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地方財政ダッシュボード

岐阜県飛騨市の財政状況(2023年度)

🏠飛騨市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

当市は全国平均(令和5年10月1日現在29.1%)を上回る高齢化率(同40.2%)に加え、納税世代の著しい減少、中核産業の欠乏等により財政基盤が弱い。令和5年度の歳出においては、過去に借り入れた合併特例債の償還が進み公債費が大幅な減となったこと、歳入においてはコロナ禍明けによる業績の回復に伴い法人税割が増となったこと等から0.01ポイント好転する結果となった。しかしながら、類似団体平均を大きく下回っている状況であることから、基幹税である固定資産税の更なる確保に向けた取り組みを推進しつつ、継続すべき事業の選別や経費の圧縮、事務負担軽減などを図ることで財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

分子となる経常充当一財(歳出)においては、人件費・物価高騰に伴って市内バス運行や施設保守点検等の物件費が増となった反面、公債費の大幅減により全体で3.3億円の減となった。分母となる経常一般財源(歳入)では、株式等譲渡所得割交付金の増や新たな目的外使用料収入の増があった一方、臨時財政対策債の減や公債費減に伴う普通交付税の減によって、全体で3.2億円の減となった。分母に比べ分子における減少幅がやや大きかったことから、経常収支比率は0.3ポイント好転する形となった。今後も人件費や物件費の上昇などの懸念事項はあるため、引き続き経費削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

当市は市町村合併により広大な面積を有しており、広範囲を網羅した行政運営のため行政関係で3つの振興事務所(支所)、消防関係で2つの支所を抱えている。一方、少子高齢化や労働者人口の流出などによる人口減が進み、人口1人あたりの人件費・物件費等が類似団体の平均よりも高い水準となる傾向にある。令和5年度は、人件費・物価高騰に起因する除雪委託料の増加をはじめ、過去最高額となったふるさと納税寄附金に連動し、これに係る郵送代やサイト運営経費等が増加したことで、一人当たりの経費は20,513円増加する結果となった。行政運営の効率化と組織のスリム化を進めることにより、健全な財政運営に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体との比較では3.8ポイント低くなっているが、今後も進む人口減少と限られた財源の中で有効かつ充実した施策を推進していくためにも、人件費の縮減は不可欠である。今後も定員適正化計画に基づく定員管理を図るとともに、自治体規模に見合った適正な給与水準の維持に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員適正化計画に基づき定員数の適正化を図っているところであるが、類似団体との比較では6.82人多い状況となっている。これは、当市が広域であることから、安心安全な生活確保という面からもある程度の地域ごとに支所及び消防機能の設置とそれに伴う職員配置が必要であり、現在以上の組織効率化が困難なためである。また、育児休業や病気休職等による急な欠員に対応すべく、職員数にある程度の余裕(バッファ)を持たせていることも要因のひとつである。

実質公債費比率の分析欄

分母となる標準財政規模については、臨時財政対策債や普通交付税の減に伴い前年度比1.5億円の減となったが、合併特例期間中に行った大型投資事業に対する地方債償還が終了してきたことで、分子となる公債費が前年比4.9億円減となり、分子の減少幅の方が大きかったことから1.1ポイント好転した。今後も、普通交付税の段階的な縮減を見据えて、償還額が新規発行額を上回る「プライマリーバランスの黒字化」運営を前提に、地方債発行の際には交付税算入率の高い起債の選択に努めるなど、実質公債費比率低減に向けた取り組みを進める。

将来負担比率の分析欄

令和5年度は、公営住宅建設事業債など合併前の起債が順次完済されたことに加え、平成22年度の小学校整備事業や平成24年度の病院建設補助事業などにかかる償還が完了したことも一因となり将来負担額が減少している。反面、公債費の減少に伴い交付税算入も減少することで充当可能財源は13.7億円減となったが、これまでと同様、充当可能財源等が将来負担額を上回り、将来負担比率は「―」表示となった。今後も、プライマリーバランスの黒字化維持を前提に、新たに起債を発行する際には交付税措置の有利な起債を選択するとともに、基金の積み増しも行っていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

令和5年度は、人事院勧告に伴う人件費の改定を主な要因として0.3億円の支出増となり、併わせて充当できる特定財源が0.1億円減少したことから経常充当一財は前年比0.3億円の増となった。この結果、比率は前年比1.1ポイント悪化する形となった。職員の定年引上げ等もあることから大幅な人件費削減は見込めないが、市役所業務のアウトソーシングを積極的に推進し自治体規模に見合った職員数の維持に努めつつ、人件費増大を防ぐ。

