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地方財政ダッシュボード

岩手県奥州市の財政状況(2023年度)

🏠奥州市

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

令和5年度の財政力指数は前年度から0.01ポイント上昇したが、ほぼ例年と同程度である。県内平均を上回っているものの、類似団体平均を下回り、類似団体内順位は依然低位に留まっている。分子となる基準財政収入額は、定額減税の影響はあるものの、個人所得の増や固定資産税の増により市税で469百万円増、地方消費税交付金で255百万円増となるなど、全体で687百万円の増となった。分母となる基準財政需要額は、測定単位や単位費用の増により個別算定経費が203百万円の増、合併特例債償還費の増などにより公債費が105百万円の増となるなど、全体で268百万円の増となった。分子の増が分母の増を上回ったため財政力指数は0.01ポイントの増となった。交付税合併特例措置の終了により財源の確保がより困難となっていることから、事務事業・公の施設の見直しなど行財政改革を推進し、健全な財政運営に取り組んでいく。

経常収支比率の分析欄

令和5年度の経常収支比率は、分子となる経常経費充当一般財源は、給与改定の影響により人件費で327百万円の増、物価高騰により物件費で212百万円の増となったが、前年度に実施した第三セクター等改革推進債一括償還の影響が解消されたことから公債費が2,333百万円の大幅減となり、全体として前年比1,953百万円の減となった。分母となる経常一般財源総額は地方税のうち個人市民税で105百万円、普通交付税が46百万円それぞれ増となったが、物価高騰や設備投資により法人市民税が490百万円減となった。結果、経常収支比率は5.0ポイント改善したが、類似団体内順位は下位に位置している。昨年度は第三セクター等改革推進債の一括償還という特殊要因があったため、一時的に大幅に増加したものであるが、当該要因が解消されたとは言え、人件費の高止まりや扶助費の増加、公共施設老朽化に伴う維持管理経費の増加が見込まれていることから、事務事業の精査等によりさらなる経費適正配分を行うとともに、歳入確保にも努めていく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費は、一般職の採用抑制及び技能労務職の退職者不補充による職員削減を実施したことにより、合併直後の平成18年度と比較して260人の減で、人口1,000人当たりの職員数では類似団体より1.12人少なくなっている。決算額は平成18年度と比較すると1,684百万円の減となったが、給与改定等の影響により前年度比較では428百万円の増となっている。物件費は、物価高騰の影響を受け委託料等が増加傾向にあり、またふるさと応援寄附金の増に伴い関連経費が増加しているが、新型コロナウイルスワクチン接種関連事業の縮小等により前年度比225百万円の減となった。人件費との合算では、前年度比204百万円増となり、人口減少もあることから1人当たり決算額は前年比1,190円の増となったが、類似団体平均・全国平均ともに下回った。財政計画においては、経常経費である物件費の削減による効果額を一定程度見込んでいることから、ふるさと応援寄附事業のような歳入に連動して経費も増加するという特殊な事業を除き、DX推進及びGX推進を図りながら経費の節減に取り組む必要がある。

ラスパイレス指数の分析欄

平成27年度における類似団体の区分見直し以降、類似団体内順位の概ね中位に位置している。また、ここ数年は給与制度の大幅な見直し等を実施していないため、ほぼ横ばいで推移している。高卒職員の管理職登用がラスパイレス指数に影響することを踏まえつつ、今後も適正な給与水準の維持に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成18年2月の市町村合併以降、一般職の採用抑制及び技能労務職の退職者不補充による職員削減を実施したことにより、全国平均・類似団体を大幅に下回る数値となっている。令和5年度における類似団体の人口1,000人当たり職員数が0.07人増加したところ、当市においては、人口減少及び職員数の増により、0.27人の増となった。今後は、令和5年12月に見直しを行った第2次奥州市定員管理計画に基づき、事務事業の見直し及び組織再編等により、市民サービスの低下を防ぎつつ業務効率化を進めるほか、年齢構成を考慮した定員管理を進めていく。

