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地方財政ダッシュボード

奈良県奈良市の財政状況(2022年度)

🏠奈良市

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

前年度に比べ、市税や地方交付税は増加したが、臨時財政対策債が大幅に減少したことにより、分母となる経常一般財源が減少した。その結果、令和4年度は類似団体平均との差が縮まった。人件費が類似団体平均を上回っていることから、今後も改善を進めるべく、職員数の適正化や事業の内容・手法の見直し等を推進し、財政の健全化に努める。

経常収支比率の分析欄

前年度と比較し、普通交付税や市税等が増加したものの、臨時財政対策債が大きく減少したことにより分母が減少し、また物価や光熱費高騰の影響等により分子が増加したことで、全体として5.8ポイントの悪化となった。類似団体平均と比較しても依然として高い水準であるため、歳入においては市税等債権回収の強化、ふるさと納税など新たな歳入確保に努め、歳出においては、人事管理の適正化に取り組むことにより人件費の抑制に努め、市債発行の抑制による公債費の縮減等、義務的経費の縮減に引き続き取り組む。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

前年度と比較し、退職手当は増加したものの定員適正化計画推進に基づく正規職員の人数減による給料の減少等などにより人件費が減額となり、物件費もコロナ対応の飲食店への時短営業協力支援金経費やワクチン接種経費などが減額となったため、人口1人当たりの人件費・物件費等の決算額は3,086円の減少となった。類似団体に比べて高い理由として、幼保施設、清掃業務などの直営比率が高いために、人件費を含めた運営経費が類似団体より高いと考えられる。令和5年度現在、民間委託及び民間移管の拡大を進めており、引き続きコスト削減に取り組む。

ラスパイレス指数の分析欄

令和元年度については、給与カット(2%)の影響等により3.0ポイント減少し、98.1と低い指数となった。令和2年度においては給料カットの終了に伴い指数は増加したが、令和3年度と同様に100を下回る結果となった。令和4年度においては、制度改正等によりさらに低い指数となった。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

本市においては、定員適正化計画に基づく取組により職員数の適正化を進めているところであるが、類似団体と比較すると依然として人口1,000人当たり職員数が多い傾向にある。これらは、保育所・認定こども園・幼稚園などの幼保施設、清掃業務などの直営比率の高さが要因と思われる。そのため、幼保施設や清掃業務等については民間委託・民間移管の拡大、その他部門についても効率的な組織運営による職員の適正配置を進め、更なる適正化に取り組んでいる。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率については、単年度では9.5%と前年度比0.3ポイント改善し、3カ年平均についても9.5%と、前年度比0.4ポイント改善した。主な要因としては、猶予特例債の償還が終了したことで地方債の元利償還金が減少し、分子が減少したことが挙げられる。土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響も大きいことから、類似団体平均よりも依然として高いため、今後も市債発行の抑制により改善に努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、90.0%となり、前年度比13.7ポイントの改善となった。主な要因としては、繰上償還を含む臨時財政対策債の元金償還等により、元金償還額が地方債新規発行額を上回ったことで地方債現在高が減少したこと、退職手当負担見込額が減少したこと、公営企業債等繰入見込額が減少したことが挙げられる。また、将来負担額から控除される充当可能基金や基準財政需要額算入見込額が増額となったため、分子となる負担額が減額したことも要因といえる。土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の償還が今後も続くことで類似団体平均よりも依然として高いといえるが、今後も市債発行の抑制や基金残高を確保することで数値の改善に努め、財政の健全化を図る。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

定員適正化計画推進に基づく正規職員の人数減により給料が減少し、人件費全体では減少したが、分母の経常一般財源が臨時財政対策債の減により大幅に減少したため、比率としては前年度に比べ0.8ポイント増加した。類似団体と比較し高い要因は、令和4年度から新たに児童相談所を設置したこと、また幼保施設、清掃業務などの直営比率が高く職員数が多いことが考えられる。幼保施設や清掃業務等については民間委託・民間移管の拡大、その他部門についても効率的な組織運営による職員の適正配置を進め、今後も人件費の削減に努める。

物件費の分析欄

令和元年度までは、幼保施設等における非正規職員の雇用が多いことなどから類似団体平均に比べ高止まりしていたが、令和2年度に会計年度任用職員制度の導入により人件費に振り替わり、令和3年度まで類似団体と同水準となっていた。令和4年度は各施設の光熱費高騰や主に給食食材費の物価高騰、また市民負担を軽減するべく3学期の学校給食費無償化を実施するなど、一般財源負担が増え、前年度に比べ1.7ポイント増加した。