物件費の分析欄

物件費では、うち約5割を占める委託料において指定管理料やバス運行委託料など経常的な支出が0.5億円増加したことや、国県補助金の減等により充当一財が0.3億円の増となったことで、比率としては前年度比1.2ポイント悪化する結果となった。今後、人件費の削減に伴う民間事業者委託(物件費)への移行など、物件費の上昇は否めない。両者を合わせた経常収支比率の低下を図るためには、事務事業の見直しや効率化、指定管理施設の経営改善指導を進めるなど今後もコスト削減等、経常経費の削減に努める。

扶助費の分析欄

当市の扶助費は、類似団体の平均を下回る形で推移しているが、令和5年度は障がい児通所支援や自立支援にかかる給付費の増などにより0.8億円の支出増となった。これらに充てられる財源の大半が国県補助金等の特別財源であるものの、経常充当一財も0.2億円の増加となった結果、経常収支比率は0.3ポイント悪化する形となった。今後も、財政の圧迫に繋がらないように、資格審査等の適正化や市独自の手当等の見直しを図っていく。

その他の分析欄

維持補修費では、施設に係る修繕費の減により前年比0.3億円減となった。また繰出金では、国民健康保険特別会計における保険料率の改定や人件費高騰に伴う経費の増があった一方、介護保険特別会計におけるサービス利用の減少などにより、全体で0.2億円の減となっている。これらの結果、経常収支比率は前年同という形となった。保険医療給付費の増加傾向など今後支出増が見込まれる中、一定の繰出基準を定め計画的な繰出とすることで補填圧縮に繋げていくことが課題となる。

補助費等の分析欄

補助費等に対する経常収支比率は、類似団体の平均を大きく下回る水準で推移している。令和5年度においては0.3億円の支出減となった一方、充当一財が微増したことで、比率としては前年度比0.2ポイント悪化する形となった。補助制度創設の際には、その事業の目的に適切な補助率、補助上限額、補助対象者であるかなどを事業課と十分に協議し、既存制度についても補助事業の目的に沿った事業実施かどうかを改めて精査し、見直しや廃止を行うよう努めていく。

