亀山市：市立医療センター

地域において担っている役割

当院は、来院者のほとんどが本市及び近隣市町の住民であり、24時間365日の受入体制を維持し、急性期機能を確保する本市唯一の救急病院である。また、本市の地域包括ケアシステムの中核を担う病院として、「かめやまホームケアネット」の後方支援機能の役割を果たすなど、在宅復帰の支援や地域医療を提供する体制が整備された医療機関となっている。

経営の健全性・効率性について

①経常収支比率は、新型コロナウィルス感染症蔓延による影響を受けて、入院収益、外来収益共に減少したものの、感染症対応の業務委託料や国・県補助金によるその他医業、医業外収益が増加したことから、純損益0となり、平均値は下回るが、前年度決算値より5ポイント高い比率となった。②医業収支比率は、入院収益、外来収益共に減少したが、感染症対応の業務委託料等のその他医業収益が増加したことから、費用において材料費等が増加したものの、前年度決算値より0.4ポイント高い比率となった。③医業収益、医業外収益が増加したことにより、累積欠損金比率は前年度決算値より1.4ポイント低い比率となったが、依然として累積欠損金比率は高い状況である。④新型コロナウィルス感染症蔓延の影響を受けて、平均値より0.2ポイント上回るものの、前年度決算値より7.9ポイント低い比率となった。⑤、⑥入院患者及び外来患者の１人１日当たりの収益は、前年度を上回り、平均値を上回る結果となったが、前年度決算値と比較すると入院、外来共に減益となっているため、今後も安定した収益が確保できるような改善が必要である。⑦職員給与費対医業収益比率は、会計年度任用職員の増により前年度より1.7ポイント上回る結果となったため、引き続き診療収入等の向上を図り、収益改善に努める必要がある。⑧材料費対医業収益比率は、平均値を0.7ポイント下回る比率であるが、整形外科の手術増に伴う診療材料費の増加により、前年度決算値より0.5ポイント高い比率となった。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率は、前年度決算値及び平均値より高い数値を示しており、施設設備、器械備品等の老朽化が進んでいることから、今後計画的にこれらの更新を行う必要がある。②器械備品減価償却率は、大型医療機器の更新に伴い前年度決算値より4.6ポイント下回ったが、依然として平均値よりも高い数値を示しており、また有形固定資産の中でも当該償却率が高いことから、より一層計画的に更新を図っていく必要がある。③１床当たりの有形固定資産は、前年度決算値を上回り、平均値より高い数値を示しているため、将来的に減価償却費又は資産減耗費の増加にもつながることから、投資が過大にならないように改善を図る必要がある。

全体総括

当年度決算は、経常収支比率は100％を上回ったが、医業収支比率は100％未満であり、また累積欠損金比率も高いことから、経営状況は依然厳しい状態であるといえる。平成２８年度に経営形態の見直しを行い、地方公営企業法の規定を全部適用して以降、地域包括ケア病床を増床し、病床利用の見直しを行うなど、平成２９年度からの医療センターアクションプラン（新公立病院改革プラン）に基づいた経営改革の成果は、着実に表れてきているところである。また、新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い、感染症拡大における公立病院としての役割の重要性を認識し、今後も更なる収支改善を目指し、経営の健全化に努めてまいりたい。