北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

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地方財政ダッシュボード

岩手県矢巾町の財政状況(2020年度)

🏠矢巾町

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道 農業集落排水


収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

前年度と比較して0.1ポイント高い0.69となり、岩手県平均を0.32ポイント上回り、類似団体平均と同値である。主な要因として、固定資産税(家屋)、市町村民税(個人)の増収等による基準財政収入額の増が挙げられる。コロナ禍が続き町税等の確保が難しい状況であるが、引き続き積極的な企業誘致や人口増加施策を展開し、自主財源の確保に努める。

経常収支比率の分析欄

前年度と比較して0.2ポイント減少したものの、岩手県平均を6.6ポイント、類似団体平均を8.9ポイント上回っている。要因として、会計年度任用職員報酬の増等による人件費の増、除雪関連費用増等による維持補修費の増、児童福祉施設関連給付費の増等による扶助費の増により経常経費充当一般財源が増加したためであり、計算上の分母となる経常一般財源が地方税の増等により増となり、歳出の増より歳入の増がわずかに上回ったため、結果として比率が減少したものである。他団体と比較して数値が非常に高い状況が続いており、財政構造の硬直化が顕著であることから、自主財源の確保と事務事業の見直しを行い、経常経費の圧縮に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

前年度と比較して19,008円増加し、類似団体平均を20,876円上回ったものの、岩手県平均よりは23,131円下回っている。要因として、人件費が会計年度任用職員の増により前年度比4.8%の増、物件費がふるさと納税の増収に伴う経費(返礼品購入費など)や小中学校タブレット端末購入等により、前年度比12.3%の大幅増となったことが挙げられる。引き続き適正な人員管理を行うとともに、事務の見直しや効率化により物件費のさらなる圧縮を図る。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度から0.6ポイント減少し、全国町村平均を0.9ポイント上回っているものの、類似団体平均とは同指数である。町では、国・県の見直しに準じて適切に給与改定を実施しており、令和2年度においてもラスパイレス指数は他団体と同水準となっている。今後も国・県の動向や社会情勢に注視しながら、職務内容や職責に応じた給与水準となるよう適正な管理に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

前年度と比較して0.17ポイント上昇しているものの、岩手県平均及び類似団体平均を下回っている。本町では、指定管理者制度の活用や公立保育園の民営化等、定員適正化の取り組みを早期に実施してきたことにより、他団体と比較して少ない職員数となっているが、新たな行政需要や事務事業に対応するため、各職員の業務量が過大となっており、人員確保が必要となっている。厳しい財政状況であることから、今後も引き続き事務事業の見直しや業務改善行い、人員配置の適正化を図りながら、適正な定員管理に努める。

実質公債費比率の分析欄

前年度と比較して1.1ポイント上昇し、岩手県平均を4.1ポイント、類似団体平均を8.6ポイント上回っている。要因として、令和2年度単年度比としては1.5ポイント減少したが、平成30年度と比較すると一般会計に係る元利償還金及び一部事務組合負担金や公債費に準ずる債務負担行為といった準元利償還金は増額が続いており、令和元年度単年度比率も高水準となっていることが挙げられる。過去の投資的事業に係る町債の償還が順次開始され、当面の間単年度比率が上昇し3カ年平均である実質公債費比率も上昇する見込みであることから、町債発行規模の適正化や投資的経費及び公債費の平準化を図るとともに、公営企業及び一部事務組合の財政状況も注視しながら、健全な財政運営に努める。

将来負担比率の分析欄

前年度と比較して18.3ポイント減少したが、岩手県平均を77.8ポイント、類似団体平均を100.7ポイント上回っている。要因として、地方債現在高が新規普通建設事業の抑制により減少傾向にあるものの依然として高いことや、矢幅駅周辺土地区画整理事業に係る債務負担行為支出予定額の残高が大きいことが挙げられる。今後、大規模普通建設事業が一段落したことに加え、財政健全化の一環として当面事業費を抑制して実施する方針であり、町債についても新規借入額が償還額を超えない見込みであることから、比率は今後減少していくと考えられる。適正規模の基金造成及び地方交付税措置のある地方債の活用による充当可能財源の確保を図りながら、計画的な財政運営に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