公債費の分析欄

合併特例期間中に進めてきた大型投資事業に対する地方債償還が順次終了してきたことに伴い、公債費が前年比4.9億円の大幅減となったことで、比率は前年比3.1ポイント好転する結果となった。近年続いていた公債費が大幅減少するフェーズは終わりを迎え、今後は横ばいでの推移が予測される。人口減少によって財源確保がより一層厳しくなる中、事業や借入額の精査など計画的に起債し、公債費の減少に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外における経常収支比率はこれまで類似団体内の上位に位置してきたものの、年々その差は縮まっており、令和5年度においては0.5ポイントの差となった。経常支出額は0.9億円の増となっており、併せて充当一財が0.8億円増となったことから、比率は前年比で2.8ポイント悪化している。加速する人口減少に伴い散在集落への行政サービスの提供が財政運営を圧迫する恐れがあるため、更なる事務事業の効率化や施設の統廃合を進め、長期展望に立った持続可能な財政の構築に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費では、持続可能な財政運営に向け財政調整基金から清掃施設整備・公共施設管理等の基金へ大幅な積み替えを行ったことで、一人当たりのコストは前年比141,117円の大幅増となった。民生費のコスト増の要因としては、国施策による非課税世帯への物価高騰支援として、対象世帯に10万円の給付、さらに子育て世帯には5万円/人の上乗せ給付を実施したことで給付事業費が2.3億円皆増したことや、前年度からの繰越事業として実施した障がい者グループホーム整備事業が挙げられる。農林水産業費では、森安・万波線をはじめとする林道整備事業費が減となったほか、令和4年度に完了した農産物直売施設の整備軽費が皆減となった結果、一人当たりのコストとしては9,093円の減となった。商工費においては、コロナ禍収束に伴う事業者への融資額減少により金融機関への預託金が2億円減少したほか、食材・燃料費高騰への対策として前年度に実施したプレミアム商品券事業が皆減となり、コストも13,553円の減となった。土木費では、物価高騰・人件費の上昇の影響を受け、例年並みの降雪量・除雪出動回数であったにも関わらず除雪費が増額したほか、道整備交付金など補助事業の増額などを受け、一人当たりコストも15,600円増する結果となった。公債費については、合併特例債など過去の大型事業にかかる償還が計画どおりに進んでいることから、一人当たり19,994円の減となった。当市は市町村合併により広大な面積を有し、広範囲を網羅した行政運営のため本庁舎のほか3つの振興事務所を構えて行政サービスを提供している。特に総務費は市営バス運行経費や防災諸費、地域振興経費などの市民サービスに直結する経費が計上されていることから住民一人当たりのコストは高止まりする傾向となる。今後も市民サービス水準を維持しつつ行政運営の効率化を図り健全な財政運営に努める。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費では、職員数の大きな変動はなかったものの、人事院勧告に伴う人件費の改定により前年度比0.3億円増と高止まりが続いている。維持補修費の増については、人件費・物価高騰に起因する市道除雪委託料1.5億円の増が大きく作用しており、扶助費については、住民税非課税世帯及び均等割のみの課税世帯に対して実施した重点支援給付金2.3億円の皆増をはじめ、障がい児通所支援やグループホーム等の利用者増加に伴う給付費の増により一人当たりのコストも上がる形となった。補助費等での大幅な減は、ケーブルテレビの民間移行に伴う負担金1.8億円の皆減や、国施策の価格高騰緊急支援給付金の0.8億円の皆減が主な要因として挙げられる。普通建設事業費のうち更新整備事業が増となった理由としては、ごみ処理施設の維持修繕工事にかかる経費2.0億円の増加であるが、更新整備事業については、道路橋梁整備をはじめ、衛生施設や学校・教育施設等、老朽化し再整備を必要とする市有施設が多く、類似団体よりコストが膨らむ傾向は続くと考えている。積立金(貯金)においては、財政調整基金の運用方針を改め、特定目的基金への大幅な積み替えを行ったことから一人当たりコストが大きく伸びている。公債費については、過去に発行した大型借り入れの償還がおおよそ満了してきていることから今後は横ばいに推移する見込みであり、引き続きプライマリーバランスの黒字を維持し、将来負担の軽減を図る。広大な面積を有し、広範囲を網羅した行政運営が必要な当市は、必然的に住民一人当たりのコストの人件費・物件費等が類似団体の平均よりも高い水準となる。市内類似施設等の在り方や公共施設の統廃合に向けて地域住民と共に検討を進め、今後の費用抑制につなげていく必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

財政調整基金については、これまで60億~65億円を適正な規模として確保してきたが、令和5年度からの新たな方針として標準財政規模の20%相当額(約22億円)は不測の事態に対処できるよう堅持するものとし、これに過去5年間における財政調整基金の取り崩し実績額を合わせた額(おおむね30億~33億円)の保有高となるよう運用方針を改めたことで、基金残高は30.15ポイントの減となった。実質収支額については、ケーブルテレビ事業の民間移行に伴う補助費の大幅な経費減などにより0.25ポイントの回復となったが、実質単年度収支については前述した財政調整基金の大規模な積み替えにより前年度比30.86ポイントの減となった。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

一般会計からの基準内外の繰り出しを行っているため、全ての会計において黒字であり、連結実質赤字比率はない。しかし、病院事業会計では診療収入の減少、下水道関係では公債費の大半を繰入金に依存している状況、国民健康保険では人口減に伴う加入者数の減少により保険料収入が減少傾向にあるなど、不安要素を抱えた中での財政運営となっており、一般会計からの繰出を増やすことが求められる状況が迫っている。今後、全会計とも事業収益や利用料収益の確保の他、経常経費の圧縮に努め、上下水道会計においては、水道施設の長寿命化を進めることにより将来の大規模修繕費の抑制を図り、持続可能な運営を目指す。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

