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地方財政ダッシュボード

奈良県奈良市の財政状況(2021年度)

🏠奈良市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

前年度と比較し、単年度ベース、3カ年平均ともに減少となった。地方交付税算定において臨時財政対策債償還基金費が創設されたことにより、分母となる基準財政需要額が増加したこと、また市民税所得割や法人税割の減額等により、分子となる基準財政収入額が減少したことが要因として挙げられる。財源確保の取組を強化し、また税収入の増加につながるよう戦略的に本市の経済基盤を強化しつつ、人事管理の適正化等による簡素で効率的な行政運営、公債費の縮減等、財政規律の一層の強化により、財政基盤の安定化に努める。

経常収支比率の分析欄

前年度と比較し、臨時財政対策債償還基金費の創設により基準財政需要額が増額したことで、普通交付税の歳入が増加したことや、臨時財政対策債、地方消費税交付金の増加という要因から、分子以上に分母が増加したことで6.3ポイントの改善となった。しかしこれは一時的な要因の影響が大きいといえる。類似団体平均との差は縮まったが、歳入においては市税等債権回収の強化、ふるさと納税など新たな歳入確保に努め、歳出においては、人事管理の適正化に取り組むことにより人件費の抑制に努め、市債発行の抑制による公債費の縮減等、義務的経費の縮減に引き続き取り組む。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

前年度と比較し、退職手当の減少や定員適正化計画推進に基づく正規職員の人数減による給料の減少等などにより人件費は減額となったが、物件費でコロナ対応の飲食店への時短協力支援金やワクチン接種経費などの増額があり、人口1人当たりの物件費・人件費等の決算額は16,022円の増加となった。類似団体に比べて高い理由は、幼保施設、清掃業務などの直営比率が高いために、人件費を含めた運営経費が類似団体と比較して高くなっているためと考えられる。民間委託及び民間移管の拡大を進めており、引き続きコスト削減に取り組む。

ラスパイレス指数の分析欄

平成29年度(平成30年4月1日時点)においては、わたりの解消等により前年度から0.3ポイント減少し、101.1ポイントとなった。平成30年度(平成31年4月1日時点)については、令和元年度における給与カット(2%)の影響等により3.0ポイント減少し、98.1と低い指数となった。令和元年度(令和2年4月1日時点)においては給料カットの終了に伴い指数は増加したが、99.7となり100を下回る結果となった。令和2年度及び令和3年度においては、引き続き100を下回る水準を維持している。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

本市においては、定員適正化計画に基づく取組により職員数の適正化を進めているところであるが、類似団体と比較すると依然として人口1,000人当たり職員数が多い傾向にある。これらは、保育所・認定こども園・幼稚園などの幼保施設、清掃業務などの直営比率の高さが要因と思われる。そのため、幼保施設や清掃業務等については民間委託・民間移管の拡大、その他部門についても効率的な組織運営による職員の適正配置を進め、更なる適正化に取り組んでいる。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率については、単年度では9.8%と前年度比0.5ポイント増加したが、3カ年平均では9.9%と、前年度比0.4ポイント改善した。単年度の比率が増加した主な要因として、分子となる地方債の元利償還金と、元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額が増額となったことが挙げられる。土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響も大きいことから、類似団体平均よりも依然として高いため、今後も市債発行の抑制により改善に努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、103.7%となり、前年度比16.0ポイントの改善となった。主な要因としては、地方債新規発行額が元金償還額を下回り地方債現在高が減少したこと、退職手当負担見込額が減少したこと、公営企業債等繰入見込額が減少したことが挙げられる。公営企業債等繰入見込額が減少した要因としては、準元利償還金が下水道事業会計と水道事業会計において減少した結果、公営企業債等繰入見込額の算定に用いる「過去3年平均の繰入割合」が下水道事業会計と水道事業会計で下がったことが挙げられる。また、将来負担額から控除される充当可能特定財源見込額や基準財政需要額算入見込額は減少したが、減債基金や財政調整基金の積み立てによって充当可能基金が増額となったことから、差引で分子となる負担額が減額したことも要因といえる。土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の償還が今後も続くことで類似団体平均よりも依然として高いといえるが、今後も市債発行の抑制や基金残高を確保することで数値の改善に努め、財政の健全化を図る。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

