経営の健全性・効率性について
中期経営計画(H17~21年度)及び経営健全化計画(H19~23年度)に基づいて、水道料金改定(H21年4月:改定率13.8%)や高利率の企業債の借換え・繰上償還(H19年度~)、料金滞納整理業務委託(H23年10月~)、職員定員管理の適正化等を着実に実施した結果、経常収支比率や流動比率等の経営の健全性を示す指標は改善し、以降着実に利益を確保し建設改良積立を実施するなど、類団比較においても遜色ない数値を示している。企業債残高対給水収益比率は、類団比較において大きく下回っており、今後更新投資を進めていく必要がある。地形(地理)的に自己水源の確保がままならない状況にあって、配水量の内約9割を県用水受水に依存しており、受水費が総費用の約5割を占めることなどからコストが割高となり、費用の効率性を示す給水原価において類団比較で劣っている。また、配水量の効率性を示す有収率は、類団比較において髙くなっているものの、漏水や地理的特性から管路延長が長い割に周辺部での使用水量が低いことによる管末ドレーン等により約8.5%が無収水量になっており、引き続き管路更新・漏水調査等の対策を強化する必要がある。人口は、微増傾向にあるものの、将来的には減少に転じる見込みであることから給水収益の減少も視野に入れる必要がある。
老朽化の状況について
昭和57年の広島水道用水受水開始に伴って急速に拡張整備した水道施設の耐用年数が未だ到来していないことから、類団比較において管路経年化率が低くなっているが、資産の老朽化度合いを示す有形固定資産減価償却率でみると類団と同程度の率を示している。これは、ここ数年で(R4年度~)法定耐用年数を超過する経年管延長が急増することを示している。管路の更新投資の実施状況を示す管路更新率が低位のままだと全ての管路を更新するのに相当の年数を必要とすることから、計画的な管路更新事業の着実な実施が必須である。また、施設についても施設の長寿命化を図りつつ計画的な更新事業の実施が必須である。
全体総括
水道普及率(H29:85.2%)が全国平均(H29:97.7%)に比べて低く、給水要望に応える形での未普及地域の解消に努める拡張事業を実施している一方で、急増する経年管等老朽施設の更新及び耐震化は緒についたばかりで、管路更新計画等に基づいて、更新事業を着実に実施して行かなければならない。そのために体制整備を図る必要がある。こうした投資に要する経費を着実かつ不断に賄うため、水道事業経営基盤の健全性及び効率性の向上は必須で、上記1に示すような計画に基づいて収入の増加・支出の抑制を図ってきたところであるが、引き続き今回の分析結果等を踏まえ、「経営戦略」及び「水道ビジョン」に基づいて、更なる経営基盤の強化に努めなければならない。広域化の推進については、県と市町で協議会を設置し、協議を行っている。引き続き広域連携の具体化に向けて検討していく。