元利償還金については、合併後の大型投資事業に対する起債の償還額が大きく、過去に発行した市債の償還終了に伴って前年比4億2,200万円の減となった。また、算入公債費等の額も2億9,800万円の減となっており、実質公債費比率の分子の額は前年度と比較し1億7,300万円の減となっている。今後も、将来を見据えた計画的な事業実施や財政構造の健全化を図りながら、地方債の発行抑制や交付税措置の有利な起債の選択に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高は、借入額に対し償還額が上回ることにより減少し、公営企業債等の繰入見込額も徐々に減少しつつあることから、将来負担額の全体では前年度と比較し15.6億円の減となった。また、充当可能財源等については、基準財政需要額算入見込額が減少していることから充当可能財源等全体では前年度と比較し13.6億円の減となったが、前年度に続き将来負担額を充当可能財源が上回る結果となり、将来負担比率は算定されていない。今後も起債を発行する際には交付税措置の有利な起債を選択するとともに、基金の積み増しを行っていく方針であることから、比率は悪化しないと考えている。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)令和5年度末の基金残高は全体で約147.5億円となっており、前年度から約1.9億円減少している。これは、スキー場のリフト整備や清掃施設、小学校の維持修繕工事、ふるさと納税寄附金を活用した各種事業などにかかる基金の取り崩しを行ったことによるものである。また、財政調整基金の運用方針を改め、特定目的基金への大幅な積み替えを行ったことで、財政調整基金残高は大きく減少する結果となった。(今後の方針)「財政調整基金」については将来の不測の事態に備えるため、引き続き必要額を確保していく。また、基金の使途を明確化したうえで、公共施設の老朽化対策など将来どうしても必要となる事業の財源を確保するため、今後も特定目的基金へ積み立てていく予定である。

財政調整基金

(増減理由)これまで60億~65億円を適正な規模として確保してきたが、令和5年度の新たな方針として、標準財政規模の20%相当額(約22億円)は不測の事態に対処できるよう堅持するものとし、加えて過去5年間における財政調整基金の取り崩し実績額(約8億円)を合わせた額(おおむね30億~33億円)を保有高の目安とした。これにより特定目的基金への大幅な積み替えを行ったことで前年比32.8億円の減となった。(今後の方針)災害時等への備えとして一定規模の基金保有が必要である一方、昨今の人件費・物価高騰のあおりを受け公共施設の修繕に莫大な経費がかかる現状がある。中でもごみ処理施設や火葬場、し尿施設などは市民生活に直結するものであり、予算化の優先度が極めて高い。こうした状況は今後も継続すると考えられることから、標準財政規模の20%相当をベースとして30億円程度を維持していく。また、財源調整のために取り崩した場合でも、決算に余剰が生じた場合などは優先的に財政調整基金に積み戻すことで必要額を確保できるよう努める。

減債基金

(増減理由)利子相当額の積み立て以外、増減なし(今後の方針)基本的に地方債発行の際には交付税算入率が高いものを借りる方針であることに加え、常にプライマリーバランス(借金する額と借金を返済する額の比較)が黒字となるように財政運営を図っている。今後も不測の事態における公債費発生に備え適宜積立を行う。

その他特定目的基金

(基金の使途)ふるさと創生事業基金:ふるさと創りのための施設整備、人材育成等の経費に充てるもの清掃施設整備事業基金:清掃施設の機能を適正に維持管理するための修繕等に要する経費に充てるもの公共施設管理基金:市に設置する公共施設その他の工作物の計画的な保全及び撤去に要する経費に充てるもの合併基金:合併後の市町村が地域住民の連帯強化又は合併関係市町村の区域における地域振興等の経費に充てるもの(増減理由)ふるさと創生事業基金:ふるさと納税額が増加したことにより、取崩し額より積立額が多かったことによる増加公共施設管理基金:観光施設の修繕事業に4.1億円活用した一方、今後の維持管理に備え11.8億円積み増しを行ったことによる増加清掃施設整備事業基金:清掃施設の修繕事業に1.5億円活用した一方、今後の維持管理に備え16.0億円積み増しを行ったことによる増加合併基金:利子運用に伴う増加(今後の方針)ふるさと創生事業基金:1月から12月までのふるさと納税を一旦基金へ積み立てたうえで、寄附の目的に応じた事業へ充当する公共施設管理基金:学校・教育施設等、老朽化し再整備を必要とする市有施設が多く、毎年度一定額を取り崩す必要がある。補正予算時において余裕が生じた場合には優先的に積戻し、一定の残高を維持する清掃施設整備事業基金:例年大規模な予算が必要となるごみ処理施設やし尿処理施設の整備事業へ充当する合併基金:平成25年度まで合併後の地域振興のため合併特例債を活用して積立てを行った合併基金については今後の積立予定はないが、今後地域振興に資する公共施設整備など、基金の目的に応じた事業へ充当する

