経営の健全性・効率性について
人口減少による使用水量の減少により、⑦施設利用率が減少し、施設の効率性は低下している。また、使用水量の減少により、給水収益が減少しているが、⑥給水原価は上昇傾向にあり、①経常収支比率や⑤料金回収率は低下しており、経営の健全性や効率性は低下している。また、企業債残高が減少しているにも関わらず、④企業債残高対給水収益比率が横ばいであるのは、給水収益が減少していることによる。③流動比率は、投資額の抑制に伴い、未払金（流動負債）が減少したことにより、若干の改善が見られるが、まだまだ資金の余裕度は低い。今治市の状況は、人口減少による使用水量の減少が主な原因として、経営の健全性や効率性が低下している。特に経常収支比率の改善が喫緊の課題であるため、平成28年4月から料金改定を実施し、経営健全化に取り組んでいる。しかし、人口減少の流れは変わらず今後も続く見込みであり、今後も受益者への負担は増えていく傾向である。本市の地域的な状況として、水道料金が低廉な近隣市と隣接しており、人口や産業の流出傾向にある中で、地域間格差の観点から更なる料金値上げは実施困難な状況である。そのため、繰出金等を含め、都市間の料金格差是正や水道事業財源の確保・増収を、市全体の施策として取り組み、経常収支比率の改善を図る必要がある。
老朽化の状況について
本市においては、平成25年度にアセットマネジメント計画を策定し、将来の更新投資を検討したところである。老朽化については、まず施設老朽化への対応を優先実施しているところ（浄水場の更新）であり、管路老朽化への対応は資金的にも後手に回っているが、将来的には③管路更新率が1.6％（更新期間60年）以上となるよう管路更新を実施する必要がある。しかし、更新のための資金確保が不十分な現状においては、収益性を重視した更新投資を行わなければならず、収益性の低いエリアでの漏水リスクへの対応が課題となっている。水道ビジョンに基づく施設の統廃合（浄水場の更新）が完了後には老朽管路の更新に注力する予定である。
全体総括
今治市では、人口減少や人口密度の低下の中で収益効率が低下していることが喫緊の課題である。現在、施設を統廃合し集約化することにより、収益性を高めるための投資活動を「今治市水道ビジョン」に基づき実施しているところである。また、施設老朽化による管理コストの増加を抑制するためには、計画的な更新投資を拡充する必要があるが、資金を確保する必要がある。収益効率の向上や資金確保に対応するため、平成２８年４月から水道料金を改定し、受益者に負担増加をお願いしたところである。今後は経費を削減するための方策として、広域化や民営化を含め広く検討を進める必要がある。
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