経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、単年度の収支が黒字であることを示す100%を上回っているので、経営状況は健全な水準にあるといえますが、類似団体平均値と比較して少し低い値となっています。流動比率は、必要とされる100%を上回っているが、類似団体平均値と比較して大きく下回っており、支払能力を高めるために経営改善を図る必要があります。企業債残高対給水収益比率は、平成22年から、ほぼ横ばいであるが、類似団体平均値と比較すると高い水準にあることから、健全経営の維持による財源確保を図り、企業債の発行を抑制し、企業債残高を減少させる必要があります。料金回収率は、平成26年に100%を上回りましたが、類似団体平均値よりは低い水準にあり、料金収入だけではなく、口径別納付金などの料金収入以外の収入で賄われている状況にあります。給水原価は、経営の効率化に向けた取り組みを継続的に実施してきたこともあり、類似団体平均値と比較して低い水準にあります。施設利用率は、類似団体平均値との比較では高い水準にありますが、水需要の低迷により減少傾向にありますので、将来の水需要の動向を見据えた施設規模の最適化の検討が今後において必要と考えています。有収率は、類似団体平均値と比べ高い水準にありますが、老朽管の更新改良工事を継続的かつ計画的に実施することにより、現在の水準の維持に努めていきます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、平成22年から平成26年までの5年間で38.93%から45.45%と増加しており、類似団体と同様に法定耐用年数を経過した水道施設の割合が増加傾向にあることから、水道施設の更新の必要性が高まっています。管路経年化率は、平成22年から平成26年までの5年間で7.17%から16.70%と大きく増加しており、管路の老朽化が進んでいますが、管路更新率は横ばいで推移しています。更なる経営改善により更新財源を確保し、中長期を見据えた投資・財政計画に基づく計画的な施設更新を行っていく必要があると考えています。
全体総括
当市の給水人口は、近年微増傾向で推移していますが、給水量については、節水機器の普及や大口需要者の効率的な水使用の徹底などにより減少傾向にあり、今後も給水量は緩やかに減少することが予想されています。また、管路の経年化率が増加し、耐用年数を超えた管路が増加していることから管路の更新率を高めながら、耐震化を推進する必要があります。料金収入以外の収入に頼らないよう料金回収率を高め、企業債の発行を抑制し、企業債残高対給水収益比率を減少させながら、将来にわたっての安全で安心な水道水の安定供給に向け、施設の耐震化、改良工事を実施していくためには、料金の最適化の検討も含めた経営戦略を策定し、中長期的な視点で計画的に事業を実施する必要があります。