令和3年度は前年度に比べ3.3ポイント減少した。主な要因としては、退職手当の減少や正規職員の人数減による給料の減少が挙げられ、類似団体平均との差は縮まった。しかし、幼保施設、清掃業務などの直営比率が高くなっており、類似団体と比較して職員数が多いことから人件費が高くなっている。幼保施設や清掃業務等については民間委託・民間移管の拡大、その他部門についても効率的な組織運営による職員の適正配置を進め、今後も人件費の削減に努める。

物件費の分析欄

令和元年度までは、幼保施設等における非正規職員の雇用が多いことなどから類似団体平均に比べ高止まりしていたが、令和2年度には会計年度任用職員制度の導入などにより、令和元年度と比べ2.4ポイント減少し、類似団体と同水準となった。令和3年度は、高齢者優遇措置事業の利用者の減少等により、物件費の比率としては前年度に比べ0.8ポイント減少した。

扶助費の分析欄

令和3年度の医療扶助経費や子ども医療費助成経費は増加したものの、少子化による児童手当支給経費等での減少があったことで、全体として扶助費の比率はさらに0.4ポイント減少した。今後も社会保障関係費が高水準で推移することが予想されるが、不正請求の抑制に努める等、引き続き負担増加に対応していく。

その他の分析欄

前年度に比べ、社会保障関係費増加に伴う後期高齢者医療費負担金や介護保険特別会計への繰出金が増加したが、国民健康保険特別会計への繰出金減少等があり、比率は0.4ポイント減少した。今後も高齢化等に伴う社会保障関係費の増加等により特別会計への負担増が予想されるが、給付費の適正化、予防事業の強化等により負担額の抑制に努める。

補助費等の分析欄

前年度に比べ、病院事業会計への負担金や、認定こども園等施設型給付経費等が増加したが、比奈知ダム建設事業割賦負担金元利補給経費の減少等があり、比率は0.3ポイント減少した。当市では消防業務を直営していることなどにより、類似団体よりも低い割合で推移しているが、民間保育所や認定こども園の待機児童対策等の重要な施策に対しては、補助金内容を充実させている。

公債費の分析欄

前年度に比べ、元金支払額は増加したが、利子支払額が借換による利率の低下により減少したため、比率は1.1ポイント減少した。当市は過去の保健所等複合施設建設や文化振興施設整備等の大型投資的事業の実施による地方債残高が多く、公債費に係る経常収支比率が類似団体よりも高いまま推移している。令和3年度においても、土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響もあり、類似団体平均を6.3ポイント上回っているため、今後も普通建設事業の精査による市債発行の適正化を図り、市債残高の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