実質公債費比率の分析欄

令和5年度の実質公債費比率は、前年度の第三セクター等改革推進債の全額一括償還の影響に伴う一時的な大幅増に対して、前年度比1.2ポイント改善したが、類似団体の中では最も高い比率となっている。令和4年度以降3年間はこの影響を受けるため、実質公債費比率は当面高い比率で推移するが、健全化基準は大きく下回るものであり、後年度負担の軽減(将来負担比率の減少)は大きく図られている。現在整備中の義務教育関連施設をはじめ、今後も大規模な普通建設事業が計画されていることから、事業費の適正管理や事業の年度間調整などにより起債借入額の抑制に努めていく。

将来負担比率の分析欄

令和5年度の将来負担比率は、前年度に実施した第三セクター等改革推進債の全額一括償還により、起債残高が前年度比2,931百万円減少した。分母においては、地方消費税交付金や固定資産税等の増により、標準税収入額が増加したため標準財政規模が増加し、結果として、前年度比16.7ポイントの減となった。将来負担比率は年々改善傾向にあり、全国平均に比べ高い比率ではあるものの、類似団体平均を初めて上回った。今後は義務教育関連施設や新市立病院建設、公共施設の長寿命化事業など充てるため、起債借入の増加が見込まれることから、引き続き事業実施の適正化を図り、負担の高い年であっても概ね100%程度となるよう、健全な財政運営に努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

令和5年度の人件費は、合併以来継続してきた一般職の退職者数の5分の1(平成25年度より3分の1)採用、労務職の退職者不補充による職員削減は継続しているが、退職手当に係る負担金の増(162百万円の増)、会計年度任用職員報酬増などにより全体で前年度比428百万円の増となった。経常一般財源は前年度比327百万円増となり、人件費に係る経常収支比率は1.0ポイント増となったが、全国平均・類似団体比較においては上位に位置している。合併後の平成18年度以降で比較すると、経常一般財源ベースで2,208百万円の減、職員数では260人の減となっている。

物件費の分析欄

令和5年度の物件費は、物価高騰の影響に加え、ふるさと応援寄附金の増加に伴い返礼業務に要する委託料等が増加したものの、新型コロナウイルスワクチン接種関係事業費の縮小に伴い、全体で225百万円の減となった。経常一般財源は前年度比212百円の増となった結果、物件費に係る経常収支比率は0.7ポイント増となった。財政計画においては、経常経費である物件費の削減による効果額を一定程度見込んでいることから、ふるさと応援寄附事業のような歳入に連動して経費も増加するという特殊な事業を除き、DX推進及びGX推進を図りながら経費の節減に取り組む必要がある。

扶助費の分析欄

令和5年度の扶助費は、子育て世帯への臨時特別給付金事業で458百万円の大幅減(皆減)となるも、低所得世帯支援給付金給付事業(230百万円増)や物価高対策重点支援給付金給付事業(510百万円増)、低所得の子育て世帯に対する生活支援特別給付金事業(68百万円)などの低所得者支援給付金事業の増により全体で158百万円の増となった。経常一般財源は前年度比131百万円減となったため、扶助費に係る経常収支比率は0.3ポイント減少した。本市の人口は、毎年1,000人を超えるペースで減少している一方、少子化対策である子ども子育て関連経費などの高止まりや、障がい者への福祉サービス給付が増加しており、物価高騰対策としての給付金事業がないと仮定しても引き続き増加していくものと見込まれる。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は幾分減少傾向にあるが、引き続き類似団体平均を上回っている。主な要因は繰出金であり、被保険者数の減少に伴い国民健康保険事業特別会計繰出金が21百万円減となるも、給付費の増により介護保険特別会計(保険事業勘定)繰出金で43百万円増、浄化槽事業の法適化に伴う特別繰出金の増により浄化槽事業特別会計繰出金で32百万円増となるなど、繰出金全体で前年度比38百万円の増となった。団塊の世代の移行により、今後も後期高齢者医療特別会計への繰出金は増加傾向であり、物価高騰に伴い水道・下水道事業に対する繰出金の増が見込まれることから、使用料の見直しを含め、法定外繰出金の適正化を図っていく必要がある。

