。今後予定される大型の建設事業に伴い地方債現在高の増加が想定されており、数値の悪化が懸念される。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

人件費については類似団体や全国、県と概ね同水準で推移している。令和4年度については対前年度比で1.2ポイント増加した。前年度に比べ退職者数が多く、退職手当が増加したことで、類似団体平均の増加幅を上回ることとなった。給与水準や職員数の最適化と併せ、職員の計画的な採用によって人件費のトータルコストの平準化を目指す。

物件費の分析欄

対前年度比で0.8ポイント減少しているが、これは令和3年度のふるさと納税を原資とする繰入金を経常的な物件費に充当したことによるもの。また、事業の早期着手、事業量調整など、物価高騰の影響を鑑みた予算執行の取組を行ったことも一定程度影響している。今後も物価高騰等により経常経費の増加が想定されるが、真に必要な経費を見定める必要がある。

扶助費の分析欄

対前年度比で0.8ポイント減少したものの、依然として類似団体平均を大きく上回っている。引き続き障害者自立支援給付や子育て支援関連給付が増加傾向にあるなか、施設入所者数の減少により養護老人ホームの措置に要する経費など、経常的な一般財源が減少したことにより若干減少することとなった。削減が難しい経費であるため、他の性質も含め全体として経常経費のコントロールを考える必要がある。

その他の分析欄

その他の経費については対前年度比0.4ポイント増加しているが、繰出金の増加が主な要因となっている。中でも、人件費単価の増加に伴う各特別会計への人件費繰出の増加、高齢化に伴う介護や医療に対する負担の増加によるものであり、今後も繰出金の増加が懸念されるところである。市全体の財政状況を鑑みた事業計画、料金設定等を行い、バランスを取る必要がある。

補助費等の分析欄

類似団体平均と概ね同じ水準で推移しており、対前年度比で0.3ポイント増加している。これは子育て施策の一環として、障害児保育に係る保育士配置の要件緩和を実施したことで、対象補助金が大幅に増加したことが主な要因となっている。毎年のように新たな事業展開を行う中において、常態化している補助金については、目的・効果、必要性を十分検証したうえで、適宜見直しを行う必要がある。

公債費の分析欄

対前年度比で0.8ポイント増加したが、類似団体や全国、県平均を下回る水準で推移している。現在実施している再編新設小学校整備事業や、今後控える庁舎建替えなど大規模事業による地方債発行額の増加が見込まれており、公債費の大幅な増加が想定される。近年、交付税措置のある地方債を積極的に活用することで事業を実施してきたが、優先度や緊急度をもとに事業量を調整するなど、一定の抑制が必要となっている。

公債費以外の分析欄

対前年度比0.3ポイントの微増となっているが、公債費の比率が類似団体内で最も低いことから、その他の経常経費の割合が高いことが分かる。特に乖離の大きい扶助費が当市の課題であるが、その性質上、削減が難しく、大きな改善が見込めない現状である。今後は公債費も増加が見込まれることから経常収支比率の悪化が予想され、事業の統廃合など抜本的な見直しを行う必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別に見た場合のコストは民生費が最も高く、次いで総務費、教育費、衛生費の順となっている。類似団体平均と比べると、民生費や教育費が占める割合が高く、公債費や商工費、農林水産業費が占める割合が低くなった。民生費は類似団体平均を大きく上回っており、扶助費などの社会保障関連経費の増大に加え、独自の子育て支援関連施策などによるもの。教育費については、再編新設小学校整備事業の影響で昨年度比で大幅な増加となっており、老朽化した教育施設の更新等で今後も同水準で推移する可能性がある。金額で比較すると、公債費と消防費は類似団体内で最低となっているが、公債費は今後の庁舎建替えなどの大型建設事業の影響により増加するものと見込まれる。消防費については、単独で消防本部を保持しているにも関わらず費用がかかっていない結果となっているが、これは市域41.78?と非常にコンパクトであることが影響しているものと推察される。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