前年度に比べ、地方消費税交付金や地方交付税が増加したことに加え、臨時財政対策債が増額したことにより、分母となる経常一般財源が増加した。その結果、前年度に引き続き令和3年度も類似団体平均を下回った。人件費が類似団体平均を上回っていることから、今後も改善を進めるべく、職員数の適正化や事業の内容・手法の見直し等を推進し、財政の健全化に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は令和2年度に実施した特別定額給付金事業の終了により類似団体と同様に大幅に減少し、住民一人当たり39,641円となった。また、市役所本庁舎耐震化整備の規模縮小もあり、令和3年度は類似団体平均を下回ることとなった。民生費は子どもセンター建設事業や子育て世帯臨時特別給付金事業経費の増加などにより、住民一人当たり193,793円に増加した。衛生費は火葬場整備事業や新型コロナウイルス感染症対応経費の増加などにより住民一人当たり50,527円となり、類似団体平均を上回った。土木費は西大寺駅北口駅前広場整備の事業費が大きく減少したことで住民一人当たり25,182円となり、前年度と比べ減少した。公債費が住民一人当たり52,020円となっており、他の目的のコストは類似団体平均と同程度かそれ以下である中、類似団体平均に比べ高止まりしている。これは、過去の保健所等複合施設建設や文化振興施設整備等の大型投資的事業の実施による地方債残高が多いことや、土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響が大きいといえる。公債費の負担は財政運営においても重い負担となっており、今後も普通建設事業の精査による市債発行の適正化を図り、市債残高の抑制に努める。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり429,253円となっている。主な構成項目である人件費は住民一人当たり71,702円となっており、令和3年度では、退職手当の減少や正規職員の人数減による給料の減少等により類似団体平均との差は縮まったものの依然として高い水準が続いている。幼保施設、清掃業務などの直営比率が高いため、類似団体と比較して職員数が多いことが要因として挙げられる。補助費は令和2年度に国の事業として実施した特別定額給付金事業の終了により、類似団体と同様に大幅に減少している。物件費は令和3年度はコロナ関連の飲食店への時短協力支援金やワクチン接種経費などが増額したことから、再び類似団体平均を上回ることとなった。普通建設事業は、火葬場整備や子どもセンター建設、ならやま小中一貫校校舎建設、などの事業があるものの、前年度と比べて市役所本庁舎耐震化整備事業や西大寺駅北口駅前広場整備に関する事業の規模が縮小したことにより、住民一人当たり43,059円と大幅に減少し、類似団体平均を下回った。公債費については、類似団体と比較して、住民一人当たりのコストが高い傾向が続いている。これは、過去の保健所等複合施設建設や文化振興施設整備等の大型投資的事業の実施による地方債残高が多いことや、土地開発公社解散のための第三セクター等改革推進債の影響が大きいといえる。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

実質収支については、前年度に続き歳入歳出差引額の増加により黒字額が3,209百万円増加した。実質単年度収支も前年度に続き黒字となり、黒字額も1,102百万円増加した。また、財政調整基金については取り崩しがなく、さらに令和2年度の歳計剰余金の積立を行ったため、残高が増加した。今後も、事業の精査、効率的な執行に努めるとともに、財政健全化に向けた取組を進め、類似団体に比べて低い財政調整基金残高の更なる確保に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

令和3年度決算における全ての会計の実質収支については、15,124百万円の黒字であった。令和2年度が11,320百万円の黒字であったことから、黒字額が3,804百万円増加し、連結実質黒字比率は18.37%と、前年度比で3.92ポイント改善した。実質黒字額は、一般会計において3,209百万円増加しており、このことにより標準財政規模比は3.08ポイント増加し、全体の改善の大半を占めている。住宅新築資金等貸付金特別会計は、貸付金の滞納により慢性的に赤字であったが、令和3年度に一般会計から補填を行うことで赤字を解消した。国民健康保険特別会計の黒字比率減少については、歳入である保険料が世帯数減により減少しているなか、令和2年度にコロナによる受診控えで減少した歳出である給付費が、令和3年度にはコロナ前に戻りつつあることが要因として挙げられる。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

実質公債費比率については、単年度では9.8%と前年度比0.5ポイント増加したが、3カ年平均では9.9%と、前年度比0.4ポイント改善した。単年度の比率が増加した主な要因として、分子となる地方債の元利償還金と、元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額が増加したことが挙げられる。地方債の元利償還金の増額は、令和2年度に地方税の徴収の猶予制度の特例が創設されたことに伴う、猶予特例債の償還が主な要因である。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

将来負担比率については、103.7%となり、前年度比16.0ポイントの改善となった。公営企業債等繰入見込額が減額したことにより、将来負担額が減額したことが要因として挙げられる。公営企業債等繰入見込額が減少した要因としては、準元利償還金が下水道事業会計と水道事業会計において減少した結果、公営企業債等繰入見込額の算定に用いる「過去3年平均の繰入割合」が下水道事業会計と水道事業会計で下がったことが挙げられる。またその他にも、地方債新規発行額が元金償還額を下回り、地方債現在高が減少したことや、退職手当負担見込額が減少したこと、将来負担額から控除される充当可能基金が増額となったこと等が将来負担額の減額の要因として挙げられる。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)令和3年度末の基金残高は、普通会計で12,117百万円となっており、前年度から3,452百万円の増加となっている。これは、財政調整基金で1,401百万円、減債基金で2,109百万円増加した一方、積立額を大きく上回る取り崩しを行った基金がなかったことが主な要因である。(今後の方針)事業の精査、効率的な執行に努めるとともに、財政健全化に向けた取り組みをさらに進め、各基金の使途や目的に十分に活用できるよう、基金の確保に努める。