補助費等の分析欄

令和5年度の補助費等は、物価高騰対策支援として実施した交付金等事業や大口の市税還付金があったものの、新型コロナウイルスワクチン接種関連事業の減(310百万円減)などにより全体で405百万円の減となった。経常一般財源は27百万円の増となり、補助費等に係る経常収支比率は0.2ポイントの増となり、類似団体内順位は下位に位置している。従来より補助費等に係る経常収支比率は類似団体平均と比べ高い割合となっており、人件費や物価高騰に伴い一部事務組合負担金の増も見込まれることから、補助費等の適正管理を行っていく必要がある。

公債費の分析欄

令和5年度の公債費は、前年度に実施した第三セクター等改革推進債の全額一括償還の影響が解消されたことから2,372百万円、経常一般財源が2,359百万円、それぞれ大幅減となり、公債費に係る経常収支比率は6.6ポイント減少した。類似団体内順位は下位に位置している。今後は合併特例債等の償還により当面高い水準で推移するものの、7,000百万円を下回る額で推移していくものと見込んでいる。今後も引き続き財政計画に基づき新規借入額の抑制を図ることにより健全な財政運営を図っていく必要がある。

公債費以外の分析欄

公債費を除いた経常経費で多くを占めるのが扶助費、補助費等、物件費となっている。扶助費については少子高齢化の進行に加え、障がい者支援経費も引き続き増加が見込まれている。補助費等については、人件費や物価高騰に伴い一部事務組合負担金や公営事業会計負担金の増も見込まれており、補助費等の適正管理を行っていく必要がある。物価高騰に加え、人件費の増に伴い物件費も増加傾向となっている。公共施設の維持管理経費は一定程度見込む必要があることから、事務事業の精査による経費の節減と事務事業・公の施設見直し指針に基づく公共施設の適正管理を進めていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

・歳出決算総額は、住民一人当たり566,845円となり、前年度比8,009円の増となった。・最も多いのは民生費で、子育て世帯や低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金事業の大幅減があったものの、物価高騰対策重点支援給付金給付事業等の給付金事業の実施により一人当たりコストは前年比7,903円増の187,505円となった。本市の人口は、毎年1,000人を超えるペースで減少している一方、少子化対策である子ども子育て関連経費などの高止まりや、障がい者への福祉サービス給付が増加しており、物価高騰対策としての給付金事業がないと仮定しても引き続き増加していくものと見込まれる。・教育費は、義務教育施設の改築・改修事業の実施により普通建設事業は増加しているが、令和5年度に関しては水沢中学校校舎等改築事業と(仮称)奥州西学校給食センター新築事業が同時進行していることもあり前年度比833百万円の大幅増となった。類似団体内では教育費の住民一人あたりコストは低位に位置している。今後も学務教育施設整備事業や、教育ICT化対応経費などが計画されていることから、教育費の割合は高い比率で推移するものと見込んでいる。・衛生費は、新型コロナウイルスワクチン接種関連事業の大幅減により全体として594百万円減となり、住民一人当たりコストが前年比4,403円減の54,333円となり類似団体内では高位に位置している。・商工費は、新工業団地への企業誘致が進んだことにより立地企業への補助金交付額が増加したことや、廃業した中心市街地商業施設の取得により、718百万円増となり、住民一人あたりコストが6,863千円増の25,727千円となった。・公債費は、新規発行額の抑制等により償還が進んでいることに加え、前年度に実施した第三セクター等改革推進債の全額一括償還の影響が解消されたことにより一人当たりコストが前年度比20,181円減の62,973円となった。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