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

合併前に旧市町毎に整備した公共施設があるため、保有する施設数が非合併団体よりも多く、類似団体平均を上回っている。加えて、築年数が30年を超える施設が多いのも要因の一つとなっている。現在、保育園の統廃合や老朽化施設の大規模修繕を順次行っているが、将来にわたる修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、公共施設等の集約化・複合化を進めるなどにより、施設保有量の適正化に取り組む。

債務償還比率の分析欄

当該年度の市債借入額が公債費(返済額)下回るプライマリーバランスの黒字化を堅持してきていることから類似団体よりも比率を低く収めることができている。また、過去に借入してきた合併特例事業債の償還が順次終了していくことに伴い、借金の返済額が減少していることも要因の一つとなっている。しかしながら、財政力指数の低い自治体であることは変わりないため、今後大型投資を実施する際は、債務の平準化を図るとともに、交付税措置率の高い起債を活用することで実質的な債務償還を少なくする。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

基金等の充当可能財源により将来負担率はマイナスとなり、数値化されていない。ただし、有形固定資産減価償却率は類似団体と比較し数値が高く上昇傾向にある。将来にわたる修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、公共施設等の集約化・複合化を進めるなどにより、施設保有量の適正化に取り組む。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率について、令和4年度において公営住宅建設事業債など合併前の起債が順次完済されたことに加え、小学校整備事業にかかる合併特例事業債など大型事業の償還元金が完済されたことで、対前年度比2.2%の減となっている。また、償還額が新規発行額を上回る「プライマリーバランスの黒字化」運営に努めてきたことも公債費の減に繋がっている。今後も将来負担比率に影響が出ないよう投資事業の平準化を図り、借入の際には財源がより多く確保される起債活用を前提とした財政運営に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

当市では人口に対して市の面積が広大であり、集落も点在していることから、道路や橋梁、トンネルが多く整備されており、一人当たりの数値も突出する傾向となっている。道路舗装、斜面危険個所等については予防保全型の維持管理により優先順位を定め整備を進めていくこととしているが、減価償却率を押し下げるまでには至っていない。また、保育所については統廃合を順次進めており、不用となった保育所については売却や他の施設への利活用といったことから減価償却率の上昇を押し下げるよう努めていく。また、公民館についても利用状況と老朽化状態を勘案し、一人当たり面積が過大とならない施設数とするよう検討を進める。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

一般廃棄物処理施設については大規模修繕計画に基づき施設更新を図っていることから、減価償却率は類似団体よりも低い位置をキープしている。体育館・プール、消防施設においては令和6年度から令和8年度にかけて大規模改修を実施することから比率の改善が見込まれている。しかし、人口減少に伴い、一人当たりの面積や償却資産額は類似団体を上回っている。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、公共施設等の集約化・複合化を進めるなどにより施設保有量の適正化に取り組む。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

資産合計は一般会計等は903.3億円、前年度約43.5億円(4.6%)の減少となった。資産の約8割を固定資産が占める中で、特に金額変動の大きいものはインフラ資産と事業用資産であり、インフラ資産では道路・橋梁等の新設改良により6.0億円の資産が増加した一方、減価償却により総額15.8億円の資産減少となった。事業用資産においては、障がい者グループホーム整備事業を始め、小中学校空調設備改修や清掃施設の大規模修繕により2.6億円増加したが、減価償却により総額13.4億円の資産減少となった。負債においては、一般会計等では132.1億円、前年度から約15.9億円(10.8%)の減少となった。この要因としては負債全体の8割を占める地方債の総額が、前年度よりも18.0億円減少し、100.4億円となったことによるものである。有形固定資産のうち、土地以外の償却資産(建物や工作物等)の取得価額に対する減価償却累計額の割合は69.7%と前年度比1.5ポイントの上昇となった。公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化を進めるなど公共施設等の適正管理に努める。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