前年度と比較して0.3ポイント増加したものの、岩手県平均を2.0ポイント、類似団体平均を2.8ポイント下回っている。昨年度を比較して増加した要因は会計年度任用職員報酬の増と退職手当特別負担金の増によるものである。厳しい財政状況であることから、今後も引き続き、事務事業の見直しや業務改善、人員配置の適正化を図りながら、人件費の抑制に努める。

物件費の分析欄

前年度と比較して0.9ポイント減少したものの、岩手県平均を2.6ポイント、類似団体平均を1.1ポイント上回っている。要因として、各種業務委託料や電算機器に係る等賃借料の増が挙げられる。町では、人件費が他団体と比較して低い状況である一方で、業務の効率化や新規施策の展開に伴う委託料等の増加により、近年は物件費の増加傾向が続いている。今後は事業の見直しや事務の効率化により、物件費全体の圧縮を図る。

扶助費の分析欄

前年度と比較して1.0ポイント増加し、岩手県平均より0.4ポイント、類似団体平均を0.3ポイント上回っている。要因として、自立支援給付費や認定こども園施設型給付費の前年度比増が挙げられる。本町では近年、児童福祉と障がい福祉を中心に扶助費の増加傾向が続いていることから、各種給付・助成の適正化、町民の健康増進施策の推進により、扶助費の抑制に努める。

その他の分析欄

前年度と比較して2.2ポイント増加しており、岩手県平均を1.6ポイント、類似団体平均を0.2ポイント上回っている。比率の内訳は、繰出金が9.3ポイント、維持補修費が4.4ポイントである。要因として、除雪費用の増により維持補修費が増加したことが挙げられる。また、繰出金においても医療や介護サービス等に係る給付費の増加に伴って国民健康保険事業・介護保険事業・後期高齢者医療の各特別会計への繰出金も年々増加していることから、今後の動向に注視しながら、適切な財政運営に努める。

補助費等の分析欄

前年度と比較して2.7ポイント減少したものの、岩手県平均を4.6ポイント、類似団体平均を5.2ポイント上回っている。大きな要因として、下水道事業に対する負担金の増が挙げられる。本町では公共下水道・農業集落排水事業や一部事務組合に対する負担金のほか、子ども子育て支援や移住定住、主要産業である農業等の各種支援施策の充実を図ってきたことにより、他団体と比較して高い状況となっている。厳しい財政状況であることから、町単独の補助金を中心に、事業内容や各団体の財務状況等を精査しながら、定期的な見直しや補助期限の設定、段階的な廃止を検討し、補助金・負担金の適正化を図る。

公債費の分析欄

前年度と比較して0.1ポイント減少し、岩手県平均を0.6ポイント下回っているものの、類似団体平均を4.9ポイント上回っている。要因として、矢幅駅周辺土地区画整理事業及び矢巾スマートIC設置に伴う周辺道路整備に係る町債の元利償還金の増が挙げられる。同事業に係る町債の償還は今後数年間がピークであり、この期間は公債費が増加する見込みである。今後も町債発行規模の適正化や投資的経費及び公債費の平準化を図りながら、健全な財政運営に努める。

公債費以外の分析欄

前年度と比較して0.1ポイント減少したものの、岩手県平均を7.2ポイント、類似団体平均を4.0ポイント上回っている。物件費及び補助費等に係る経常収支比率の割合が他団体と比較して特に高い状況であり、経常収支比率全体を押し上げている状況である。財政構造の硬直化が懸念されることから、今後は自主財源の確保と事務事業の見直しにより経常経費の圧縮に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