・歳出決算総額は、住民一人当たり566,845円となり、前年度比8,009円の増となった。・最も多いのは前年度同様扶助費であるが、引き続き低所得者支援として実施した低所得世帯支援給付金給付事業や物価高対策重点支援給付金給付事業、低所得の子育て世帯に対する生活支援特別給付金事業などにより全体で158百万円の増となった。人口は毎年1,000人以上減少しているものの高齢者の割合は全国的にも高く、少子化対策である子ども子育て関連経費などの高止まりや、障がい者への福祉サービス給付の増傾向により、引き続き増加が見込まれる。・人件費は、給与改定等の影響により増加しているものの、市町村合併以来継続している一般職の退職者数の採用抑制、労務職の退職者不補充による職員削減の効果などにより、類似団体や全国平均に比較して下回っている。・公債費は、合併特例債の活用により、類似団体と比較して著しく多くなっているが、借入の抑制や繰上償還の実施により着実に地方債残高を減少させている。令和4年度は第三セクター等改革推進債を全額一括償還したことにより一人当たりコストが一時的に大幅増となったが、令和5年度はこの影響が解消されたため前年度比20,181円減の62,973円となり、類似団体平均に近づいた。・普通建設事業費は、住民一人当たり49,598円と、前年度比22,215円増となったが、類似団体内では低い額となっている。今後は義務教育関連施設や新市立病院など合併特例債を活用した大型事業を計画していることから増加が見込まれる。財政計画においては、合併特例債の活用期間終了後は普通建設事業費を30億円未満まで引き下げる計画としており、公共施設総合計画個別施設計画個別施設計画に基づき、住民理解を得たうえで施設の統廃合を行い、必要な施設については長寿命化を進めることが重要となっている。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

財政調整基金は、平成29年度以降基金の取り崩し期間となっていたが、令和2年度以降は普通交付税の追加交付や地方消費税交付金、ふるさと応援寄附金、法人市民税等の税収増により、3年連続で積み増すこととなった。財政計画(財政見通し)では令和17年度に収支均衡としており、今後も基金を取り崩しての財政運営が見込まれるが、まれにみる物価高騰等により、義務的経費をはじめ、歳出の抑制に注力することが困難であることから、事業の取捨選択とより一層の歳入確保に努める必要がある。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

○病院事業会計平成27年度から市内の2市立病院と3診療所の会計を統一し、奥州市病院事業会計として事業運営を行っている。統一初年度は黒字経営であったが、患者数の減少などから平成28年度以降は赤字経営が続いていた。令和3~4年度はコロナ関連補助金の影響により2年連続黒字決算となった。令和5年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことにより、通常診療体制へ移行し、総合水沢病院への電子カルテシステムの導入、衣川診療所における遠隔診療車を活用したモバイルクリニック事業を開始するなど、医療機能の充実に努めたが、新型コロナウイルス感染症関連の特例措置や補助金の終了に加え、医業収益の減少もあり3年ぶりに純損失を計上することとなった。今後、新医療センター整備を目指していることから、住民理解を十分得るとともに、令和6年3月に策定した「奥州市立病院・診療所経営強化プラン(令和5年度~令和9年度)」に基づきより一層の経営健全化を図る必要がある。○水道事業会計平成29年度に策定した「奥州市水道事業ビジョン」、令和5年3月に策定した「第2次奥州市水道事業中期経営計画(後期計画:令和5年度~令和9年度)」に基づき、安全で安心な水の安定供給に努めている。人口減少などにより水需要の減少が見込まれる中、災害に備えた施設の耐震化などの設備投資の高まりに加え、物価高騰により水道事業を取り巻く環境は厳しくなっている。令和5年度は、他会計補助金や雑収益が増加し、配水及び給水費、支払利息及び企業債取扱諸費等が減少したことなどから、前年度を上回る純利益となった。今後の経営状況においても、給水人口の減少と物価高騰や設備の更新等の経費増加により赤字が見込まれたことから、令和6年4月検針分から料金改定を実施することとした。○下水道事業会計平成28年度に策定した「奥州市汚水処理基本計画」に基づき、水質の保全、改善及び生活環境の向上を目的として事業を推進した。物価高騰により維持管理経費が増加しており、減価償却費や資産減耗費等も増加したものの、他会計補助金や長期前受金戻入等が増加したことにより、前年度を上回る純利益となった。令和6年度中に下水道事業の経営戦略を策定する予定としており、公共下水道事業エリアの見直し(縮小)や農業集落排水の公共下水道への接続等による経費の圧縮と、収入確保に向けた下水道使用料の改定を行う方針としている。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

