経営の健全性・効率性について
◆経営の健全性について①経常収支比率は常に100%を超えて推移しており、③流動比率についても、類似団体平均値と比較しても良好な指標値を示し、資金運用に支障をきたす状態にはない。また、④企業債残高対給水収益比率については、類似団体平均値よりも低い水準で推移しているが、老朽化の状況の③管路更新率が類似団体平均値よりも高い水準で推移していることからすれば、必ずしも必要な更新を先送りしているために企業債残高が少額となっているわけではなく、経営の健全性が示せているといえる。◆経営の効率性について⑥給水原価は、類似団体平均値と比較すると一貫して高い水準にあるが、この要因としては、構成費目である受水費の高さが特に際立っている一方で、受水費以外の費目が低い水準にあることからすれば、当市の配水能力が配水量に比して相当な余裕があるものの受水を行わなければならない地域の特殊事情によるものと考えられる。しかし、⑦施設利用率及び⑧有収率いずれにおいても、類似団体平均値を大きく下回る水準となっているため、当市の経営における課題としては「効率性」であるといえ、持続的な経営を行うには、今後、水道施設のダウンサイジング・統廃合等の施策が必須である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率について、類似団体平均値よりも経年化した状況にはあるが、類似団体平均値との差は概ね縮小してきている。③管路更新率は、平成27年度では1.0%であり、単年度比較では類似団体平均値よりも高い水準となり、また、過去2年間と比較した場合にも上昇傾向にあることからすれば、必要な更新を先送りしている状況にはないといえる。管路更新に当たっては、布設する配水管の道路事情等により進捗の程度は大きく変動するため、複数年度での更新率で判断するのが適当であるが、この場合、当市の直近5年間での更新率としては1.02%、約98年ペースでの更新となる。近年布設している配水管の実耐用年数が80年であることからすれば、更に2km程度の更新延長を伸ばす必要がある。
全体総括
当市では、特に経営の効率性について課題が残るものの、経営の健全性は保たれていることから、現状として問題はないといえる。しかし、今後は、人口減少により本業である給水収益も減少していく上、浄水施設の大規模更新が控えていることからすれば、当市の利益獲得力・資金力は確実に低下していくことが想定される。現状では問題がないとしても、更新コストの更なる縮減や広域連携・官民連携の推進など、支出面の削減に努めていくことはもちろんのこと、将来的には、人口減少社会に対応した水道料金制度の最適化が必要になると考えられる。