扶助費の分析欄

前年度に比べ、幼保施設民間移管による認定こども園施設型給付費の増、児童相談所開設による児童養護施設等措置費の増など、比率は1.6ポイント増加した。今後も社会保障関係費が高水準で推移することが予想されるが、扶助費の不正請求の抑制に努める等、引き続き負担増加に対応していく。

その他の分析欄

前年度に比べ、社会保障関係費増加に伴う後期高齢者医療費負担金が増加し、後期高齢者医療特別会計や介護保険特別会計への繰出金が増加したことで、比率は1.2ポイント増加した。今後も高齢化等に伴う社会保障関係費の増加等により特別会計への負担増が予想されるが、給付費の適正化、予防事業の強化等により負担額の抑制に努める。

補助費等の分析欄

前年度に比べ、市単独で実施している私立幼保施設への補助経費の増、またコロナが収束したことで観光客誘致イベントの補助経費等が増となったことで、比率は0.3ポイント増加した。当市では消防業務を直営していることなどにより、類似団体よりも低い割合で推移しているが、私立保育所や認定こども園の待機児童対策等の重要な施策に対しては、補助金内容を充実させている。

公債費の分析欄

前年度に比べ、令和2年度に借り入れた猶予特例債の償還等が終了したことで元利償還額が減となり、分子の公債費充当一般財源は減少したが、分母の経常一般財源が臨時財政対策債の減により大幅に減少したため、比率としては0.2ポイント増加した。当市は過去の保健所等複合施設建設や文化振興施設整備等の大型投資的事業の実施による地方債残高が多く、公債費に係る経常収支比率が類似団体よりも高いまま推移している。令和4年度においても、土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響もあり、類似団体平均を6.1ポイント上回っているため、今後も普通建設事業の精査による市債発行の適正化を図り、市債残高の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

前年度に比べ、市税や地方交付税は増加したが、臨時財政対策債が大幅に減少したことにより、分母となる経常一般財源が減少した。その結果、令和4年度は類似団体平均との差が縮まった。人件費が類似団体平均を上回っていることから、今後も改善を進めるべく、職員数の適正化や事業の内容・手法の見直し等を推進し、財政の健全化に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は減債基金積立金減少や保健所等複合施設整備事業の減少はあるものの、地域振興基金繰替運用解消の返還金等により、令和4年度は類似団体平均を上回った。民生費は児童相談所建設事業が減少したものの、住民税非課税世帯等臨時特別給付金事業や子育て世帯応援商品券支給事業により、住民一人当たり200,624円に増加し類似団体平均を上回った。衛生費は火葬場建設事業や新型コロナウイルス感染症ワクチン接種経費の減少等により、住民一人当たり42,890円となり、類似団体平均を下回った。商工費はコロナ関連の飲食店への時短営業協力支援金の皆減等により、住民一人当たり5,868円となり、前年度と比べ減少した。公債費が住民一人当たり52,490円となっており、他の目的別コストは類似団体平均と同程度かそれ以下である中、類似団体平均に比べ高止まりしている。これは、過去の保健所等複合施設建設や文化振興施設整備等の大型投資的事業の実施による地方債残高が多いことや、土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響が大きいといえる。公債費の負担は財政運営においても重い負担となっており、今後も普通建設事業の精査による市債発行の適正化を図り、市債残高の抑制に努める。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり429,863円となっている。主な構成項目である人件費は住民一人当たり71,109円となっており、令和4年度では正規職員の人数減による給料の減少等により類似団体平均との差は縮まったものの、依然として高い水準が続いている。幼保施設、清掃業務などの直営比率が高いため、類似団体と比較して職員数が多いことが要因として挙げられる。補助費等は、国の事業として実施した特別定額給付金事業の終了により、令和3年度で大幅に減少したが、令和4年度は地域振興基金繰替運用解消のための40億円の返還金や新型コロナウイルスワクチン接種国庫返還金等、臨時的経費増により住民一人当たり36,360円へと増加した。物件費は、令和4年度に物価や光熱費高騰の影響もあったが、コロナ関連の飲食店への時短営業協力支援金経費やワクチン接種経費が減少したこと等により類似団体平均との差は縮まった。普通建設事業費は、令和3年度に火葬場や児童相談所建設、ならやま小中一貫校校舎建設等の大規模事業を終えたことで、住民一人当たり26,414円と大幅に減少し、引き続き類似団体平均を下回った。公債費については類似団体と比較して、住民一人当たりのコストが高い傾向が続いている。これは、過去の保健所等複合施設建設や文化振興施設整備等の大型投資的事業の実施による地方債残高が多いことや、土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響が大きいといえる。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