元利償還金は、借入額の抑制を図り、プライマリーバランスの黒字の確保により減少傾向となっている。令和4年度は後年度負担の軽減のために、第三セクター等改革推進債(平成24年度に奥州市土地開発公社の債務整理のために借り入れ)を全額一括償還したことにより一時的に大幅な増となったものの、令和5年度は当該要因が解消されたことに加え、他の元利償還金の減もあり、前年度比2,367百万円の大幅減となった。算入公債費等は、地方債の償還は進んでいるが、災害復旧費等に係る基準財政需要額が105百万円増となったため、全体とし55百万円の増となった。以上のとおり、算入公債費等は増となったものの、元利償還金の大幅減により、実質公債費比率の分子は前年度比2,427百万円の大幅減となった。今後は合併特例債等の償還により当面高い水準で推移するものの、7,000百万円を下回る額となるものと見込んでおり、引き続き財政計画に基づき健全な財政運営を図っていく。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高は、借入額の抑制を図り、プライマリーバランス黒字の確保により年々減少傾向であり、前年度比2,931百万円の減となった。公営企業債等繰入見込額は、下水道事業会計において、令和2年度の法適化に伴う繰出額の一時的な増が算定対象から除外されたことなどにより全体で2,874百万円の減となった。退職手当負担見込額は、退職者不補充等により算定対象人数が減少している一方、中途退職等により退職手当支出が増加していること等により退職手当組合積立額が減少していることから、325百万円増加した。充当可能基金は、財政調整基金の取り崩しを行わなかったことや決算剰余金の積立等により1,173百万円増加した。結果として将来負担比率の分子が対前年比4,540百万円減少した。今後も、引き続き財政計画に基づき健全な財政運営を図っていく。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)起債償還のための取崩しをはじめ基金の設置目的に合致した事業の財源として484百万円の取り崩しを行ったが、財政調整基金の取り崩しが0であり、決算剰余金などの積み立てが1,423百万円であったため、基金全体としては939百万円の増となった。(今後の方針)普通交付税の合併算定替の終了に備えて積立に注力する期間としてきたが、今後は財政調整基金などの各基金の活用(取崩し)が見込まれることから、各年度の決算状況に応じて財政調整基金等の取崩額を判断するとともに、財政調整基金残高を令和8年度末時点で60億円ほど、令和17年度末で標準財政規模の10%程度(30億円程度)を確保することとしている。

財政調整基金

(増減理由)給与所得者の所得額の増加や設備投資に伴う固定資産税の増等、市税が堅調であることや、地方消費税交付金、ふるさと応援寄附金の増などにより、基金の取り崩しを行うことなく、地方財政法第7条に基づく令和4年度決算剰余金の積立てを行ったことにより、540百万円の増額となった。(今後の方針)普通交付税における合併算定替措置が終了し、普通交付税が減少しており、財政調整基金を活用(取崩し)しての財政運営が見込まれるが、都市プロモーション活動等によりふるさと納税やクラウドファンディングによる歳入確保に努め、標準財政規模の10%程度の基金残高を確保していく。

減債基金

(増減理由)従来、決算剰余金の法定積立は財政調整基金へのみ行っていたが、基金の設置目的に則り償還財源の確保を図るために、令和5年度から減債基金へも積立を行う方針となった。これにより、取崩額(155百万円)を超える積立(521百万円)となり、366百万円の増額となった。(今後の方針)これまでは第三セクター等改革推進債の償還が大きな財政負担となっていたが、令和4年度に一括全額償還を行ったことにより第三セクター等改革推進債の残債は0となった。これにより旧土地開発公社の土地売り払い収入の減債基金への積立はなくなるが、決算剰余金の法定積立を財政調整基金と同程度行うことにより、基金残高の確保に努めていくこととしている。