住民一人当たりの歳出総額は約458,254円(令和5.1.1現在人口/歳出総額)となっている。人件費をはじめ、ほとんどの経費が類似団体平均を下回る中、扶助費のみ上回っており、一人当たりのコストに占める割合も高くなっている。住民税非課税世帯等臨時特別給付金や子育て世帯生活支援特別給付金、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金など、全国一律に実施した給付事業の影響でコロナ禍以前と比較して高くなっているが、経常的な扶助費も依然として高い水準で推移している。一方、普通建設事業費などの投資的経費が少ない傾向にあるが、令和4年度は普通建設事業のうち新規整備に係る費用が前年度に比べ増加している。これは再編新設小学校整備事業によるものであり、今後控える庁舎建替えも含め増加傾向にある。また、普通建設事業費の増加に伴い、その財源として活用する地方債の発行額も多額になることから、今後は公債費の割合も高くなるものと想定される。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

歳入総額24,129,492千円、歳出総額22,639,104千円で形式収支は1,490,388千円の黒字となった。実質収支も1,322,441千円の黒字となったが、単年度収支、実質単年度収支は赤字となった。これは、前年度の実質収支が大きかったことと、庁舎建設基金に約1,000,000千円の積立を行ったことが主な要因となっている。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

住宅新築資金等貸付特別会計では、貸付金の滞納が多く赤字となっている。例年少額ずつ回収しているが、徴収強化など赤字解消に向けた取組が必要である。黒字額の大きな割合を占めるのが水道事業会計であるが、水道供給施設や老朽管更新のため、継続的な資本投資が見込まれており、経営戦略に沿った計画的な企業運営が求められる。一方、下水道事業については、一般会計からの多額の繰入により黒字化しており、健全な運営状態にあるとは言い難い状況にある。下水道整備区域内における接続率が低く、十分な料金収入が得られていないこともあり、事業計画の見直しも含めた検討が必要である。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

緊急防災・減災事業債などの防災対策関連を中心に、近年は積極的に地方債を活用した事業展開を行ってきたことから、元利償還金は年々増加傾向にある。交付税措置のある地方債を中心に活用しているため、実質公債費比率の分子は対前年度比で減少した。今後も大型の建設事業の実施に伴い、元利償還金が増加することが見込まれるが、基金の活用等も検討し、地方債だけに頼らない財政運営を行う必要がある。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

将来負担比率は年々改善しているが、令和4年度は対前年度比で-21.4ポイントと大幅に減少した。要因として、地方債の新規発行額よりも償還額が上回ったことで地方債現在高が減少したことと、庁舎建設基金へ約1,000百万円の積立を行ったことで充当可能基金が大幅に増加したことが挙げられる。しかし、庁舎建設基金については、近い将来で取り崩すことが予定されており、一時的に将来負担比率が減少しているだけであることを鑑み、中長期的な財政収支に基づく将来負担のコントロールに努める必要がある。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)令和4年度は後年度に控える庁舎建替えのため、庁舎建設基金に約1,000百万円、大規模災害等に備えるため財政調整基金に約200百万円を積み立てた。ふるさと筑後市応援基金については、ふるさと納税寄附額の伸びにより前年度以上の積立を行っている。また、消防車両更新等に備えるため、消防本部消防基金を新たに設置し、30百万円を積み立てた。このほか、ほとんどの基金において利子収入及び運用収入分の積立を行ったところである。(今後の方針)特定目的基金についてはその使途に沿った活用に向け適正に積立・取崩しを行う方針である。このうち公共施設建設基金については、公共施設マネジメントの考え方に基づき、施設の長寿命化や更新等の経費に活用できるよう、一部基金設置条例の改正も視野に検討する必要がある。また、今後実質公債費比率の悪化が想定される中、減債基金を用いた繰上償還についても現実的に検討する段階にある。

