経営の健全性・効率性について
平成30年度の経常収支比率は、前年度より3.48ポイント減少し、過去5年間で初めて100%を下回りました。平成30年4月から阪神水道企業団からの全量受水を開始しましたが、安定供給を確保するために、平成30年3月末で閉鎖予定だった浄水場を3カ月間延長して運転したことにより、浄水場の運転経費と受水費の両方が発生して費用が多額となったためです。この影響は、料金回収率や給水原価にも表れており、料金回収率は前年度と比べて4.63ポイント減少し、給水原価は9.2円増加しています。平成30年6月末で浄水場は運転を停止していますが、完全に撤去するには複数年を要するため、今後数年間は、浄水場閉鎖の経費と受水費の両方が発生し、経常収支比率の低い状況が続くと見込まれます。また、阪神水道企業団からの受水に係る管路整備及び浄水場の機能強化に多額の企業債を借り入れたため、企業債残高対給水収益比率が前年度と比べて13.68ポイント上昇しています。類似団体平均値と比べると74.15ポイント高く、類似団体平均との差は前年度よりも更に広がっています。今後も毎年度約10キロメートルの管路更新を行う必要があり、財源を企業債に頼れば更に企業債残高対給水収益比率が悪化するため、企業債残高や借入利率を勘案して、将来を見据えた適正な借入額とする必要があります。
老朽化の状況について
管路経年化率が類似団体平均値と比べて9.18ポイント高い27.69%となっている一方、管路更新率が類似団体平均値と比べて0.53ポイント低い0.17%となっており、類似団体と比べて、管路の経年化が進んでいるにもかかわらず更新が進んでいない状況です。平成30年度は阪神水道企業団からの受水に係る工事を優先させたため管路更新率は低い数値となりましたが、令和元年度以降は、毎年度約10キロメートルを目標に管路更新を進めます。
全体総括
平成30年度は、阪神水道企業団からの全量受水を開始した年度であり、経常収支比率や料金回収率、給水原価、企業債残高対給水収益比率といった各指標が前年度と比べて悪化する結果となりました。今後は、更なる費用削減を実現する等して、各指標の数値の改善に努めます。また、管路更新については、「宝塚市水道ビジョン2025」や「宝塚市水道事業経営戦略」で目標とした毎年度約10キロメートルの更新に努めます。