財政調整基金

(増減理由)令和3年度末の基金残高は、3,641百万円となっており、前年度から1,401百万円の増加となっている。歳計剰余金1,400百万円を積み立てたほか、取り崩しを行わなかったことが要因である。財源不足対策として財政調整基金の取り崩しは、令和元年度以降行っていない。(今後の方針)事業の精査、効率的な執行に努めるとともに、財政健全化に向けた取組をさらに進め、災害の対応や備え等のために、類似団体に比べて残高の少ない基金の確保に努める。

減債基金

(増減理由)令和3年度末の基金残高は、2,234百万円となっており、前年度から2,109百万円の増加となっている。市債の元金償還のため、基金から10百万円取り崩したが、国の補正予算に伴い、将来の臨時財政対策債の償還のため、2,118百万円を積み立てたことが増加の要因である。(今後の方針)今後も元金償還に大きな負担が見込まれるため、財政調整基金とともに減債基金についても残高の確保に努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)・地域振興基金:市民の連帯強化や地域振興等に要する経費の財源とすることを使途としている。・地元公共事業積立基金:財産区財産であった財産を処分することに伴い発生する金銭を当該財産区住民の福祉を増進する目的をもって行う公共事業の資金とすることを使途としている。・心のふるさと応援基金:市民等からの寄附金を財源として、文化財の保存及び活用、観光の振興並びに奈良の魅力を高め、その発展に寄与する事業を使途としている。・福祉基金:市民等からの寄附金を財源として、社会福祉の増進に寄与する事業を使途としている。・教育振興基金:市民等からの寄附金を財源として、教育振興を目的とする事業を使途としている。(増減理由)・地元公共事業積立基金:利子収入7百万円を積み立て、また地元公共事業に19百万円取り崩して充当したことから12百万円の減少となっている。・心のふるさと応援基金:市民からの寄附金208百万円を積み立て、文化財の保存及び活用事業等に187万円取り崩して充当したことから22百万円の増加となっている。・福祉基金:利子及び寄附金により6百万円を積み立て、社会福祉の増進に寄与する事業に57百万円取り崩して充当したことから51百万円の減少となっている。・教育振興基金:利子及び寄附金により3百万円を積み立て、教育振興施策等に4百万円取り崩して充当したことから1百万円の減少となっている。(今後の方針)心のふるさと応援基金については、市民からの寄附金を幅広く活用できるよう対象事業の拡充に努め、より市民のニーズに合った事業に充当できるよう図っていく。その他の基金についても、特定の財政支出に備えるため一定額を確保していく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して高い水準にある。本市では、平成26年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の保有量(床面積換算)を今後40年間で30%削減するという目標を掲げており、老朽化した施設の集約化・複合化や除却を進めている。令和3年度においては、斎苑旅立ちの杜(火葬場)、ならやま小中学校及び子どもセンター(児童相談所)の建設事業の完了により、有形固定資産減価償却率がゆるやかな上昇となっている。また、令和4年度においては、西大寺駅北側駅前広場整備や小中学校のトイレ改修等により有形固定資産減価償却率を低下させていく。

