経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、④企業債残高対給水収益比率が示すとおり企業債残高は少なく、平成26年度の③流動比率は802.33%で、理想比率の200%を超えているため十分な現金等の資産があるという安定した経営状況です。平成26年度に会計制度の見直しが行われ、企業債を資本から負債へ移行したことにより流動比率が前年度より低下しています。また、補助金等により取得した固定資産については、減価償却見合い分を収益化するため、一般的には経常収支比率や料金回収率は前年度よりも良くなる傾向にありますが、川西市は給水人口の減、節水意識や器具の普及による有収水量の減などで給水収益が落ち込んでいいることや、約半分以上を県営水道から受水しているため、平成26年度の⑥給水原価199.45円/㎥は、類似団体の平均値に比べて44.36円/㎥高い状況で、⑤料金回収率は96.26%で料金のみで必要な経費を回収できていない現状ですが、主に給水装置の新設及び増径工事などで工事申込者から徴収する分担金で賄われて黒字となっています。給水収益以外の収入に依存しているため、平成17年度に料金改定を実施し経営改善を図ったことにより、それ以降の①経常収支比率は100%を超えており、経常利益が続いている状況となっています。経営の効率性については、主に老朽化した鉛管改良工事や継続して漏水調査を行っているため、平成26年度の⑧有収率は95.29%と、類似団体の平均値よりも高く、効率よく事業運営を行っていますが、⑦施設利用率は年々減少傾向にあり、給水収益も減少傾向にある中では過大な施設となっていることが今後の検討課題となっています。
老朽化の状況について
水道管の法定耐用年数は全ての管種において40年とされていることから、本市水道事業では高度成長期の昭和47年から50年、また、40年前半より大規模団地造成等により、今後、多くの水道管が40年を迎えるようになります。厚生労働省等の研究で布設条件等の実態調査により、実使用年数について提案されました。そこで、本市では約80%がダクタイル鋳鉄管で、その実使用年数は60年から80年の耐用が可能となり、また阪神大震災における施設被害の状況等を考慮すれば、いまだ十分な耐用力があり、安全であると判断しています。しかし、今後管路更新事業が本格化していく中、アセットマネジメント手法を導入し、中長期的な視点に立った管路更新計画の策定を行います。また、配水池等施設については、耐震診断を行い順次耐震改修、並びに水需要を見据えダウンサイジングを含めた築造工事を計画していきます。
全体総括
今後も内部留保等の資金を活用して、老朽化した施設の更新や耐震化等の事業を行い、少しでも長く今の料金体系を維持していきたいと考えています。経営戦略等の策定時には、企業債の活用、適正な時期の料金の見直し、施設のダウンサイジング、更なる経費の削減など効率的・効果的に事業継続ができるように検討していきます。