その他特定目的基金

(基金の使途)○地域振興基金:地域住民の連携の強化又は地域振興のために設置している。〇水源地域振興基金整備基金:水源地域における施設整備に要する経費の財源に充てるため設置している。〇森林環境譲与税基金:森林環境譲与税を、森林の整備及びその促進に関する施策に要する経費の財源に充てるとともに、当該施策を長期的かつ計画的に進めるため設置している。〇協働のまちづくり基金:地域の自治意識及び一体感を醸成する地域活動に要する経費の財源に充てるため設置している。〇地域福祉基金:高齢化社会に対応した地域福祉の増進に要する経費の財源に充てるため設置している。(増減理由)〇地域振興基金:合併特例債を活用し113百万円の積立を行ったが、財源不足に対応するため200百万円の取崩を行ったことにより減少〇水源地域振興整備基金:水源地域整備に対するクラウドファンディング額181百万円の積立を行ったことにより増加〇森林環境譲与税基金:事業実施に伴い22百万円の取崩を行ったが、後年度の事業実施に備える積立(63百万円)が上回ったため増加〇協働のまちづくり基金:積立額に比べ事業実施に伴う取崩額が上回ったため減少〇地域福祉基金:財源不足に対応するため、毎年30百万円の取崩を行うこととし、地域福祉関連事業へ充当したことにより減少(今後の方針)〇地域振興基金:合併特例債を活用して積立てを行うことから、令和7年度(新市建設計画期間の延長により令和12年度まで積立予定)までは一定額を積み立てつつ、財源不足に対応するために毎年取崩す見込みである。○その他の基金:基金の目的に合致した事業の実施のための財源として計画的に取り崩す見込みである。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産の老朽化に伴い、前年度比1.8ポイント増加したが、類似団体平均を僅かながら下回っている。今後は、令和5年3月に改訂した「奥州市公共施設等総合管理計画」、随時改訂を行っている「個別施設計画」に基づき、施設の長寿命化対策を実施するとともに、人口動態等の変化に対応した公共施設等のあり方を検討するとともに、施設規模や配置、機能等の適正化を図っていく。

債務償還比率の分析欄

新市建設計画に基づく事業実施や、旧土地開発公社等の負債の解消に伴う市債発行の影響により市債残高が類似団体に比し多額であるが、プライマリーバランス黒字の堅持により将来負担額は減少傾向にある。令和3年度は普通交付税の追加交付や地方消費税交付金の増等により分母が増加したため大幅に比率が改善し、類似団体平均を下回った。令和4年度は第三セクター等改革推進債の残債(約21億円)を全額償還したことなどから分子が減少し、対前年度比11.0ポイント改善、類似団体平均を91.0ポイント下回った。今後も引き続き市債の発行額の抑制に加え、据置の有無等借入方法にも留意しながら公債費負担の軽減に努めていくとともに行政経営改革プランに基づき、市税等の経常一般財源の確保、義務的経費の縮減にも取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

プライマリーバランス黒字の堅持により、市債残高を着実に減少させてきたことに加え、令和4年度に第三セクター等改革推進債の残債を全額償還したことから将来負担比率は類似団体平均に近づくまで減少ししている。有形固定資産減価償却率は類似団体に比べ低い水準にあるものの、60%を超えており公共施設の老朽化は進行している。今後は令和5年3月に改訂した「奥州市公共施設等総合管理計画」、随時改訂を行っている「個別施設計画」に基づき、計画的な維持管理と長寿命化により中長期的なコストの縮減を図るとともに、施設の整理統合を進め、財政負担の軽減と平準化に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