実質収支は3,897百万円の黒字となったものの、前年度の実質収支より1,603百万円減少した。実質単年度収支は、前年度比での実質収支の減少、また地域振興基金繰替運用解消のために、財政調整基金から40億円を取崩したことで、一時的ではあるが5,073百万円の赤字となった。財政調整基金については令和3年度の歳計剰余金の積立を行ったが、40億円を取崩したことで残高が減少している。今後も、事業の精査、効率的な執行に努めるとともに、財政健全化に向けた取組を進め、類似団体に比べて低い財政調整基金残高の更なる確保に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

令和4年度決算における全ての会計の実質収支については、14,640百万円の黒字であった。令和3年度が15,124百万円の黒字であったことから、黒字額が484百万円減少し、連結実質黒字比率は18.05%と、前年度比で0.32ポイント悪化した。実質黒字額が、水道事業会計で963百万円増加、下水道事業会計で130百万円増加したものの、一般会計において1,603百万円減少したことが全体の比率悪化の主な要因として挙げられる。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

実質公債費比率については、単年度では9.5%と前年度比0.3ポイント改善し、3カ年平均では9.5%と前年度比0.4ポイント改善した。単年度の比率が改善した主な要因として、分子となる地方債の元利償還金や公営企業債の元利償還金に対する繰入金が減額となったことが挙げられる。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

将来負担比率については、90.0%となり、前年度比13.7ポイントの改善となった。主な要因としては、繰上償還を含む臨時財政対策債の元利償還を行い、地方債新規発行額が元金償還額を下回ったことで地方債現在高が減少したこと、退職手当負担見込額が減少したこと、公営企業債等繰入見込額が減少したことが挙げられる。また、減債基金等の充当可能基金が減額となっている。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)令和4年度末の基金残高は、普通会計で10,995百万円となっている。減債基金を541百万円取り崩して元金償還に充当したこと等により、基金残高は前年度と比較し1,122百万円の減少となった。(今後の方針)事業の精査、効率的な執行に努めるとともに、財政健全化に向けた取り組みをさらに進め、各基金の使途や目的に十分に活用できるよう、基金の確保に努める。

財政調整基金

(増減理由)令和4年度末の基金残高は、2,841百万円となっており、前年度から800百万円の減少となっている。前年度からの歳計剰余金3,200百万円を積み立てたほか、4,000百万円の取り崩しを行なったことが要因である。(今後の方針)事業の精査、効率的な執行に努めるとともに、財政健全化に向けた取組をさらに進め、災害の対応や備え等のために、類似団体に比べて残高の少ない基金の確保に努める。

