経営の健全性・効率性について
①経常収支比率③流動比率H30の経常収支比率は、有収水量の減少により事業収益が減少するとともに、事業費用が増加したことから、前年度を3.34ポイント下回る数値となった。流動比率は100%以上で一時借入金もなく安全ではあるが、類似団体との比較では平均を下回っている。②累積欠損金比率、⑤料金回収率調査期間の5年間において欠損金は生じておらず、給水に係る費用を料金で賄えている。④企業債残高対給水収益比率企業債残高は減少したものの、給水収益の減少により比率が上昇した。類似団体平均値を上回っており、給水収益の約5倍となっている。⑥給水原価有収水量が減少するとともに、事業費用が増加したことから、前年度から5.26円増加した。類似団体平均値を上回っており、これは本市の地理的特性により施設数が多く、資本費及び維持管理に係る経費が高くなっているためである。⑦施設利用率H27に2つの浄水場を統合した新浄水場での運用を開始したことで、類似団体平均値を上回っている。H30は配水量の減少により利用率が減少している。⑧有収率漏水調査や老朽管の更新等の有収率向上のための取組みにより、H30はH29と比べ1.55ポイント上昇した。しかしながら依然として類似団体平均値を下回っており、今後とも有収率向上に努めていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率H26には新浄水場の完成に伴い類似団体平均値を下回ったものの、年々資産の老朽化が進んでおり、H28以降は類似団体平均値を上回っている。②管路経年化率H30はH29同様に類似団体平均値を下回っているものの年々上昇している。老朽管を積極的に解消することで、率の増加については類似団体平均値より低く抑えることができた。③管路更新率H30は小口径の更新が多かったことからH29より更新率が増加し、類似団体平均値を上回った。
全体総括
料金による収入が確保でき、経営の健全性は保たれているものの、人口減少により給水収益が減少傾向にある。また近年、浄水場や基幹配水本管の更新を行っていることから、財政的弾力性が逓減傾向にある。老朽化の状況においては、管路経年化率は類似団体平均を下回っているものの、年々増加している状況であり、機能維持のための適切な更新を行っていく必要がある。さらに、地理的特性により施設数も多いことから、今後アセットマネジメントシステムの運用の中で可能な限り施設の統廃合や長寿命化等によるライフサイクルコストの低減など投資規模の最適化について検討し、「水の安定供給」と「健全経営の持続」を両立させるための方策の検討を進めていかなければならない。