債務償還比率の分析欄

過去に借り入れた市債の償還が終了するとももに、市債の発行抑制に努めることで将来負担額が減少しており、令和3年度においては、税収等の地方交付税や地方消費税交付金の増により、経常一般財源が増加したため、令和2年度から令和3元年度にかけて大幅に低下している。しかし、依然として類似団体と比較して高い水準にあるため、今後も市債の発行を抑制することで、債務償還比率の低下につなげていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、土地開発公社等に係る第三セクター等改革推進債を発行したこと等により、類似団体より高い水準にあるが、第三セクター等改革推進債の償還が進んでいることや、新規の市債発行を抑制した結果、低下傾向にある。有形固定資産減価償却率については、火葬場等の整備事業の完了により改善が進んでいるものの、一般廃棄物処理施設など、老朽化した有形固定資産が類似団体より多く、改修がそれほど進んでいないため上昇している。今後西大寺駅北側駅前広場整備や六条奈良阪線の整備等により低下させていくが、建設に伴う市債の発行により、将来負担比率の低下傾向の鈍化や、一時的な上昇となる可能性がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率と実質公債費比率は、類似団体と比較して高い水準にある。これは、土地開発公社等に係る第三セクター等改革推進債を発行したこと等によるものであるが、新規の市債発行を抑制した結果、どちらも前年度と比較して減少している。令和4年度には西大寺駅北側駅前広場整備や六条奈良阪線の整備があるため、引き続き市債発行の抑制等により改善を図っていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路の有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して高い水準にある。大和中央道や六条奈良阪線など整備中の道路が多く、整備が完了した道路が少ないことや、既存の道路については、修繕を中心に行っていることが原因と考えられる。今後も適切な維持管理を継続していく。学校施設の有形固定資産減価償却率については、類似団体平均よりもやや高い水準であったが、規模の適正化に伴う統廃合、小中一貫校への移行等のにより、類似団体よりも低くなった。今後もトイレ改修等の既存施設の改修を進めることで、長寿命化を図る。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

一般廃棄物処理施設及び市民会館の有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して高い水準にある。一般廃棄物処理施設については、環境清美工場は竣工から40年以上経過しており、建替えに向け候補地の調整等を進める一方で、現在の施設についても延命化を行っていく。市民会館については、令和4年度から複数年かけて地域の交流活動、福祉活動の拠点である地域ふれあい会館の改修を予定しているほか、令和5年度には、市民ホールを有するならまちセンターの改修を予定しており、改善する見込みである。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産額が前年度末から8,915百万円の増加(2%)となった。令和3年度中に奈良市斎苑旅立ちの杜(火葬場)、ならやま小中学校及び奈良市子どもセンター(児童相談所)の建設事業の完了により全体として増加したものである。負債については火葬場の建設、ならやま小中学校の校舎建設等に係る地方債が増加したが、市債の発行抑制により、前年度末から1,624百万円の減少(0.7%)となった。全体財務書類においては、資産額が前年度末から比較して6,154百万円の増加(1.0%)、負債額が6,667百万円の減少(1.8%)となった。一般会計等と比較して資産額が190,749百万円、負債額が148,357百万円多いが、これは主として水道事業会計及び下水道事業会計によるものである。連結対象団体の資産額、負債額は、全体財務書類の規模と比較して少額であるため、連結財務書類は全体財務書類と比較して大きくは変わらない。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等において、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた子育て世帯や低所得者世帯への給付金の実施により、純経常行政コストが127,343百万円となったが、令和2年度に実施した特別定額給付金事業35,735百万円が終わったことにより前年度末と比較して26,361百万円の減(17.2%)となった。経常収益を差し引く前の経常費用132,126百万円のうち、社会保障給付が37,397百万円と、経常費用全体に占める割合は28%で、前年度より5,107百万円の増となっており、依然と増加傾向にある。今後も、社会保障の充実や高齢化等により増加が予想されるため、業務効率化等による経費縮減に努める。全体財務書類においては、純経常行政コストが192,801百万円となり、一般会計等と比較して65,458百万円多いが、これは主として、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計の補助金支出等によるものである。連結財務書類においては、純経常行政コストが238,471百万円となり、全体財務書類と比較して、45,670百万円多いが、これは主として、奈良県後期高齢者医療広域連合の社会保障給付によるものである。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、純行政コスト(127,028百万円)が財源(133,758百万円)を下回ったことにより、本年度差額が6,730百万円となり、また、地方交付税や新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等の国庫支出金が前年を上回ったことにより、純資産が前年度より10,538百万円の増(4.9%)となった。全体財務書類においては、純資産額が266,292百万円と、前年度末と比較して12,820百万円の増(5.1%)となった。一般会計等と比較して、純資産額が42,393百万円多くなっているが、これは主として、介護保険特別会計及び水道事業会計によるものである。連結財務書類においては、純資産額が269,241百万円と、前年度末と比較して14,052百万円の増(5.5%)となった。全体財務書類と比較して、純資産額が2,949百万円多くなっているが、これは主として、奈良県後期高齢者医療広域連合によるものである。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支が15,140百万円と前年度と比較して6,032百万円の増(66.2%)となり、投資活動収支、財務活動収支がそれぞれ974百万円の減、4,332百万円の減となっており、一般会計等の資金収支全体では1,601百万円と前年度の876百万円よりも大幅に改善した。年度末資金残高は3,350百万円となった。全体財務書類においては、業務活動収支、投資活動収支及び財務活動収支全体で、1,524百万円となり、一般会計等と比較して、78百万円少ないが、これは主として水道事業会計や病院事業会計によるものである。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