財政調整基金

(増減理由)大規模災害や今般の新型コロナウイルス感染症など不測の事態に備えるため、約200百万円の積立を実施。このほか利子収入及び運用収入(債券運用による売却益等)を積み立てた。(今後の方針)近年は好調な税収等により基金を取り崩す必要はなかったが、今後は物価高騰や義務的経費の増加、老朽化した公共施設の更新など財政状況が悪化する懸念があるため、先を見据えた財政運営を行い、可能な限り現在の水準を維持する方針。

減債基金

(増減理由)利子収入及び運用収入(債券運用による売却益等)を積み立てた。(今後の方針)今後控える庁舎建替えなどの大型建設事業により、公債費及び実質公債費比率の増加が想定されるため、減債基金を活用した繰上償還も検討する段階にある。例年利子収入等のみの積立を行っているが、繰上償還に向けた積立も考えられる。

その他特定目的基金

(基金の使途)①庁舎建設基金:市庁舎の建設を行う。②公共施設建設基金:公共施設の建設を行う。③ふるさと筑後市応援基金:ふるさと納税によって寄附された寄附金を適正に管理・活用し、寄附目的に沿った事業に活用する。(増減理由)①庁舎建設基金:後年度に控える庁舎建替えのため約1,000百万円を積み立てた。このほか、利子収入及び運用収入(債券運用による売却益等)を積み立てた。②公共施設建設基金:利子収入及び運用収入(債券運用による売却益等)を積み立てた。③ふるさと筑後市応援基金:前年度の積み残し+令和4年度寄附額+利子収入分で合計494百万円を積み立てた。一方、寄附目的に沿った事業に充当するため、前年度積立額である406百万円を取り崩した。(今後の方針)①庁舎建設基金:庁舎建替えに備え、財政状況を見ながら積立を行う。②公共施設建設基金:公共施設マネジメントの考え方に基づき、施設の長寿命化や更新等の経費に活用できるよう、一部基金設置条例の改正も視野に検討する必要がある。③ふるさと筑後市応援基金:魅力ある返礼品の充実やより分かりやすい寄附目的の設定等により、基金の原資となるふるさと納税の寄附額増加を目指す。一方で、この財源は制度の在り方や社会情勢により大きく影響を受けることを意識し、経常的な経費への活用は制限するなど、健全な財政運営に努める。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っているが、今後の施設更新に多大な費用が見込まれる。平成28年度に策定した筑後市公共施設等総合管理計画では、令和8年度末までに耐用年数が到来する施設総量の10%削減を目標としており、施設の廃止のみならず統廃合や複合化も含めた検討を行っていく。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体平均を上回っていたが、地方債現在高や公営企業債等繰入見込額の圧縮が進んだことに加え、地方税や地方消費税交付金の継続的な伸びが生じたことや庁舎建設基金等の充当可能財源が増加したことなどから、近年、同比率は低下傾向にあり、令和2年度以降3年連続で類似団体平均を下回った。今後、公共施設の更新や災害対策のためにインフラ整備等が予定されており、地方債現在高の増や充当可能基金の減など債務償還比率の上昇が懸念されることから、引き続き将来負担額の抑制及び経常経費の削減に努めていく必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、庁舎建設基金への積立や筑後市消防本部消防基金の新設等により、充当可能基金が大幅に増加(前年度比+1,470.9百万円、+19.7%)したことで、増減値は▲21.4ポイントとなった。ここ数年は類似団体の平均値を下回っており、減少傾向で推移しているが、将来的には、学校施設など老朽化の進む施設の更新や庁舎の建て替えにより、将来負担の増加が懸念される。公共施設等総合管理計画に基づいて施設の更新費用の抑制と平準化に努めつつ、施設の健全な機能維持に努めていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率、実質公債費比率ともに類似団体平均を下回っているものの、算入公債費の減少等により単年度の実質公債費比率は前年度比0.1ポイント増と年々増加している。今後は地方債発行額の増加及び充当可能財源の減少が見込まれるため、将来負担比率も増加に転じる可能性がある高いと見込まれる。交付税措置率の高い地方債の活用と併せて、総起債額の抑制を図るなど将来世代の負担の低減に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路、橋りょう・トンネル、公営住宅、認定こども園・幼稚園・保育所及び公民館の有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回った。特に、保育所は令和3年度に新築したことから、4.4%と大きく下回っている。一方、学校施設は8.9ポイント上回っているが、小規模の小学校3校の統廃合に伴い、令和7年度に開校予定の再編新設小学校の整備により、一定の改善が図られる予定である。再編対象校以外は、令和元年度に策定した学校施設長寿命化計画に基づき計画的に更新・改修を進めていく。また、公民館の有形固定資産減価償却率については、令和2年度に受変電設備を更新したことにより、前年、前々年に続き類似団体平均を下回る結果となった。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

