経営の健全性・効率性について
①有収水量の減少に伴う下水道使用料の減や、事業費用の減少に伴う一般会計繰入金の減などにより経常収益が前年度から約5.6千万円減となった。対する経常費用は、企業債残高の減少に伴う支払利息の減などにより約5.0千万円減となったため、経常収支比率は前年度比0.96ポイント減となった。なお、黒字決算のため、②累積欠損比率も前年度と同様0%となった。③流動資産が当年度純利益による現金の増及び未収金の増などにより前年度から約1.1億円の増となったほか、流動負債の企業債償還元金の減などにより前年度から0.4千万円の減となったため、流動比率は前年度と比較して4.62ポイント改善した。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の減少に伴い、前年度から85.16ポイント改善した。企業債償還額は減少傾向となるものの、当面は償還額が借入額を上回る予定であり、今後も着実な改善が見込まれる。⑤経費回収率は、国の統計上、汚水処理費から150円/㎥を超える部分の費用を除いて算出されているため、当該指標における数値は前年度から0.02ポイント改善している。なお、実質的な経費回収率については、処理単価の増に伴う流域下水道管理運営費負担金の増及び有収水量の減少に伴う下水道使用料の減などから、前年度比0.9ポイント減の74.5%となった。この傾向は⑥汚水処理原価も同様で、当年度約150円/㎥は統計上の数値であり、数値に大きな変動はない。なお、今年度の実質的な汚水処理原価は、前年度比2.0円/㎥増の156.8円となった。⑧水洗化率は、接続人口の増加により前年度から1.89ポイント増加しており、着実に改善している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、前年度から3.05ポイント増加している。令和3年度は面整備による新設や布設替えによる更新を行い、償却資産の増があったものの、大規模な更新・改良工事は当面予定されていないため大きな変動はなく、次年度以降も毎年約3%程度の資産の減価償却が増加する見込みである。②管渠老朽化率は、前年度と同じく0%と、類似団体と比較して新しい管渠が多い状況である。③管渠改善率は、0.08%と前年度と比べて0.14ポイント減となっているものの、主な要因は下水道管延長の増加であり、管渠の更新はストックマネジメント計画によって平準化されている。
全体総括
依然として一般会計繰入金に依存した経営状況となっており、下水道使用料の適正化及び水洗化率の向上が大きな課題である。その中で使用料の適正化については、市民の急激な負担増を軽減するため2段階での改定を予定しており、令和5年4月から1段階目の改定を実施予定である。2段階目は令和8年度以降を予定しており、1段階目の改定結果を踏まえ、市民生活の変化や影響を考慮しつつ使用料体系を決定していく必要がある。施設の改築更新については、ストックマネジメント計画に基づき、更新時期の平準化やコスト削減に努めている。汚水処理事業については、共同化に向けた処理施設の建設を計画的に実施し、令和4年4月から汚泥処理施設の供用を開始している。※経営戦略については、令和2年度策定済、令和6年度見直し予定。