多くの項目において一人当たりのコストが類似団体平均と比較して高い状況であり、労働費、土木費、公債費の金額が特に高い。要因として、労働費は新型コロナウイルス感染症対策の町単独事業として労働者向けの生活安定資金貸付制度(単年度事業、金融機関への預託金として支出)を実施したためであり、土木費は岩手医科大学付属病院の周辺道路整備事業が一段落したものの、除雪経費等が増加したことによる。また、公債費は過去の普通建設事業等に係る町債の償還金が増加しており、当面は高い状況が続く見込みである。一方で、衛生費、消防費、教育費が類似団体平均及び県平均と比較して金額が低い状況である(教育費の減は、令和元年度に単年で実施した小中学校へのエアコン設置事業が皆減となったことが主な要因である)。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

義務的経費では、人件費が類似団体平均を下回ったものの、扶助費及び公債費が類似団体平均を上回っている。要因として、扶助費は障がい者及び子ども・子育て関連の給付費が増加していること、公債費は過去の投資的事業への対応に伴う町債発行により、単年度公債費負担が他団体と比較して高い状況であることが挙げられる。その他の経費では、補助費等の一人当たりのコストが高い状況となっている一方で、普通建設建設事業(更新整備)の一人当たりコストが大幅に減少した。要因として、補助費等は下水道事業会計等への繰出金の増が挙げられ、普通建設事業費は岩手医科大学付属病院の周辺道路整備や小中学校のトイレ洋式化等の事業が完了したことによる。性質別経費全体として、類似団体平均を上回る経費が多いため、事業見直しや業務の効率化による経費の削減を行うほか、普通建設事業については費用対効果を精査しながら計画的に事業を実施し、負担の平準化を行う。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

実質収支比率は、平成29年度以降は7%を超える比率となり、望ましいとされる3~5%の目安を超過していたが、令和2年度は5%台まで低下した。財政調整基金残高比率について、本町では適正な基金規模を標準財政規模比10%程度を目安としており、基準を満たした残高である。しかし、近年一般財源の不足分を基金で補てんする対応が続いており、年度途中に10%を切ることがあるため、年間平均で10%を維持するため、さらなる積み増しが必要である。実質単年度収支比率は、令和元年度より改善したもののマイナスの状態である。適正な基金残高を維持しながら実質単年度収支をプラスとするため、事業の選択と集中、経常経費の削減により、歳出規模の適正化を図る必要がある。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

連結実質赤字比率は、一般会計、全ての特別会計及び公営企業会計において黒字で推移していることから、比率は算出されていない。今後も引き続き全会計において歳入の確保及び歳出の抑制を図り、健全な財政運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

元利償還金は、前年度と比較して37百万円増加している。要因として、矢幅駅周辺土地区画整理事業特別会計に係る元利償還金の増が挙げられる。また、下水道事業会計の元利償還金に係る繰入金は減少したものの、一部事務組合が借り入れた地方債に係る元利償還金は増加しているほか、定住促進利子補給金の増や令和2年度から実施している新型コロナウイルス感染症対策資金利子補給・保証料補給により債務負担行為に基づく支出額も増えている。一方で地方交付税に算入される公債費は減少している。過去の投資的事業への対応に伴う町債発行により、単年度公債費負担が他団体と比較して高いことから、町債発行規模の適正化や投資的経費及び公債費の平準化を図るとともに、公営企業及び一部事務組合の財政状況も注視しながら、健全な財政運営に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

