経営の健全性・効率性について
①経常収支比率③流動比率H29の経常収支比率は、類似団体平均値を若干上回った。前年度と比較し、事業収益が増加するとともに、事業費用が減少したことから、経常収支比率は1.64ポイント上昇している。流動比率は100%以上で一時借入金もなく安全ではあるが、類似団体との比較では平均を下回っている。②累積欠損金比率、⑤料金回収率調査期間の5年間において欠損金は生じておらず、給水に係る費用を料金で賄えている。④企業債残高対給水収益比率企業債残高は減少しているものの、類似団体平均値を上回っており、給水収益の約5倍となっている。⑥給水原価類似団体平均値を上回っており、これは本市の地理的特性により整備した施設数が多く、資本費及び維持管理に係る経費が高くなっているためである。なお、新浄水場の運用開始に伴う減価償却費の発生などにより、H27からH29まで同水準となっている。⑦施設利用率H27に2つの浄水場を統合した新浄水場での運用を開始したことで、類似団体平均値を上回っている。H29は直近2年と同水準の利用率となっている。⑧有収率類似団体平均値を下回っており、H29はH28と比べ約0.5ポイント低下した。遠方監視装置の活用、高水圧地域における適正水圧のための減圧弁設置及び配水ブロック化などの漏水防止対策を講じ、有収率向上に努めている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率H26には新浄水場の完成に伴い類似団体平均値を下回ったものの、年々資産の老朽化が進んでおり、H28以降は類似団体平均値を上回っている。②管路経年化率H29はH28同様に類似団体平均値より下回っているものの年々増加している。老朽管を積極的に解消することで、率の増加については類似団体平均値より低く抑えることができた。③管路更新率H29は小口径の更新が多かったことからH28より更新率が増加し、類似団体平均値を上回った。
全体総括
H22に料金改定を行ったことで、料金による収入が確保でき、経営の健全性は保たれている。しかし、浄水場、基幹配水本管の更新を行っていることから、財政的弾力性が逓減傾向にある。また、老朽化の状況においては、管路経年化率は、H29は類似団体平均を下回っているものの、年々増加している状況であり、水道事業を持続可能なものとしていくために、機能維持のための適切な更新を行っていく必要がある。さらに、地理的特性により施設数も多いことから、今後アセットマネジメントシステムの運用の中で可能な限り施設の統廃合や長寿命化等によるライフサイクルコストの低減など投資規模の最適化について検討し、併せて健全な経営の持続を図るための方策の検討を進めていかなければならない。