令和3年に続き、多くの施設で有形固定資産減価償却率が類似団体平均を上回っている。このうち、特に顕著であった体育館・プールについては公共施設等総合管理計画に基づき令和4年度に廃止した。庁舎や消防施設についても類似団体平均との乖離が大きいが、建替えも検討されており、既存施設の目標使用年数を見据え適切な維持管理を行っていく必要がある。また、ほとんどの施設(資産)において一人当たりの保有量が類似団体平均を下回っているが、これは当市が市町村合併をしておらず、施設の絶対量が少ないことや他市に比べて人口が横ばいで推移していることが影響していると思われる。利用実態等を踏まえ適正配置、適正管理に努める。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が204百万円(-0.3%)減少し、負債総額は695百万円(-3.4%)減少している。資産総額の減少の要因としては、小学校の増築工事による有形固定資産の増加と、庁舎建設基金やふるさと応援基金への積み立てを行なったことで固定資産は増加しているものの、令和3年度に増加していた現金預金が大きく減少したことにより流動資産が減少したことが考えられる。負債総額の減少の要因は、地方債の償還によるものである。全体では、介護保険特別会計(保険事業勘定)にて財政調整基金の積立を行なったことにより資産額が601百万円(0.7%)の増加、下水道事業会計にて地方債の償還を進めたものの水道事業会計では地方債の発行が上回っていることで、負債額は一般会計等の減少幅より小さい201百万円(-0.6%)の減少となっている。連結では、資産総額が580百万円(0.6%)の増加、負債総額が181百万円(-0.5%)の減少となっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等では、経常費用は19,771百万円となり前年度比516百万円の減少(-2.5%)となった。経常費用の内訳としては業務費用が10,225百万円で構成比率は51.7%、移転費用が9,546百万円で構成比率は48.3%となっている。経常費用の中に含まれている減価償却費は、貸借対照表で計上している有形固定資産や無形固定資産の1年間の目減り分である2,140百万円が計上されており、経常費用の中の約11%を占めている。一方で、サービスの対価として徴収する使用料や手数料、受取利息などが該当する経常収益は633百万円(前年度比+3.9%)となっており、経常費用に対して3.2%となっている。臨時的に発生した損益を含めて、純行政コストは19,173百万円となっており、前年度と比較すると528百万円の減少(-2.7%)となっている。主な要因としては臨時特別給付金支給関連の費用が減少したことによる。ただし社会保障給付が毎年増加していることもあり令和元年度以前の水準までは戻っていない。全体では、一般会計等から比較して純行政コストが8,808百万円増加している。連結では、全体から比較して、純行政コストが6,916百万円増加している。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等では、純行政コスト19,173百万円に対し、税収等や国県等補助金の財源が19,653百万円であったため、本年度差額は481百万円の黒字となった。前年度と比較すると本年度差額は85百万円の増加となっている。臨時特別給付金関連経費の減少と対応して国県等補助金は減少しているが、市税やふるさと納税の増加により税収等は増加したため本年度差額が490百万円のプラスとなっている。全体では、介護保険特別会計(保険事業勘定)や法適用企業会計(水道事業会計、下水道事業会計)等の本年度差額がプラスとなっていることにより本年度差額は一般会計等から比較して249百万円のプラスとなっている。連結では、福岡県後期高齢者医療広域連合(後期高齢者医療特別会計)の本年度差額がマイナスとなっていることから、本年度差額は全体から比較して74百万円の減少となっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等では、業務活動収支は2,226百万円、投資活動収支は小学校増築や新設小学校関連工事の支出や特定目的基金の積立てにより2,173百万円となった。