経営の健全性・効率性について
・経常収支比率及び料金回収率は、平成23年の水道料金改定によっていくらかの改善はあるものの、100%を割り込んで推移している。浄水施設整備や水道施設の耐震化整備などの投資による減価償却費や企業債の利息負担が収益を圧迫するとともに、大口需要者の水需要の減少などにより、水道料金収入が想定以上に減少していることが主な要因である。・企業債残高対給水収益比率は、近年の積極的な投資により全国平均及び類似団体平均を大きく上回っていることから、必要な投資資金を水道料金の改定により確保し、企業債の圧縮を図ることが必要である。・資金面では年度末資金残高を給水収益の6か月分確保している。なお、流動比率は100%を超えており、短期債務に対する支払能力に問題はない。・施設利用率及び給水原価は類似団体平均と同水準と考えられる。施設利用率は年々低下傾向にあったが、平成27年度は下げ止まり傾向となっている。また、有収率は類似団体よりも若干高く推移しており、老朽管更新や鉛製給水管更新、漏水調査などの施策によるものと考えている。
老朽化の状況について
・有形固定資産減価償却比率は全国平均及び類似団体平均より低い。しかし、個別資産でみると、電気設備及びポンプ設備については、ほかの資産と比べて償却が進んでいるため、今後、修繕費・更新費が増えていくものと想定している。・管路経年化率は全国平均及び類似団体平均より低いが、平成37年度末の管路経年化率は36.6%(法定耐用年数で管路を更新しない場合)に達すると想定している。本市では、独自の更新基準年数を設定して、管路の長寿命化を図るとともに、年度ごとの更新費用を平準化して、計画的な管路更新を実施することとしている。・管路更新率は、現在は全国平均及び類似団体平均よりも低い水準にあるが、今後の管路更新計画に伴い高くなる見込みである。
全体総括
・水道料金収入は、大口使用者の水需要の減少傾向の下げ止まりは見られるものの、人口減少や節水器具の普及などによる水需要の減少は続いていくものと想定している。この状況の中、高度経済成長期に整備した施設が今後、大量に更新時期を迎えることや施設の耐震化などに対応するための財源の確保が必要である。そのため本市では、水需要の影響を受けにくい料金体系や適正な料金水準について検討している。・施設の更新にあたっては、施設の統廃合やダウンサイジングなど施設規模の最適化について検討し、効率的な投資を行うことが必要である。