経営の健全性・効率性について
経営の健全性を確認する指標として、収益的収支比率がある。佐那河内村の収益的収支比率は①表よりR2で43.83%、全国平均は79.33%である。この比率が100%であれば、給水収益で全ての費用を賄っていることとなるが、佐那河内村では給水収益以外の収入を約50%程度投入して経営を行っており、健全経営とはいえない。この原因は、④表の企業債残高対給水収益比率が高いことが一因にある。これは、施設建設時の債務残高が多いためであるが、対比率は毎年に緩やかに低減し改善されている。経営の効率性については、⑦表の施設利用率が全国平均より高位にあり良好に見えるが、これは管路施設における漏水量が多い場合に起こる現象で、決して良好な状態ではない。現に⑧表の有収率は全国平均よりも23%低く、⑤表の料金回収率はR2では全国平均より20%低い値となっている。料金回収率は、給水原価に対する供給単価の割合で、この回収率が高いほど料金の収益性が良いとされている。よって、この指標からも給水収益以外の収入を投入して経営を行っていることが推測され、健全経営とはいえない。佐那河内村の簡易水道経営は、現時点においても健全性・効率性において全国平均より劣っており、近い将来的には人口減少による料金収入の減少も見込まれることから、今後は漏水対策に対応できる適正な維持管理体制の構築と、料金体系等の見直しについても検討する必要性がある。
老朽化の状況について
佐那河内村簡易水道施設は、浄水場施設が3箇所、配水池施設は16箇所、導水管路・送水管路・配水管路延長は約60,000mとなっている。平成元年に竣工した府能地区が1番古く浄水・配水施設で築27年となるが、その他の施設は平成6年~平成13年に施設更新され健全な状態で稼働している。しかし管路施設については、村内のほととんどが地滑り地帯にあること、また耐震管路となっていないことから毎年村内の各地で漏水事故が起こっている。漏水事故は、無効水量を増し有収率を下げ、料金回収率を下げ、収益的収支比率を押し下げる原因となっている。漏水事故を減少させるためには、管路施設の耐震化が考えられるが莫大な費用が必要となる。事業推進するためには企業債を借りる必要があり、却って健全経営の妨げとなる懸念があることから、耐震化の事業推進は充分な検討が必要である。
全体総括
佐那河内村の簡易水道経営は、現時点においても健全性・効率性において全国平均より劣っているが、改善すべきは管路施設の漏水による無効水量である。しかしながら、漏水事故を減少させるための漏水対策事業を推進するためには莫大な費用が必要となる。また企業債を借りる必要があり、却って健全経営の妨げとなる懸念もあることから、耐震化の事業推進は充分な検討が必要となる。また、近い将来的には人口減少による料金収入の減少も見込まれることから、今後は料金体系等の見直しについても検討する必要性がある。