市税等の税収等収入が増加したこともあり業務活動収支のプラス額が多かったため、基礎的財政収支が1,478百万円となっている。財務活動収支は学校教育施設等整備事業債の発行などはあるものの臨時財政対策債の償還額が大きく、地方債の償還が発行を上回ったため、610百万円のマイナスとなっている。全体では、一般会計等から業務活動収支は増加、投資活動収支はマイナス額が増加している。主な会計は水道事業と下水道事業会計である。連結では、筑後市立病院で投資を行っていることから、全体と比べて投資活動収支のマイナス額が増加している。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額は類似団体平均を大きく下回っているが、これは合併団体ではないことと、面積が他団体に比べて狭いことによりインフラ資産等の規模が小さいことが主な原因と考えられる。令和4年度は小学校の増築工事を行ったことと特定目的基金の積立を行ったことによる固定資産の増加はあるものの、前年度増加していた現金預金の減少による流動資産の減少により資産合計が減少しているため、令和3年度と比較して一人当たり0.7万円の減少となっている。歳入額対資産比率は、類似団体平均よりも下回っている。これも、資産額が他団体よりも少ないことが要因と考えられる。有形固定資産減価償却率は、類似団体平均よりも下回っている。これは、道路・橋りょうの減価償却が比較的進んでいないことが要因となっている。ただし、類似団体平均が約1%ずつの上昇に対して、約1.6%ずつ上昇しているため今後の資産の更新について検討が必要である。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は前年度と比較して1ポイント増加している。減価償却により資産が減少しているものの小学校の増築による事業用の増加や特定目的基金の積立により資産額の減少額が例年よりも少なかったことと、地方債の償還が進んだことによる負債額の減少が要因となり純資産比率の増加となった。ただし類似団体平均よりも若干数値が低い状況が続いている。将来世代負担比率は、18.0%となっており前年度より0.1ポイント減少している。地方債残高は償還により令和2年度と同程度となっているが、減価償却が進んだことにより有形・無形固定資産合計額が減少しているため、当該値はほぼ横ばいとなった。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは前年度と比較して、一人当たり1.2万円減少している。令和3年度の臨時特別給付金の費用が減少したことが主な要因である。また、住民一人当たりの資産額同様に、資産規模が類似団体と比較して少ないことが考えられるため、減価償却費も類似団体より低くなっていることから、住民一人当たり純行政コストが類似団体を下回っていることも考えられる。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は、地方債の発行が償還を上回っていることが主な要因となり1.5ポイントの減少となっている。住民一人当たり負債額は類似団体平均よりも大きく下回っている。理由については、住民一人当たり資産額と同様であると考えられる。また基礎的財政収支は、業務活動収支では臨時特別給付金関連の収支が減少しているものの国県支出金等返還金が発生していることにより業務活動収支は減少となっている。また、投資活動収支では、小学校の増築や新設小学校の工事等はあるものの、令和3年度に行っている工事費よりも少なくなっているため減少となっている。平成30年度以降、基礎的財政収支は黒字で推移しており、業務活動収支で投資活動収支をまかなえている状態が続いている。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体の平均を下回っており、令和3年度と比較すると0.2ポイントの増加となっている。令和2年度支給の特別定額給付金や、令和3年度支給の臨時特別給付金の費用が減少したことにより、平成30年度と同水準の値となっている。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,