新市建設計画に基づく事業実施や、旧土地開発公社等の負債の解消に伴う市債発行の影響により、市債残高、毎年の償還額ともに多額であることから、実質公債費比率は類似団体平均に比し高い水準にあるが、償還計画に基づき着実な償還を進めるとともに、新規借入の抑制等により比率を減少させてきている。平成29年度以降は据置期間なしでの市債発行を進めたことから公債費が増加し、実質公債費比率も上昇傾向にあった。令和3年度は公債費の減少に加え、追加交付による普通交付税の増や消費税率の引き上げに伴う地方消費税交付金の増、森林環境贈与税の新設といった標準財政規模の増加要因があったため、前年度に比べて大幅に減少した。令和4年度は将来負担の軽減を図るため、第三セクター等改革推進債の残債(約21億円)を全額償還したことから一時的に大幅増となった。将来負担比率も類似団体平均に比し高い水準にあるが、プライマリーバランス黒字の堅持により着実に減少しており、令和4年度は第三セクター等改革推進債の全額償還により類似団体平均に近づくまで減少した。減少幅は類似団体を大きく上回る減少幅となっている。今後も市債の発行規模、据置の有無や償還期間等の借入方法に留意しながら、公債費負担の軽減に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率の類似団体比較では、道路、橋りょう・トンネル、学校施設が平均を下回っている一方、公営住宅、認定子ども園・幼稚園・保育所、公民館が平均を上回っている。特にも、公営住宅及び公民館は類似団体内順位が最下位と、老朽化が著しい。一人当たり面積等は、市域が広範であることから道路延長は類似団体平均を上回っている。乳幼児数の減少に伴い、認定子ども園・幼稚園・保育所についても一人当たり面積が類似団体平均を上回っている。道路等については、令和4年3月に策定した「第2期奥州市道路整備計画」に基づき、道路、橋りょうの安全性の確保と長期的なコストの縮減を図っていく。学校施設、図書館、博物館については、「個別施設計画」に、公営住宅は「市営住宅長寿命化計画」基づき長寿命化対策に取り組むとともに、学校施設に関しては、少子化の現状を踏まえ、長寿命化に加え、教育・保育施設再編整備計画に基づく施設の統廃合にも併せて取り組んでいく(令和4年度末閉校施設数6。令和5年度末閉校予定施設9)。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却比率の類似団体との比較では、市民会館、保健センター、消防施設、庁舎が類似団体平均に比し高くなっている。その他の施設はほぼ同水準となっているが、いずれも50%を超えており老朽化が進行している状況となっている。一人当たり面積は、合併以前の旧市町村単位で整備した多くの施設を維持していることから、消防施設を除き類似団体平均を上回り、類似団体内順位は上位に位置している。いずれの施設においても経年により有形固定資産減価償却比率が上昇しており、随時改訂を行っている「個別施設計画」に基づき各施設ごとの長寿命化に取り組んでいく必要があるが、適正数となるよう施設の統廃合も併せて取り組んでいく。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から7,336百万円の減少(-2.2%)となった。資産減少の主な要因は、各資産の減価償却が進み減価償却累計額が増加したためで、行政コスト計算書の減価償却費が11,610百万円、資金収支計算書の投資活動支出/公共施設等整備費支出が3,304百万円と、公共施設の設備投資よりも減価償却が上回っていることからも、減価償却が進行していることがわかる。中でも、インフラ資産と事業用資産の減価償却費(インフラ資産は工作物が8,344百万円の減、事業用資産は建物が1,703百万円の減)の変動が大きくなっている。また、負債総額は、前年度末から2,569百万円の減少(-4.2%)となった。金額の大きいものは固定負債で、地方債の借入額を抑制したため、地方債償還額が発行額を上回り(資金収支計算書の財務活動支出/地方債等償還支出が6,708百万円、財務活動収入/地方債等発行収入が3,776百万円)2,501百万円減少した。水道事業会計、病院事業会計等を加えた全体では、資産総額が前年度末から6,397百万円減少(-1.5%)し、負債総額も2,502百万円減少(-1.8%)した。資産総額は、上下水道管等のインフラ資産を計上していること等により一般会計等に比べて101,329百万円多くなるが、負債総額も地方債(固定負債)を充当したこと等から76,927百万円多くなっている。岩手県後期高齢者医療広域連合や岩手県競馬組合等を加えた連結では、資産総額が前年度末から5,856百万円減少(-1.3%)し、負債総額も2,404百万円減少(1.5%)した。資産総額は、競馬事業に係る資産を計上していること等から一般会計等に比べて129,252百万円多くなるが、負債総額も岩手県競馬組合の構成団体融資返還金があること等から96,370百万円多くなっている

