経営の健全性・効率性について
経常収支比率・料金回収率については、平成22年度は100%を下回っていた。類似団体との比較も平成22年度までは低い状態であったが、平成23年度に料金を適正な水準に引き上げたことで、平成23年度より100%を超え、類似団体より高い状態となった。このことから、現在は良好な財政状態にある。流動比率は、類似団体と比較して下回っているが、100%を超えているため、短期的な債務に対する支払能力は確保されている。給水原価は、類似団体と比較して高い状態にある。本市は、山坂が多く平地が少ないため、配水池やポンプ場等の施設が多いこと、河川表流水を原水とする浄水処理を主としているため、地下水や浄水処理された水を受水している事業体に比べると浄水に要する費用も割高であることなどが原因として考えられる。施設利用率は、類似団体と比較して高い。これは、一部浄水施設の統廃合により効率性を高めた結果によるものと推測される。有収率は、類似団体と比較して低く、年々低下傾向にある。この結果については、漏水対策が不十分であることが原因であると考えられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して高く、上昇傾向にある。このため、本市では、保有資産が法定耐用年数が近づいているものや超えたものが出ており、将来の施設更新等が必要であることが推測される。管路経年化率は、類似事業体と比較して高く、上昇傾向にある。これは管路経年化に対して管路更新が追い付いていないことを示している。管路更新率は、平成22年度以降ほぼ横ばいであり、類似団体と比較して低い状況である。
全体総括
本市水道事業は、平成23年度の料金改定により現在、良好な財政状態にある。しかし、給水人口は年々減少しており、今後も減少することが見込まれている。給水収益もこれに併せ減少することが確実である。一方で、老朽施設の更新や耐震化など多くの更新投資を必要とする事業を抱えている。給水収益が減少する中、これらの事業を確実に実施しなければならないため、給水量を考慮した施設規模の見直しや補修等による延命化を図ることで事業費の抑制を行ったり、アセットマネジメント手法を活用した事業費の平準化を行うことで、可能な範囲で需要者の負担を軽減するよう努めなければならない。また、必要に応じて財源確保のため、料金の見直しを検討する必要もある。