経営の健全性・効率性について
①②③⑤⑧の平成30年度の各指標値においては、平成30年度全国平均値および類似団体平均値よりも望ましい値となりました。④⑤⑥の指標を組み合わせることで、料金水準という観点から④の指標値を分析することができます。まず⑥の給水原価については、小牧市の値は平成30年度全国平均値、および全ての期間の類似団体平均値を下回っています。平成30年度は、資産減耗費の減少に伴い経常費用が減少したことで、指標値は下降しました。⑤の料金回収率に関しては、小牧市の値は平成30年度全国平均値、および29年度と30年度の類似団体平均値を上回っています。平成30年度は、資産減耗費の減少に伴い経常費用が減少したことで、指標値は上昇しました。これらの点から小牧市においては他団体と比べて少ない費用で給水を実現しながらも、給水に係る費用を賄うことができています。加えて企業債残高についても減少していることから、料金水準という観点から分析した④の企業債残高対給水収益比率は健全な状態にあると判断できます。⑦と⑧の指標を組み合わせることで、施設の収益性という観点から⑦の指標値を分析することができます。⑦施設利用率は、施設の利用状況や適正規模を判断する指標で、一般的には高い数値であることが望まれます。小牧市の値は平成30年度全国平均値および全ての期間の類似団体平均値を上回っています。施設の利用状況は高い水準にありますが、施設の収益性を分析するためには、⑧有収率も組み合わせる必要があります。⑦施設利用率が高い水準の場合でも、⑧有収率が低い状態では施設の稼動が収益につながっていないと言えます。小牧市の場合には、⑧有収率は平成30年度全国平均値および類似団体平均値よりも望ましい値を示しています。これらの状況から、小牧市の施設の収益性は高いと判断できます。
老朽化の状況について
①②の平成30年度各指標値は、平成30年度全国平均値および類似団体平均値を上回る値となりました。また過去実績についても、類似団体平均値を上回る数値が続いています。③の管路更新率については、平成30年度全国平均値および類似団体平均値に満たない数値となりました。この要因については、配水管の管路更新工事数の減少と考えられます。②と③の指標を組み合わせることで、管路の更新投資の必要性を判断できます。②管路経年化率からは他団体より経年化が進行していることがわかります。③管路更新率からは、平成30年度においては他団体と比べて管路更新が進まなかったことがわかります。②③の数値がそれぞれ望ましくない方向へ変動した要因については、配水管の管路更新工事数の減少と考えられます。この状況が続くようであれば、管路の更新投資増強が必要です。また①の指標値から読み取れるように、管路以外の有形固定資産についても、更新等の必要性が高い施設を見極め、財源の確保をすすめていく必要があります。
全体総括
経営の健全性・効率性の指標については、早急に改善すべき数値は見当たりません。ただし今後は有収水量の減少など、厳しい経営状況となることが予想されます。健全で効率的な経営が続けられるように、現状の分析と各指標値の向上が求められます。老朽化の状況の指標については、他団体と比較して老朽化が進行しているという状況にあることがわかります。特に管路については、管路更新率が類似団体平均値を下回ったため注視していく必要があります。1.経営の健全性・効率性経常収支の①経常収支比率は良好な状態ですが、管路などの老朽化が進んでいます。今後管路および施設の更新にさらに力を入れる場合には、この指標値は下降する可能性が高まります。一方、必要な更新投資が先送りされていないかについても、注視する必要があります。今後は中長期にわたる施設の更新需要の見極めや、将来にわたる財政収支見通しに基づき、更なる経営の健全化、効率化を進める必要があります。また経営戦略は令和元年度に策定予定です。