経営の健全性・効率性について
ここで示す①②③⑤の経営指標は、会計制度の大幅な見直しにより、平成26年度から大きく変動している。経常収支比率が100%を超えて110ポイント前後で推移していること、また類似団体を毎年上回っていることをみると、ある程度健全経営が保たれているといえる。累積欠損金はなく、短期的債務に対する支払い能力を示す流動比率は200%程度であり問題ないように見受けられるが、今後給水収益が減少するなか推移を注視しなければならない。給水収益に対する企業債残高を示す数値は類似団体より高く、比較して投資的支出を企業債に頼っているといえる。料金回収率は110%程度で推移しており、現状は給水に係る費用を給水収益で賄えているといえる。給水原価が類似団体より低く保たれているが、これは高額な受水費が発生しないこと、あるいは費用のかかる高度浄水施設などを保有していないことも一つの要因にあげられる。施設の利用状況は類似団体より稼働しているように見えるが、年々マイナス傾向にある。これは人口減少による配水量の低下と思われるが、更に検証をし、適切な施設規模の把握が必要と考える。有収率は類似団体を常に上回ってはいるが、更に漏水調査の実施や老朽管更新等により100%に近づける努力をしなければならない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率から判断する施設全体の減価償却の状況は、類似団体と比較して、平均的な水準ではあるが、年々老朽化が進み、施設の更新の必要性が高くなってきている。管路経年化率は7%を下回り、類似団体との比較では、老朽化はさほど進んではいないように見受けられるが、管路更新率0.68程度であることをみると、今後更に管路の経年化が進んでいくことが予想されるので、財政状況を踏まえた適正な更新計画の作成をするともに、更新率を上げていかなければならない。
全体総括
類似団体との比較においては、経営指標全体において、良好な結果となった。ただし、給水人口の減少などによる給水収益の減には歯止めはきかないのが現状であり、新配水池建設などの投資的経費の増加により発生する減価償却費、企業債償還利息の増加などが要因となり、健全な経営の継続に不安が残ることは否めない。今後、有形固定資産減価償却率、管路経年化率が上昇することが見込まれる中、災害対策などを視野に入れた場合、更新等の財源の確保は必要不可欠である。現在構築中であるアセットマネジメントを更に精査し、ダウンサイジングなども視野に入れた適切な老朽施設の更新計画、適切な企業債残高の設定、適切な料金収入の確保など多方面からの検討が必要である。