本市では、平成26年度に策定した公共施設等総合管理計画において、公共施設等の保有量(床面積換算)を今後40年間で30%削減するという目標を掲げ、老朽化した施設の集約化・複合化や除却を進めているが、有形固定資産減価償却率については、類似団体と比較して高くなっており、令和元年度以降は70%を超えている。今後、上記計画に基づき施設の集約化、複合化及び除却を進めていく。また、住民一人当たり資産額は令和2年度から改善し、類似団体の増加額よりも高くなっているが、類似団体平均と比べると依然として低いため、今後も継続して老朽化した施設の改修等により資産価値を高め、改善に努めたい。なお、令和3年度の歳入額対資産比率については、令和2年度引き続き、新型コロナウイルス感染症に対応する国費等の臨時的な歳入の増加によるものであり、新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年度と比較して全国的に下がっている。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

本市では、平成25年3月に土地開発公社を解散するため、第三セクター等改革推進債を発行(173億円)し、公社債務を弁済した。土地開発公社は、保有土地を奈良市に代物弁済(約13億円)したことから、差し引き約160億円の負債が残り、市は公社への債権を放棄した。それらにより、純資産比率が類似団体と比較して低い原因となっている。直近においては市債の新規発行の抑制等に努めることにより純資産比率は改善傾向にある。今後は、市債の新規発行を抑制するとともに、計画的に施設の改修等を行い、純資産比率を高めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

本市は、歳出に占める公債費償還の割合が高いことにより、住民一人当たりの行政コストが類似団体と比較して低くなっている。しかしながら平成29年度から以降は行政サービスの拡大により増加傾向にあるため、効率的な行政運営を一層進めるとともに、使用料手数料の見直し等、受益者負担の適正化を進めていく必要がある。なお、令和3年度も令和2年度引き続き新型コロナウイルス感染に対応する臨時的経費の増により、新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年度と比較して高い状況になっている。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は、令和2年度に大型事業の着工に伴う地方債の発行により一時的に増加したが、平成28年度から着実に減少している。類似団体と比較しても平均を上回っており、依然として高い水準にある。これは、過去に発行してきた地方債残高が主な原因である。今後は地方債の発行を抑制するとともに、新規事業については優先度の高いものに限定するなど、負債の減少に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は3.6%と、新型コロナウイルス感染拡大による施設の休館等により使用料が大幅に下がった令和2年度よりも改善したが、類似団体平均を下回っている現状に変わりはなく、これは施設の利用率が低いことや施設使用料が類似団体よりも安価なことが主な原因と考えれる。前年度と同様に行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は依然として低い水準にあるため、今後も継続して経費縮減に努めるとともに、利用率を向上させる取り組みを実施し、類似団体を参考に受益者負担を見直す。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,