将来負担額は、前年度と比較して1,088百万円減少した。要因として、投資的経費の抑制により償還額を超える町債の新規発行を行わなかったことから地方債現在高が減少したこと、下水道事業に対する繰入見込額や矢幅駅周辺土地区画整理事業の割賦払いに係る債務負担行為支出予定額等が減少したことが挙げられる。充当可能財源等は、前年度と比較して318百万円減少した。要因としては、充当可能基金が前年度と比較して117百万円の増額となったものの、地方債の償還等に充当可能な特定歳入が減少したことに加え、交付税措置される地方債に係る基準財政需要額算入見込額が減少したことが挙げられる。今後も町道整備事業や公共施設の長寿命化等が控えており、町債の新規発行が続く見込みであることから、基金の適正残高の維持及び地方交付税措置のある地方債の活用による充当可能財源の確保を図るとともに、公営企業及び一部事務組合の財政状況も注視しながら、計画的な財政運営に努める。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)令和元年度に大規模普通建設事業の実施等による財源不足を補てんするため多額の取り崩しを行い残高が大きく減少。令和2年度は事業が一段落し、積立が611百万円、取り崩しが526百万円とかろうじて積立額が取り崩しを上回り残高が増加した。(今後の方針)近年、大規模投資的事業の集中や新たな行政需要に対する施策の拡充等による歳出増に伴う一般財源の不足を補てんするため、基金取り崩しによる対応が続いていることから、積立基金残高が減少している。現在の歳出規模が継続し、基金取り崩しに頼る財政運営が続いた場合には基金の枯渇が懸念される。今後各種経費の削減、事業の見直しを行うことで歳出を抑制し、基金の取り崩しを最小限に抑えるとともに、将来の財政需要に備えて計画的に積み立てを行っていく。

財政調整基金

(増減理由)令和元年度に引き続き、財源不足補てんのため349百万円を取り崩したが、年度末に不用額の積み立て(454百万円)を行い、年度末残高が前年度を上回った。(今後の方針)本町では、災害発生等の緊急財政需要を考慮し、財政調整基金の最低基準を標準財政規模の10%程度としており、令和2年度の標準財政規模に対する残高比率は12.8%と基準を満たしている状況である。しかし近年、本町では歳出増に伴う一般財源の不足を補てんするため、多額の基金取り崩しを行うことが常態化しており、年度途中では10%の基準を下回る状況も発生している。最低でも通年で10%の基準を満たす残高を維持するために、今後さらなる積み増しを行っていく。また、今後各種経費の削減、事業の見直しを行うことで歳出規模を縮小し、本町本来の歳入に見合った予算規模とすることで財政調整基金に頼らない財政運営を目指す。

減債基金

(増減理由)令和2年度、町債の繰上償還等は行っておらず、基金の取り崩しは行っていない。また、基金への積立は預金利子分のみである。(今後の方針)本町では、満期一括償還地方債を発行していないほか、利率が高い民間金融機関等からの借入については平成29年度までに繰上償還を実施した。このことから、現在は投資的事業の実施や新たな行政需要に対する施策の拡充等による歳出増に伴い、一般財源総額を確保するため、財政調整基金を優先して積み立てをを行っている。今後も引き続き、財政調整基金や特定目的基金の積立を優先としながらも、後年度支払利子及び単年度公債費の負担軽減の観点から、バランスを考慮しながら減債基金への積立を行い、公債費負担の軽減に努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)・教育施設整備基金は、教育施設の整備に要する経費の財源に充てることとしている。・公共施設等総合管理基金は、町有資産の維持管理、処分等に関する一連の過程における資金に充てることとしている。・新型コロナウイルス感染症対策資金利子補給等基金は、令和2年度に実施した中小企業向け制度資金の利子補給及び保証料補給の財源に充てることとしている。・芸術文化振興基金は、芸術文化の振興を図る経費の財源に充てることとしている。・ふるさと基金は、自ら考え自ら行う地域づくり事業に要する経費の財源に充てることとしている。(増減理由)・教育施設整備基金の積立は運用収入(利子)分である。・公共施設総合管理基金は、町有地売却に係る収入(58百万円)を積み立てたものの、公共施設の長寿命化等に係る財源として151百万を取り崩したため、前年度と比較して93百万円減少した。・新型コロナウイルス感染症対策資金利子補給等基金は、令和2年度新規で設立した基金である。・ふるさと基金は、自治会への補助事業(コミュニティ施設整備事業等)に充当したことから、前年度と比較して基金残高は15百万円減少している。(今後の方針)・教育施設整備基金は、今後見込まれる学校施設の老朽化に伴う大規模改修・建替等に備え、計画的に積立を行う。・公共施設等総合管理基金は、今後見込まれる公共施設の老朽化に伴う長寿命化、維持補修に備え、計画的に積立を行う。・新型コロナウイルス感染症対策資金利子補給等基金は、令和5年度までに全額取り崩し、廃止する予定である。・芸術文化振興基金は、長期にわたって塩漬けとなっており、趣旨に沿った積立金の活用や見直しに向けて、関係団体等と検討を行う。・ふるさと基金は、地域づくりに資する事業の財源として継続して活用する。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は類似団体より高い水準である。特に道路等インフラ資産の有形固定資産減価償却率が高いことが原因であり、計画的な維持補修を行っていく必要がある。