経常費用は、一般会計等では208.0億円となり、前年度から17.4億円の増加となった。主な要因は業務費用の増であり、中でも物件費等が前年度比16.2億円の増、次いで人件費が前年度比4.0億円増となっている。また維持補修費においては除雪作業における人件費等の高騰から4.4億円の増となるなど、物価高、人件費高の影響が著しいと考える。一方でその財源となる経常収益は前年度比0.7億円減の5.4億円となっており、コスト増を賄える状態になっていない。市町村合併により広大な行政区を抱えることから、行政コストの削減は非常に難しいものではあるが、あらゆる事業の見直しを行い、人件費抑制を始めとする歳出改革を推し進め行政費用の圧縮を図ることに努める。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等は前年度比2.0億円の増となったが、新型コロナウイルス関連の国県補助金の減少等により、財源が0.7億円減少したことに加え、純行政コストが前年度比17.7億円の増となっており、結果、純資産残高が前年度比△27.5億円となった。今後も大きな収益増が見込めない一方で、近年の人件費上昇や物件費増を鑑みると、事務の簡素化や効率化など行財政改革に加え、あらゆる事業の見直しを行い、歳出改革も推し進め行政費用の圧縮を図ることに努める。また、老朽化が著しい公共施設を整理し、適切な資産形成を務めることで純資産残高の上昇に繋げる。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等の令和5年度業務活動収支は17.6億円で、前年度よりも10.3億円の減少となった。主な経費としては、人件費支出が32.9億円(前年度比+0.3億円)物件費等支出が60.4億円(同+9.5億円)、補助金等支出が27.3億円(同△2.6億円)、社会保障給付支出が17.4億円(同+1.7億円)などとなっており、物価高による物件費等支出の著しい増加が見受けられる。投資活動収支は前年度よりマイナス幅が減少し△4.5億円となった。要因としては清掃施設の大規模修繕等の投資事業や各種特定目的基金の積立実施に等により前年度比20.7億円の支出増に対し、収入において、基金の繰入や資産売却収入の増により前年度比32.5億円増となったことから収支が好転したと考える。財務活動収支は、市債元金償還金等の支出が19.9億円、市債借入収入が5.5億円となり、プライマリーバランスの維持となっている。本年度末資金残高は前年度から1.3億円減少し、14.8億円となった。行政活動に必要な資金を基金の取崩しと地方債の発行収入によって確保している状況であり、行財政改革を更に推進する必要がある。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、合併前に旧市町毎に整備した公共施設があるため、保有する施設数が非合併団体よりも多く、類似団体平均を上回っている。しかし、老朽化した施設が多く、前年度末に比べて11.7万円減少している。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、令和6年度に策定した総合政策指針に基づき、今後5年間の取組として公共施設等の集約化・複合化を進めるなどにより、施設保有量の適正化に取り組む。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、過去5年に渡り類似団体平均を上回る比率となっており、前年度と比較すると1.0ポイント上昇している。将来世代負担比率は、前年度と比較すると1.2ポイント好転しており、合併特例事業債の償還が順次終了していくことに伴い、令和3年度から令和6年度にかけて減少していく見込みであり、更なる改善が見込まれる。類似団体と比較しても問題ないと考えられるが、今後も現世代と将来世代とのバランスにも配慮した財政運営が必要と考える。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っており、また、昨年度に比べても大幅に増加している。特に、純行政コストのうち3割を占める物件費が、前年度比12億円の増となったことが主たる要因と考える。例年類似団体よりも数値が高いのは、市町村合併により広大な面積を有し、広範囲を網羅した行政運営が必要となることから、住民一人当たりのコストの人件費・物件費等が高い水準になり、加えて近年の物価高騰が更なるコスト増に繋がっている。未だ高止まりが治まらない物価・人件費高騰を鑑み、これまでにない行財政改革に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

負債合計は前年度より15.9億円減少しており、住民一人当たりの負債額は前年比5.9万円の減となり、これまでプライマリーバランスの黒字化を堅持してきたことから、今年度初めて類似団体を下回る結果となった。しかしながら、これまで控えてきた大型投資事業が後年度に控えていることあり市債償還に伴う住民負担は微増もしくは維持していくものと考えている。基礎的財政収支は、投資活動収支の赤字分を業務活動収支の黒字分が上回ったことから、11.5億円のプラスとなっているが、対前年度収支では3.8億円の減となっている。今後控えている投資事業を賄うためにも、業務活動におけるこれまで以上の事業見直しと歳出改革を推し進める必要がある。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担金は、市有施設の電気料増加や各種委託料の増嵩などにより、昨年度から0.6%の悪化となり、依然として類似団体の数値を下回る結果となっている。今後、使用料・手数料などの行政サービスに係る受益者負担の金額の見直しを行い、経常的な収益確保に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,