減債基金

(増減理由)令和4年度末の基金残高は、1,703百万円となっており、前年度から531百万円の減少となっている。10百万円を積み立てたほか、市債の元金償還のため541百万円の取り崩しを行なったことが要因である。(今後の方針)今後も元金償還に大きな負担が見込まれるため、財政調整基金とともに減債基金についても残高の確保に努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)・地域振興基金:市民の連帯強化や地域振興等に要する経費の財源とすることを使途としている。・地元公共事業積立基金:財産区財産であった財産を処分することに伴い発生する金銭を当該財産区住民の福祉を増進する目的をもって行う公共事業の資金とすることを使途としている。・心のふるさと応援基金:市民等からの寄附金を財源として、文化財の保存及び活用、観光の振興並びに奈良の魅力を高め、その発展に寄与する事業を使途としている。・福祉基金:市民等からの寄附金を財源として、社会福祉の増進に寄与する事業を使途としている。・教育振興基金:市民等からの寄附金を財源として、教育振興を目的とする事業を使途としている。(増減理由)・地元公共事業積立基金:利子収入9百万円を積み立て、また地元公共事業に32百万円取り崩して充当したことから58百万円の増加となっている。・心のふるさと応援基金:市民からの寄附金314百万円を積み立て、文化財の保存及び活用事業等に211万円取り崩して充当したことか102百万円の増加となっている。・教育振興基金:利子及び寄附金により28百万円を積み立て、教育振興施策等に15百万円取り崩して充当したことから13百万円の増加となっている。・福祉基金:利子及び寄附金により20百万円を積み立て、社会福祉の増進に寄与する事業に14百万円取り崩して充当したことから6百万円の増加となっている。(今後の方針)心のふるさと応援基金については、市民からの寄附金を幅広く活用できるよう対象事業の拡充に努め、より市民のニーズに合った事業に充当できるよう図っていく。その他の基金についても、特定の財政支出に備えるため一定額を確保していく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和4年度は償却資産の取得価額は増加したものの、減価償却による同累計額の増加により、前年度に比べ1.4ポイント悪化した。引き続き類似団体と比較して高い水準にある。令和5年度は、教育施設においてトイレ改修や太陽光発電設備の設置を実施することから、教育施設の有形固定資産減価償却率の上昇は一定抑えられることが想定される。平成26年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の保有量(床面積換算)を今後40年間で約30%削減するという目標を掲げており、老朽化した施設の集約化・複合化を進めている。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体と比較して高い数値を推移している。令和4年度については、市債発行額を償還額よりも抑えたことから市債残高を減少することとなったが、臨時財政対策債発行額が減少したことにより、債務償還比率の指標としては、前年度比約130ポイント悪化した。今後、ごみ焼却場における大規模改修工事が控えていることから、歳入確保や充当可能基金の残高確保に努めることにより、債務償還比率の改善を図っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、土地開発公社等に係る第三セクター等改革推進債を発行したこと等により、類似団体より高い水準にあるが、第三セクター等改革推進債の償還が進んでいることや、新規の市債発行を抑制した結果、低下傾向にある。有形固定資産減価償却率については、類似団体よりも高く、上昇傾向にある。要因としては、償却資産の取得価額よりも減価償却累計額の増加幅が大きいためである。平成26年度に策定された公共施設等総合管理計画に基づき、今後、老朽化対策に積極的に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率と実質公債費比率は、類似団体と比較して高い水準にある。これは、土地開発公社等に係る第三セクター等改革推進債を発行したこと等によるものであるが、新規の市債発行を抑制した結果、どちらも前年度と比較して減少傾向にある。今後、ごみ焼却場における大規模改修工事が控えていることから、実質公債費比率が上昇していくことが考えられるため、これまで以上に公債費の適正化に取り組んでいく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

すべての施設類型において、令和4年度の有形固定資産減価償却率が前年度比で上昇している。類似団体と比較して同指標が特に高くなっている施設は、道路であり、低い施設は、学校施設と公営住宅である。道路の有形固定資産減価償却率が高止まりしている理由としては、大和中央道や六条奈良阪線など整備中の道路が多いため直近に整備が完成した道路が少ないことと、既存の道路においては修繕を中心に行っていることが挙げられる。学校施設については、有形固定資産減価償却率は上昇しているものの類似団体に比べると小幅上昇にとどまる。これは、令和4年度において多くの学校施設でトイレ改修を行ったためである。令和5年度においても引き続き、トイレ改修と太陽光発電設備設置を実施するため、有形固定資産減価償却率の上昇は一定抑えられると想定される。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

すべての施設類型において、令和4年度の有形固定資産減価償却率が前年度比で上昇している。類似団体と比較して同指標が高くなっている施設は、図書館、一般廃棄物処理施設、体育館・プール、消防施設であり、低い施設は保健センター・保健所、福祉施設である。一般廃棄物処理施設については、同施設の大部分を占めるごみ焼却場が竣工より40年以上経過しているため有形固定資産減価償却率が高止まりしている。今後の見通しとしては、ごみ焼却場における大規模改修工事が控えていることから有形固定資産減価償却率は改善され、現在候補地選定を進めている新クリーンセンターが竣工すれば大幅に同指標が改善されることが見込まれる。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産額が前年度末から3,218百万円の減少(0.7%)となった。令和4年度中に市内の小中学校のトイレ改修に伴う資産の増加があったものの、減価償却による資産額の減少額が資産の取得額を上回ったため、資産全体としては減少した。負債については市債発行額を償還額よりも抑えたことで地方債の残高が減少し、前年度末から10,571百万円の減少(4.8%)となった。全体財務書類においては、資産額が前年度末から比較して5,071百万円の減少(0.8%)、負債額が14,068百万円の減少(3.8%)となった。一般会計等と比較して資産額188,896百万円、負債額が144,860百万円多いが、これは主として水道事業会計及び下水道事業会計によるものである。連結対象団体の資産額、負債額は、全体財務書類の規模と比較して少額であるため、連結財務書類は全体財務書類と比較して大きくは変わらない。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等については、令和3年度に実施した子育て世帯への臨時特別給付金が終わったものの令和4年度に実施した住民税非課税世帯等臨時特別給付金の増加により純経常行政コストが838百万円の増加(0.7%)となった。経常費用133,391百万円のうち、社会保障給付費が33,833百万円と、経常費用全体に占める割合は25%である。今後も、社会保障の充実や高齢化などにより増加が予想されるため、業務効率化等による経費縮減に努める。全体財務書類においては、純経常行政コストが193,706百万円となり、一般会計等と比較して65,525百万円多いが、これは主として、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計の補助金支出等によるものである。連結財務書類においては、純経常行政コストが241,036百万円となり、全体財務書類と比較して、47,330百万円多いが、これは主として、奈良県後期高齢者医療広域連合の社会保障給付によるものである。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、純行政コスト(127,924百万円)が財源(134,954百万円)を下回ったことにより、本年度差額が7,031百万円となり、また、地方交付税や固定資産税等の市税が前年を上回ったことにより、純資産が前年度より7,354百万円の増(3.3%)となった。全体財務書類においては、純資産額が275,289百万円と、前年度末と比較して8,997百万円の増(3.4%)となった。一般会計等と比較して、純資産額が44,036百万円多くなっているが、これは主として、介護保険特別会計及び水道事業会計によるものである。連結財務書類においては、純資産額が277,716百万円と、前年度末と比較して8,475百万円の増(3.1%)となった。全体財務書類と比較して、純資産額が2,427百万円多くなっているが、これは主として、奈良県後期高齢者医療広域連合によるものである。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支が15,045百万円と前年度と比較して95百万円の減少(0.6%)、投資活動収支は△4,603百万円と前年度と比較して7,619百万円の増加、財務活動収支は△10,827千円と前年度末と比較して9,511百万円の減少となった。一般会計等の資金収支全体では△385百万円となり、年度末資金残高は2,965百万円となった。全体財務書類においては、業務活動収支、投資活動収支及び財務活動収支全体で、1,755百万円となり、一般会計等と比較して、2,140百万円多いが、これは主として水道事業会計や病院事業会計によるものである。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