債務償還比率の分析欄

平成28年度に若干改善したものの、その後再び上昇している。主な原因は矢巾スマートIC周辺及び岩手医科大学附属病院周辺の道路改修事業や、町中心部の踏切更新事業に係る借入の増が原因として挙げられる。令和2年度、投資的事業の抑制により比率も改善しており、引き続き指標の改善に努めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

大規模普通建設事業に係る新規借入を行ったことにより将来負担比率が上昇したものの今後は減少する見込である。一方でインフラ資産の減価償却が進み有形固定資産減価償却率も高い水準にあり、維持補修等を計画的に実施する必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率、将来負担比率とも近年の大規模普通建設事業の実施に伴い上昇したものの、その後普通建設事業を抑制しているため、将来負担比率は減少する見込である。実質公費比率についても、単年度の数値で令和4年度がピークと見込まれ、以降は低下することが想定される。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

【道路】類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高い。町道延長が類似団体より多い(長い)ため維持補修に要する経費が大きく、計画的に老朽化対策に取り組む必要がある。【橋りょう】定期点検と適切な維持補修の実施により、有形固定資産減価償却値率は類似団体を若干下回っている。【公営住宅】有形固定資産減価償却率は類似団体を大きく上回っている。計画的な修繕を実施するとともに、老朽化が著しい住宅については集約・再編、PPP/PFI、民間施設の借上げ等の様々な手法を検討する。【保育所】町立煙山保育園は建築後年数が経過しておらず(平成27年築)、有形固定資産減価償却率は低い。【学校施設】類似団体と比較して低い水準を維持しているが、矢巾中学校(平成24年築)と矢巾東小学校を(平成16年築)除いた、4校について引き続き修繕及び老朽化対策を計画的に実施する。【児童館】有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して高い水準である。新築の煙山児童館(平成28年築)を除く3施設で老朽化が進んでおり、順次維持補修を実施することで数値の改善を目指す。【公民館】類似団体と比較して有形固定資産減価償却率は低い。令和元年度には外壁補修工事を実施した。今後も維持管理を計画的に実施する。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

