経営の健全性・効率性について
経営の健全性・効率性において、新型コロナ感染防止による「おうち時間の増加」や「企業の生産調整や営業時間の短縮など」により家庭用(水道口径13mm~25mm)の有収水量の増加分が家庭用以外(水道口径25mm以上)の減少分を上回り、給水収益が増加した。これにより「経常収支比率」「企業債残高対給水収益比率」「料金回収率」などの経営指標の向上が図られた。しかし、この状況がいつまで続くのか不透明であり、人口減少や節水型機器の普及等により、年々料金収入が減少していくと見込まれるため、引き続き業務の外部委託化や人件費の削減、電気・機械設備などの更新時にあわせてダウンサイジングを行うなど、経営の健全化・効率化に努める。また、「有収率」では、老朽管等からの漏水などによる無効水量が多く、有収率が伸びない原因となっている。令和2年度の状況でみると前年度よりも0.65ポイント改善されたものの、類似団体と比べ6.77ポイント・全国平均と比べ6.50ポイント下回っていることから、今後も漏水調査を行い有収水量の向上を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
管路の多くは、1960年代から高度経済成長期に拡張事業として布設された管路であり、今後、2040年代をピークに老朽管が増加する傾向にある。平成30年度以前の管路更新率0.7%で単純計算すると全ての管路を更新するには約140年の期間が必要で、多くが老朽管となってしまう。このため、更新速度を上げ効率的かつ効果的に管路更新を進める管路更新計画を作成し、平成30年度に料金改定を行い、更新に取り組んでいる。しかしながら、基幹管路や重要管路を優先に更新しているため、投資額に対して更新ペースが上がらず、有形固定資産減価償却率や管路経年化率が増加し、管路更新率は減少している状況であるが、基幹管路等の更新が令和4年度に終了する予定であり、その後は管路更新率が徐々に増加するものと考えている。
全体総括
高度成長期の昭和40年から50年代に布設した配水管が耐用年数を迎えており、耐震性を有した配水管の布設替えを行い有収率の向上を図る必要があることから平成30年度に料金改定を実施し、確保された財源により、管路更新計画に基づき着実に老朽管更新等を進めていく。