本市では、平成26年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の保有量(床面積換算)を今後40年間で30%削減するという目標を掲げ、老朽化した施設の集約化・複合化や除却を進めているが、有形固定資産減価償却率については、類似団体と比較して高くなっており、令和元年度以降は70%を超えている。今後、上記計画に基づき施設の集約化、複合化及び除却を進めていく。また、住民一人当たり資産額は令和2年度から改善傾向にあり、類似団体の増加額よりも高くなっているが、類似団体平均と比べると依然として低いため、今後も継続して老朽化した施設の改修等により資産価値を高め、改善に努めたい。なお、令和4年度の歳入額対資産比率については、令和2年度から引き続き、住民税非課税世帯等臨時特別給付金に対応する国費等の臨時的な歳入の増加により、同指標は新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年度と比較し下回った水準を推移している。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

本市では、平成25年3月に土地開発公社を解散するため、第三セクター等改革推進債を発行(173億円)し、公社債務を弁済した。土地開発公社は、保有土地を奈良市に代物弁済(約13億円)したことから、差し引き約160億円の負債が残り、市は公社への債権を放棄した。それらにより、純資産比率が類似団体と比較して低い原因となっている。直近においては市債の新規発行の抑制等に努めることにより純資産比率は改善傾向にある。今後は、市債の新規発行を抑制するとともに、計画的に施設の改修等を行い、純資産比率を高めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

本市は、歳出に占める公債費償還の割合が高いことにより、住民一人当たりの行政コストが類似団体と比較して低くなっている。しかしながら平成29年度から以降は行政サービスの拡大により増加傾向にあるため、効率的な行政運営を一層進めるとともに、使用料手数料の見直し等、受益者負担の適正化を進めていく必要がある。なお、令和4年度も令和3年度から引き続き、住民税非課税世帯等臨時特別給付金に対応する臨時的経費の増加により、同指標は新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年度と比較し高い水準を推移している。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は、令和2年度に大型事業の着工に伴う地方債の発行により一時的に増加したが、平成28年度から着実に減少している。類似団体と比較しても平均を上回っており、依然として高い水準にある。これは、過去に発行してきた地方債残高が主な原因である。今後は地方債の発行を抑制するとともに、新規事業については優先度の高いものに限定するなど、負債の減少に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は3.9%と、新型コロナウイルス感染拡大による施設の休館等により使用料が大幅に落ち込んだ令和2年度よりも改善したが、類似団体平均を下回っている現状に変わりはない。これは施設の利用率が低いことや施設使用料が類似団体よりも安価なことが主な原因と考えれる。前年度と同様に行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は依然として低い水準にあるため、今後も継続して経費縮減に努めるとともに、利用率を向上させる取り組みを実施し、類似団体を参考に受益者負担を見直す。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,