経営の健全性・効率性について
最初に、昨年比で激変した指標⑤を説明します。減少原因は「新型コロナウイルス対策関連水道使用料調定減額」による給水収益の減少(△316,126,100円)ですが、この額は全て一般会計から「営業外収益」として補填済です。仮にこの補填額を全て給水収益とすれば指標⑤は「109.42%」とほぼ例年通りの値となります。以上を踏まえると、指標①②③⑤⑧は全国平均及び類似団体平均よりも望ましい値となりました。指標⑥については、当市は全国平均および類似団体平均を下回っています。次に指標⑤については、109.42%とすれば当市は全国平均および類似団体平均を上回っています。この2点から、当市は給水に要する費用が他団体より少なく、かつその費用回収ができていると判断できます。加えて、企業債残高も減少していることから、指標④においても健全な状態にあると判断できます。指標⑦について、指標⑧と組み合わせて施設の収益性の観点から説明します。指標⑦は一般的には高い数値であることが望まれます。当市は全国平均および類似団体平均を上回っています。指標⑧も当市は全国平均および類似団体平均を上回っています。この2点が共に高水準であることは、施設稼動が収益に繋がっていることを示しており、施設の収益性は高いと判断できます。
老朽化の状況について
指標①②は全国平均および類似団体平均を共に上回る状態が続いています。このことから、全体的には老朽化が進んでいると判断されます。指標③については、全国平均および類似団体平均を共に下回りました。管路布設・更新工事の件数や管路延長距離が減少傾向にありますが、これは大口径基幹管路の耐震化や施工困難個所の更新が集中しつつあり距離数としての管路更新がなかなか進まないことによります。このため指標③のような布設距離数を基とする指標は悪化するものの、将来へ向けた施設投資は着実に実施しております。
全体総括
「経営の健全性・効率性」の指標については、現時点で早急な改善を要するものはありません。対して「老朽化の状況」の指標は、老朽化が進行していることを示しています。現時点での③管路更新率0.59%という値は全管路の更新に約170年を要することを示しており、楽観視はできません。以上を踏まえると、当市の水道事業は現時点では良好な経営状況を示してはいるものの、将来展望としては施設更新時期の到来による投資額の増加や、人口減少などによる水需要そのものの減少など、経営環境は悪化していくことが予想されます。今後、令和元年度に策定した経営戦略に基づき、施設の計画的な維持更新、財政基盤の強化、技術継承による組織力・お客さまサービスの向上に引き続き取り組むと共に、経営戦略の進捗管理を行いながら、策定から5年を目途に見直しを行っていきます。