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は61,123百万円となり、前年度比944百万円の増加(+1.6%)となった。そのうち、人件費等の業務費用は33,318百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は27,804百万円であり、業務費用の方が移転費用より多い。最も金額が大きいのは補助金等(15,585百万円、前年度比+5.0%)、次いで減価償却費(11,610百万円、前年度比+0.9%)、物件費(11,481百万円、前年度比-1.8%)であり、純行政コスト(59,524百万円)の65.0%を占めている。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上していること等により経常収益が6,211百万円多くなっている一方、国民健康保険及び介護保険特別会計等の負担金を補助金等に計上していること等から、移転費用が17,571百万円多くなり、純行政コストは21,492百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、競馬組合の事業収益等を計上していること等から経常収益が24,617百万円多くなっている一方、後期高齢者医療広域連合で社会保障給付支出があったこと等から移転費用が32,441百万円多くなり、純行政コストは38,567百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(54,766百万円)が純行政コストを下回ったため本年度差額は▲4,758百万円となり、純資産残高は4,767百万円の減少となった。財源が微増(541百万円)したものの、純行政コストの増加(1,578百万円)がそれを上回ったことにより、純資産残高は減少した。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれること等から、一般会計等と比べて税収等が8,555百万円多くなったが、本年度差額は4,618百万円となり、純資産残高は3,896百万円の減少となった。連結では、岩手県後期高齢者医療広域連合への国県補助金等が財源に含まれること等から、一般会計等と比べて財源が38,490百万円多くなっており、本年度差額は4,835百万円となり、純資産残高は3,454百万円の減少となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は5,102百万円であったが、投資活動収支については、基金積立金支出の増加等により3,975百万円であった。財務活動収支については、地方債償還支出が地方債発行収入を上回ったことから▲2,932百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から1,805百万円減少し、498百万円となった。今後とも行財政改革を推進する必要がある。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれることや、水道料金や医業収益等の使用料及び手数料収入があること等から、業務活動収支は、一般会計等より2,913百万円多い8,016百万円となっている。投資活動収支は公共施設等整備費支出の増加等により▲5,760百万円となった。財務活動収支は、地方債償還支出が地方債発行収入を上回ったことから▲3,367百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から1,111百万円減少し、7,659百万円となった。連結では、岩手県後期高齢者医療広域連合への国県補助金等が税収等収入に含まれること等から、業務活動収支は一般会計より3,935百万円多い9,037百万円となっている。投資活動収支は、公共施設等整備費支出の増加等により▲6,369百万円となっている。財務活動収支は▲4,239百万円であり、本年度資金収支額は1,571百万円。比例連結割合変更に伴う差額721百万円を加味した本年度末資金残高は、10,712百万円となった。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

①住民一人当たり資産額と②歳入額対資産比率は、合併による面積増に伴う道路の総延長が非合併団体よりも長く、類似団体平均値を上回っている。③有形固定資産減価償却率は、合併特例債等を活用して資産の更新を行ってきたこと等の要因で類似団体平均値を若干下回っているが、インフラ資産(主に道路)の老朽化により、前年度から1.7%増加している。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、公共施設総合管理計画の個別施設計画に基づき、公共施設等の統廃合を進める等、施設保有量の適正化に取り組むむ。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

④純資産比率は、類似団体平均値を上回っている。比率自体は、各資産の減価償却が進んだこと等により資産合計が昨年度より2.2%減少したことから、純資産も昨年度から1.8%減少した。いずれも減少となったものの、資産合計の減少率が大きかったことから、純資産比率は0.3%増加した。⑤将来世代負担率(社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す)は、類似団体を下回ったものの、昨年度と比べて0.1%増加した。新規に発行する地方債の抑制を行ったことにより地方債残高が減少したものの、保有資産の減少がこれを上回ったもの。今後も地方債残高を圧縮し、将来世代の負担の減少に努めるとともに、公共施設等の統廃合を進める等により、施設保有量の適正化に取り組む。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

⑥住民一人当たり行政コストは、昨年度と比べて2.3万円増加し、類似団体平均値を上回っている。これは、純行政コストの65.3%を占める補助金等、物件費及び減価償却費が、類似団体と比べて住民一人当たり行政コストを高く押し上げている要因となっていると考えられる。今後も補助金の見直しや、施設統廃合等の行財政改革を推進し、経費の縮減に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

⑦住民一人当たり負債額は、地方債借入額を抑制し、償還を進めていることから、昨年度に比べ1.4万円減少し、類似団体平均値を下回っている。来年度以降も引き続き事業を精査すること等により、借入額を抑制し、地方債残高の縮小に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

⑨受益者負担比率は、昨年度から1.2%減少し、類似団体平均値を下回った。これは、財産収入が昨年度に比べ463百万円減少した影響などにより、経常収益が690百万円減少し、経常費用は945百万円増加したことによる。今後も行財政改革により改善に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,