【体育館・プール】平成30年度末でプール(南昌グリーンハイツ)が廃止。令和元年度から町民総合体育館のみの数値となり、有形固定資産減価償却率が類似団体平均をやや上回った。築40年以上経過した施設であり、維持補修を計画的に実施していく。【福祉施設】本町に町立の福祉施設はない(平成28年度の記載は誤り)。【市民会館】有形固定資産減価償却率は類似団体平均値である。今後は各種設備の更新が必要となるため、年次計画を立てて対応する。【一般廃棄物処理施設】一部事務組合分。設備老朽化への対応として平成29年度から平成30年度にかけてごみ焼却施設基幹的設備改良事業を実施したことにより、有形固定資産減価償却率が低下した。【消防施設】有形固定資産減価償却率が類似団体平均を上回っているものの、築20年が経過し、今後大規模な修繕が見込まれており、順次対応する。【保健センター】有形固定資産減価償却率が類似団体平均を上回っている。現状で大きな修繕箇所はない。【庁舎】有形固定資産減価償却率が類似団体平均を上回っている。非常用発電機の更新により若干ではあるが償却率が改善している。順次補修等に対応する。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等では、インフラ資産等の増加により固定資産が前年度比+2,087百万円となったことにより、資産全体では、前年度比+1,297百万円となっている。水道事業会計及び下水道事業会計を加えた全体では、資産が増加する一方で地方債残高等の減少により負債は減少している。さらに一部事務組合を加えた連結では、資産、負債ともに減少している。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用が13,490百万円、前年度比+3,265百万円となった。内訳は人件費や物件費等の業務費用が前年度比+698百万円、補助費や社会保障給付等の移転費用が前年度比+2,567百万円である。業務費用の増は減価償却費の増、移転費用の増は新型コロナウィルス感染症に伴う特別定額給付金の皆減が主な要因である。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(13,370百万円)が純行政コスト(13,129百万円)を上回り、純資産残高が増加(前年度比+241百万円)した。昨年度に引き続き、岩手医科大学周辺道路整備事業等普通建設事業の実施により、財源に補助金が充当される一方、施設取得によるコストは減価償却等により徐々に計上されるため、総資産が増加したものと考えられる。今後さらに税収等の確保に努めるとともに、経常経費の見直し等による行政コストの削減についても推進する必要がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支が691百万円で、新型コロナウィルス感染症関連事業に伴う国県等補助金収入の増等により前年度比+627百万円となっている。また、投資活動収支では、公共施設等整備費支出の減等により257百万円(前年度比+383百万円)となっている。また、財務活動収支は地方債の償還額が発行額がを上回り前年度比▲540万円である。年度末資金残高は1,409百万円で前年度比106百万円となっており、投資活動と地方債償還に必要な経費の不足分を業務収入により確保している状況である。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は昨年度と比較して増加し、類似団体平均値に近い値となっている。これは道路等の大部分について取得価格が不明なことにより備忘価格1円で評価しているためと考えられ、大規模普通建設事業の実施により、インフラ資産を中心に今後資産は増加すると考えられる。歳入額対資産比率は類似団体を下回っているものの、令和2年度の歳入総額は新型コロナウィルス感染症関連の収入増が増加の大きな要因であり、今後減少する見込であることから、それに伴い歳入額対資産比率は上昇するものと考えられる。有形固定資産減価償却率について、本町の資産は老朽化が進んでおり、前年度に引き続き類似団体と比較して高い水準にある。老朽化資産については、定期的な点検等に基づく長寿命化対策を計画的に実施し、公共施設等の適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は前年度より上昇しているものの類似団体平均を下回っており、資産の増加まで手が回らず、将来世代が活用できる資産を現世代が消費して行政活動を行っている状態である。今後行政活動のコスト削減に努めるとともに、計画的な資産形成にも留意する必要がある。将来世代負担比率は、前年度と比較して大きく減少し、類似団体平均程度となっている。今後見込まれる大規模投資的事業の実施に備え、引き続き地方債残高の圧縮を行い、適正な将来世代の負担に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、前年度より大幅に増加したが、これは新柄コロナウィルス感染症関連関連事業に伴うものである。類似団体比較では依然として類似団体平均を上回っていることから、引き続き経費削減に努めるとともに、補助費等については費用対効果等について検証を行い、見直しを行っていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負担額は前年度より減少したものの、依然として類似団体平均を上回っている。岩手医科大学周辺道路整備事業等の大規模普通建設事業に係る地方債が増加していることが要因である。負債の合計は令和4年度頃までがピークであり、新規借入の抑制等による地方債残高の圧縮を行い、将来世代の負担減少に努める。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字化と基金取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字の減少により+585百万円となっている。引き続き普通建設事業を抑制するとともに基金の取り崩しに頼らない財政構造への転換を目指す。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均を下回っている。類似団体平均まで受益者負担比率を引き上げるためには、仮に経常収益を一定とする場合には約6,176百万円経常経費を削減する必要があり、経常費用を一定とする場合には約256百万円経常収益を増加させる必要がある。このため、経費削減等による物件費等支出、事務事業評価等による補助費等の見直しを積極的に行うとともに、公共施設使用料等の見直し等も検討することが必要である。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,